2016/01/14
独自の音楽性と歌声を響かせてきたシンガー・ソングライターのACOが、1月11日、2年ぶりとなるアルバム『Valentine』をひっさげて、初めてのステージとなるビルボードライブ東京で【ACO ~Valentine~Special Guest 岸田繁(くるり)】を開催した。
デビューから20周年、音楽シーンはその間に様々な変化を遂げている中、唯一無二の存在感を放ち続けているACO。12月にリリースしたアルバム『Valentine』のレコーディング・メンバー、さらにゲストとしてアルバムに参加している岸田繁(くるり)とともに立った、約2年ぶりとなる今回のワンマンライブで、彼女の現在地をしっかりと示してくれた。
バンドメンバーの岩谷 啓士郎(ギター)、柏倉 隆史(ドラム)、塚本 亮(キーボード)、中尾 憲太郎 (ベース)に続いて登場したACOは、黒のタートルネックとデニムのラフなスタイルにピンヒールを合わせたレディ・ライクな格好で登場。豪快な柏倉のドラムでアルバム『Valentine』の1曲目でもある「Sweet Honey」でライブがスタート。MCでは客席が近いためか「うわー何これ。キンチョーするー。」と素直な感想を吐露し、「正気でできるわけないよ。」と嘆きながらシャンパンを飲み、笑いを誘う一幕も。ステージは、今作を中心としたナンバーで構成され、世を憂いでぶった斬るような鋭い叫びと、無垢な少女の甘いささやきが混在する彼女の声と、それを見事に引き立てるシンプルかつソリッドなバンド演奏によって、会場は心地よい緊張感に包まれた。
中盤に差し掛かると、ACOが「みんなでしげるちゃーんって呼んであげて!」と客席に投げかけ、観客に呼び込まれた岸田繁がステージに登場すると「うわ!何この雰囲気めっちゃキンチョーする!」と序盤のACOと同じ言葉を口にした。20年近く交流を続ける二人は、アルバムの収録曲「未成年」を披露。この日が成人式ということもあり、お互いの若かりしエピソードも明かしたACOと岸田の曲は、まさに若者への叱咤激励であり、率直な歌詞と心地よいメロディーが胸に突き刺さった。
終盤では、名曲「悦びに咲く花」やACOがギターを演奏し「Innocent」も披露。再度岸田も登場したアンコールでは、ACOが大好きだという憂歌団の「嫌んなった」のカヴァーでライブを締めくくった。今までなら意外に思えた選曲だったかもしれないが、本アルバムでの彼女の叫びには憂歌団と共通したブルースがあるようにも思えた。
「ジャンルとか、よくわかんないからさ。」とACO自身語っていたように、様々なジャンルをクロスオーバーし、その時々に自身が持つものを真っ直ぐに聴き手に届けてきた彼女だからこそ放てる、比類なき存在感を改めて認識させられたステージだった。彼女はこの先も、進化を止めることなく日本の音楽シーンに独自の音楽を刻み続けてくれるだろう。
Photo:Kayoko Yamamoto
Text:神人未稀
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