2015/12/18
本格派にして異色のロックバンド 井乃頭蓄音団が、タイトルがタイトルだけにその内容や集客までもが注目されてきたバンド史上最大規模のワンマンライブ【グッバイ東京コンサート】を大盛況に導き、感動的な大団円を迎えた。
渾身の3rdアルバム『グッバイ東京』リリースからちょうど1か月後にあたる12月11日 金曜日。会場となった渋谷WWWには、この日を待ちわびていた老若男女が集うオーディエンスはもちろんのこと、彼らと同じように奮闘する若手から中堅のバンドマンたちも散見でき、客席は並々ならぬ注目度を証明するような状況だ。
<稀代のトリックスター 松尾よういちろうも気合十分>
2008年結成。メンバーは30代の男性4人からなる井乃頭蓄音団は、思うようにいかない人生を時に切なく時にユーモラスに描く歌詞と、それを引き立たせるルーツミュージックに影響を受けた演奏で、シーンに衝撃を与えている本格派にして異色のロックバンドである。
ただ、それらを差し置いてでもまず語るべきが、ライブパフォーマンスのインパクトにあることに異論を挟む者は多く無いだろう。この日のステージは、上京するも認められず、自身を無能と母に吐露する気持ちをポップなサウンドで届ける「帰れなくなるじゃないか」でスタートすると、会場は途端に華やかな雰囲気に。
するとトレードマークであるオレンジ色のジャケットをたなびかせた松尾よういちろう(歌・アコースティックギター)は、早速最前列の観衆と握手をし始めた。稀代のトリックスターとして数々のライブステージで仰天のパフォーマンスを見せてきた彼も相当な気合が入っているようで、序盤からフルスロットルのアクトを展開していく。
<豊潤なサウンドで魅了、幅広い支持層を集める井乃頭蓄音団の音楽性>
また、この日はゲストミュージシャンとして、ベントラーカオル(key / クウチュウ戦)と百瀬巡(vin)を加えてのアクトも用意されていた。かねてより豊潤な音楽性で、オールドロックファンを含む幅広い年齢層から支持を受けていた井乃頭蓄音団だが、さらなる音色が足されたことでその彩りはサイケデリックに花開いていく。
ただ、この日特筆すべきはやはりメンバーたちの演奏になるだろう。2本のギターの音色が立体的に絡み合うシティポップ調のナンバー「帰郷」や、15分のインターバルを挟んで始まった第2部の序盤、支え合う両者の間に潜む不安やさみしさを綴った名バラード「二人の影」の優しくも切ない旋律などなど。ヒロヒサカトーとジョニー佐藤、2人のギタリストはメインの楽器以外にもマンドリンやスティールギターなどを演奏し、その都度、深みのあるサウンドを生み出すのだ。
<涙を禁じ得ないエモーション、アルバムタイトル曲をライブ初披露>
かと思えばメンバーがブルースの定番曲「BLUES(Hoochie Coochie Man)」を演奏している間に、この日3着目のオレンジジャケットに着替えた松尾が、“熱海旅行の歌”と解説する「文豪気取り」で、古き良き和ロックの影響をシティポップ調に昇華させた唯一無二のアンサンブルを背に、軽やかなステップでステージを縦横すると、そのままサポートドラマー 岸本篤史のドラムソロへ。
続いてコシのあるグルーヴを支える大貫真也(ベース)の重低音が唸る「アンゴルモア」で会場をグッと盛り上げると、2020年に国をあげて開催される祭典を題材に、“君”への思いを真摯に綴った「東京五輪」では、終盤に怒涛ともいうべきギターソロの掛け合いで涙を禁じ得ない強烈にエモーショナルな一時へ。そして2部制に分けられていた本編の最後は、アルバムタイトル曲「グッバイ東京」をライブ初披露する完璧な構成で締めくくったのだった。
アンコールではアノ名曲に独自解釈の歌詞を加えた人気カバー「カントリーロード」から、松尾の“一生親不孝者でいます!”というお馴染みの宣言も飛び出した代表曲中の代表曲「親が泣く」で、感動の大団円を迎えた彼ら。
しかし、2015年はまだまだライブが残っており、12月23日には盟友 忘れらんねえよとの2マン、そして31日には渋谷 B.Y.Gでのカウントダウンパーティが控えている。さらに2016年もすでに数々のライブ出演に加えて、『グッバイ東京』リリースツアーを全国9か所で10公演行うことが決定している。
撮影:杉岡祐樹
◎ワンマンライブ【グッバイ東京コンサート】
12月11日(金) at 渋谷WWW
セットリスト:
[第1部]
01.帰れなくなるじゃないか
02.さよならと言ったわけ
03.デスコ
04.透明人間フェスティバル with ベントラーカオル
05.タスマニアエンジェル with ベントラーカオル
06.閉店 with 百瀬巡
07.帰郷
08.バカ息子
[第2部]
01.言ってはいけない言葉
02.二人の影
03.夢ひとつ
04.さよならだけでも構わない
05.BLUES(Hoochie Coochie Man)
06.素直な自分
07.文豪気取り~ドラムソロ
08.アンゴルモア
09.東京五輪
10.グッバイ東京
[アンコール]
01.カントリーロード
02.親が泣く
◎井乃頭蓄音団 ライブ情報
【LIVE HOLIC presents“miss those days”】
12月23日(水) 下北沢 LIVEHOLIC
出演:井乃頭蓄音団 、忘れらんねえよ
【B.Y.Gカウントダウン・パーティー「井乃頭蓄音団のゆく年くる年“2015~2016”」】
12月31日(木) 渋谷 B.Y.G
[2016年]
【New Year Spark Vol.3】
1月17日(日) 新代田 FEVER
出演:井乃頭蓄音団、Controversial Spark、吉田ヨウヘイGroup、ゆるめるモ!
【井乃頭蓄音団3rdアルバム『グッバイ東京』リリースツアー“グッバイ東京ツアー2016”】
1月29日(金) 福島 AREA559
1月30日(土) 盛岡 the five morioka
1月31日(日) 仙台 Flying Son
2月13日(土) 名古屋 K.Dハポン
2月14日(日) 大阪 GANZ toi,toi,toi
2月26日(金) 札幌 Spiritual Lounge
2月27日(土) 札幌 LOG
3月4日(金) 京都 磔磔
3月12日(土)、13日(日) 渋谷B.Y.G
◎アルバム『グッバイ東京』
2015/11/11 RELEASE
INORC-005 2000円+税
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