2015/12/21 17:52
初のブルースに挑んだニューアルバム『哀歌-aiuta-』が話題の八代亜紀。12月19日 東京国際フォーラム ホールCにて今作の発売記念コンサートを開催した。
11月17日のBLUE NOTE TOKYOに続く本公演では、寺岡呼人プロデュースのもと日本人の心=歌謡ブルースと、アメリカの心を歌い継いできたBLUESを融合させた新作より、八代の“生のブルース”がたっぷりと披露された。
ブルージーなバンド演奏の中、黒いドレスを煌かせながら八代が登場すると、ステージは「St.Louis Blues」で幕を開ける。駆けつけたファンに感謝の言葉を述べると「ブルーノートでのライブが好評につき、好評につき、2回目の公演です。」と嬉しそうにアピール。そして「前回とは違う曲も歌うから楽しみにしていてください。」とそのセットリストについても期待を膨らませると、自身も訪れたブルースの聖地、米・メンフィスでも披露した「The House of the Rising Sun」で惜しみなく“生のブルース”を披露し、会場を沸かせた。
続いては日本の歌謡曲カバーが華を添えていく。藤圭子の「夢は夜ひらく」ではそのボーカルで日本人の心を伝え続けてきた真髄を見せつけ、「十八番いきましょうか!」と披露した「あなたのブルース」では心の叫びを吐き出すように感情たっぷりに届けた。そして「別離(わかれ)」「再会」と、自身が10代の頃に年齢をごまかしてキャバレーに立ち歌った想い出を語りつつ披露すると、「日本の歌もいいね!」と拍手喝采を浴びた。
アルバム『哀歌-aiuta-』では書き下ろしの新曲が3曲収録されているが、最年少での楽曲提供となったTHE BAWDIESについては「若者はすごいね、BAWDIESの詞なんてダイレクトよ。」と賞賛しつつ、「スタジオで会った時なんて“ヤベ!”だって!」と笑いを誘い、彼らによる提供曲「Give You What You Want」を披露。会場にはイントロからクラップが沸きおこり、八代も楽しそうにリズムに身体を揺らしながら、口笛に大喝采の圧巻のパフォーマンスを繰り広げた。続く中村中による提供の「命のブルース」では、「今つらい思いをしている人に向けて“まだ頑張れるじゃん”って。幸せを忘れかけている人に伝えたい。」と意気込みを述べ、ピアノの音色にのせた語りかけるような歌唱に始まり、詞のストーリーを見事に体現した熱唱で迫力のステージを展開した。
その後赤いドレス姿で再登場した八代は、バンドサウンドを楽しむようにステージを練り歩きながら「Fly Me To The Moon」を披露し、ブルージーなアレンジの光る「雨の慕情」では左右にリズムをとりながら、会場の隅々まで加熱していく。そして米・メンフィスで演奏したいとオファーを受けたという「もう一度逢いたい」を笑顔溢れるパフォーマンスで歌いあげると、会場からは一際大きな拍手が送られた。そのジャンルを超越した活動で注目を浴び続ける八代が次に選んだのは、マーティ・フリードマン作曲による楽曲「MU-JO」だ。会場の観客に向けて「釘を刺してる人」と“ヘビメタ”を解説し笑いに包まれると、感情をぶつけるボーカルとギターソロの光る編成で魅了した。
コンサートも終盤に差し掛かると、自身の銀座でのクラブ歌手時代のエピソードを明かしつつ、切ない女心を表現したという横山剣(クレイジーケンバンド)提供の「ネオンテトラ」を初披露。楽曲の主人公の想いを代弁するように切なく歌い上げると、「現代の歌に“昭和”を感じさせる曲」とその世界観を表現した。その後クリスマスを前にしたサプライズで予定外の「きよしこの夜」を歌うと、自身の出身地である熊本県をモチーフとした「Sweet Home Kumamoto」を「ノリノリでいきましょう!」と小躍りしてみせながら歌唱し、手拍子の止まない会場に笑顔をこぼしつつ「KUMAMOTO!」で締めた。
その後「今年も忙しくさせていただいて、本当にありがとうございます。」と振り返り感謝の言葉を述べると、「良い歌を、魂を込めて歌う心中です。来年も頑張ります。」と意気込み、本編はジャジーなアレンジの光る「舟唄」を、見せ場のアンコではアカペラで迫真の熱唱を魅せつけ終了した。迎えたアンコールは20年ほど前にライブで歌ったことがあるという「素敵なあなた」を選び、同曲を今年度のショートプログラムに使用したフィギュアスケートの浅田真央選手について「世界一美しいフィギュアスケーター」と絶賛しつつ、会場のひとりひとりに向けて「みんなみんな、素敵なあなたですから。」と笑顔はじけるステージで終幕した。
なお、来年の2016年2月29日には、『哀歌-aiuta-』としては3度目となる、再追加公演を神奈川・MOTION BLUE YOKOHAMAにて2部制で実施することが決定しており、チケットの一般予約受付は1月7日よりスタートする。八代の“生のブルース”を体感できる数少ないチャンスをお見逃しなく。
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