2015/12/10
シンガー・ソングライターのアン・サリーの2005年に発表したアルバム『ブラン・ニュー・オリンズ』の発売10周年を記念したツアーが、12月8日ビルボードライブ東京で初日を迎えた。
2002年から3年間ニューオリンズに医学研究のため暮らし、地元の音楽家と現地でプライベートに収録した音源を帰国後にアルバムとして発表した『ブラン・ニュー・オリンズ』は、それまでのアン・サリーの印象をガラリと変え、良い意味で衝撃を与えてくれた名盤。11月にアルバム発売10周年を記念して、リマスタリングが施され未発表音源3曲を収録した10th Anniversary Editionがリリースされ、満を持して組まれた今回のツアーは当時のレコーディング・メンバーが参加していることもあって、否が応でも期待が高まった。
小林創(ピアノ)が奏でる軽やかなピアノの音色の中、飯田玄彦(トランペット)の掛け声でウェンデル・ブルーニアス(トランペット)、リチャード・モーテン(ベース)、ジェラルド・フレンチ(ドラム)が登場した後、大きな拍手と共にアン・サリーが呼び込まれ「麗しのジョージア・ブラウン(Sweet Georgia Brown)」でライブは幕を開けた。ベースのリチャードとの「Honey Suckle Rose」や、アン・サリーいわく“ニューオリンズの西郷輝彦”ことウェンデル・ブルーニアスと「Dream a Little Dream of Me」などが演奏され、ニューオリンズ・サウンドに彼女のたおやかな声が乗ることで会場はとても心地よい雰囲気に包まれた。
ライブ中盤には “エキゾチック・ゾーン”に突入。日本や韓国の伝統的な楽曲のカバーや、ニューオリンズの景色を思い出しながら書かれたオリジナル曲、さらには服部良一が作曲した「胸の振り子」が披露された。メンバーも演奏中に一緒に歌い出し、アン・サリーは幾度も「楽しい」と口にするなど、まるで当時ニューオリンズで行ったセッションを再現するように、メンバー全員が音楽を演奏する楽しさをステージ上で思い切りよく表現。息の合った演奏とアン・サリーの歌声にみるみると惹きこまれ、そして心が浄化されていく不思議な感覚を覚えた。
アンコールでは、バンド・メンバーたちと共にステージに立っていることに「これって現実ですか?夢みたい!」と素直に喜びを表し、ニューオリンズを代表するルイ・アームストロングの名曲「What a wonderful world」でライブを締めくくった。
医師としても勤務するアン・サリーだが、歌手活動においても人の心に触れ癒す力を持っていることと、彼女にとってニューオリンズでの生活がいかに特別だったのかを改めて感じさせられた80分間だった。このツアーは今後、名古屋、大阪、兵庫で開催される。師走の忙しさの合間に、音楽の楽しさとひと時の癒しを求め、足を運んでみてはいかがだろうか。
◎公演情報
【アン・サリー「Brand-New Orleans Tour 2015 (SONG X LIVE 035)」】
ビルボードライブ東京 2015年12月8日(火)~9日(水)
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名古屋市芸術創造センター 2015年12月11日(金)
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ビルボードライブ大阪 2015年12月12日(土)
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兵庫県立芸術文化センター 神戸女学院小ホール 2015年12月13日(日)
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Text:神人未稀
Photo:Yuma Totsuka
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