2015/12/07 16:31
松任谷由実40周年ベストアルバム100万枚出荷記念盤『日本の恋と、ユーミンと。- GOLD DISC Edition -』をリリースし、更なる話題を集めている松任谷由実。12月5日 東京スカイツリータウンにあるコニカミノルタプラネタリウム“天空”でライブを行った。
今回のイベントは、映画『リトルプリンス 星の王子さまと私』の公開と、その日本語吹替版主題歌、松任谷由実 最新曲「気づかず過ぎた初恋」の配信リリース、そして『日本の恋と、ユーミンと。- GOLD DISC Edition -』のリリースを記念して開催。これまでのキャリアの中で、コンサートでは様々な演出を試みてきたユーミンだが、今回はタイトルである【星の夜と、ユーミンと。』、その主旨どおり、星空を堪能することを追及する演出に決定。実際の夜空と同じに、プラネタリウムの星の光は繊細な光で、明るいと見えにくく、暗い程よく見える為、会場は真っ暗闇。歌うユーミンの姿を照らす照明も排除し、暗闇の中で歌う、という初めて試みに挑戦した。
通常のコンサートでは、演奏者たちがタイミングをあわせて演奏し、歌うのが基本。しかし暗闇の中ではアイコンタクトは当然とれない為、ユーミンはソニー株式会社の透過式メガネ型端末『SmartEyeglass(スマートアイグラス)』を着用。スマートアイグラスとは、対応スマートフォンなどの機器をBluetoothや無線LANでとスマートアイグラスと繋ぎ、メガネレンズに文字や画像情報を視界に重ねて表示し、状況に応じて適切な情報を表示できるメガネ型端末。演奏者がコンサートで使用した例はこれが初めてとなり、ユーミンの視覚には、演奏のタイミングやコンサートの進行が表示された。
開演は実際の星もよく見えてくる時刻の20時。「こんばんは、特別な星の夜にようこそ。今日は私にとって、そして皆さんにとってもきっと初めての経験になるでしょうなにしろ、真っ暗闇で歌うのも、真っ暗闇で聴くコンサートも初めてなはずですから。」とユーミンが登場。この時、会場は夕方の風景の中。「暗くなれば暗くなるほど、五感は研ぎ澄まされると言います。そう、だから今日は静かに静かにお送りしたいと思います。ちょうど自分の詞が出来上がるときのような、沈黙の中から何かが浮かび上がってくるみたいな感覚になるんじゃないでしょうか。そんな期待をしながら歌ってみたいと思っています」と、ユーミンが話しながら、場内は徐々に暗闇になりライブがスタート。
ユーミンも、客席も全く見えない真っ暗闇の中、星だけが輝く幻想的な空間。この日の演奏曲は星を眺めながら聴く為に選曲された曲。その中で、星にちなんだ曲として、79年発売の8thアルバム「悲しいほどお天気」に収録されている「ジャコビニ彗星の日」が披露された。この曲は、1972年10月9日にジャコビニ流星群が見る事が出来ると言われていた日の事がモチーフとなっている。だが実際、この日の東京の天気は曇りだった為、見れなかった人が多かった。その見ることが出来なかった星空が映し出される中、曲を味わうという、これもまた、これまで体験することのなかった演出となっていた。
また、11月に公開され現在、大ヒット中の映画『リトルプリンス 星の王子さまと私』の日本語吹替版主題歌「気づかず過ぎた初恋」をこの日ライブで初披露。この曲作りのヒントを探して『星の王子さま』の作者・サン=テグジュペリの故郷、フランス・リヨンを今年の5月に訪れたユーミン。 その原作の“大切なものは目に見えない…”というテーマのように、ユーミンの姿は見えない中、星に願いを伝えるような歌が響き渡った。
街中、クリスマスへ向かってイルミネーションが輝くこの季節に、暗闇で視覚と聴覚、五感を研ぎ澄ます、これまでに例の無いライブとなった。そして、アンコールを受け、再び登場。星空は大空に雲が浮かぶ映像に変わり「ひこうき雲」が演奏され、更なる感動の中、全7曲のライブは終了した。
初体験の暗闇でのライブ終えたユーミンは「自然に息づかいや歌い終わって消える時のバイブレーションとかを、丁寧に絵を描くように初めて歌った気がします。宇宙にたったひとりって思うと反転して、普段大切にしている人をより大切にしようとか、やさしさに繋がるんですね。聴いた人が、そんな気持ちになってくれたらうれしいなと思いました。」とコメントし、SmartEyeglassを初めて使用した事については「体験したことのないコントラストでした。完全な暗闇になるとサイリウムみたいな明かりと、漆黒の闇とが、自然界にないコントラストで見えました。こんなこと誰も体験したことがないと思うと、人類の為の被験者になったみたいでとても気持ち良かったです。」と感想を述べた。
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