2015/11/25
アレッシア・カラという、絶大なインパクトを放つ新星が登場した。2015年12月初週の米ビルボード・アルバム・チャートで、デビュー作『ノウ・イット・オール』が初登場9位と処女作にして大健闘、さらにアルバムからの先行シングル「ヒア」が同時に10位へ、シングル、アルバム・チャート共に、TOP10入りするという快挙を遂げたばかりだ。
アレッシア・カラは、カナダ出身のシンガー・ソングライター。若干19歳という若さで自身で楽曲を制作し、SNSを中心にプロモーションも手掛けている。アメリカン・カジュアルなキュートなルックスとはウラハラに、ドスの効いたパワフルなヴォーカルが魅力的で、弾き語りもこなす実力派。学生時代からYouTubeなどでカバー曲をアップし、注目を集めたことで、<デフ・ジャム>からお声が掛かり、デビューを果たした。
4月にリリースされたデビュー曲「ヒア」は、当初上位にはランクインしなかったものの、ツイッターや動画サイトで徐々に人気が拡大し、夏にはTOP40入り、遂には10位まで到達した。70年代や90年代のブラック・ミュージックに影響を受けた重たいビートに腰が浮き、クラブ世代にも好評、アレッシアのハスキーさを帯びた声質と天性のセンスがマッチした、最新のR&Bチューンだ。これから、チャートを上昇していくことは間違いない。
ブレイクのキッカケとなったのが、夏にNo.1をマークした、テイラー・スウィフトの「バッド・ブラッド」のカバーだ。この曲のカバーをYouTubeでアップし、200万視聴を記録、さらにテイラー本人から「最高!」とコメントをいただいたことで、アレッシア本人にも注目が集まり、「ヒア」も一気にチャートを駆けあがったというシナリオだ。カバー曲でデビューのキッカケをつくり、カバー曲でブレイクを果たした、アレッシア・カラ。まさに、現代を象徴するシンガーである。
この曲が収録された、デビュー作『ノウ・イット・オール』も優れた出来栄えで、ネオソウルのようなオーガニック・タイプのナンバーから、アートポップ・タッチの曲もあり、柔軟に熟すアレッシア・カラのボーカルが映える、彼女の評価を決定づけるような傑作だ。アルバムには、リアーナやニッキー・ミナージュを手掛けるポップワンセルや、アリシア・キーズやジョン・レジェンドの作品に参加しているマレイなどが、クレジットされている。2016年初頭、まずブレイクするのは、このアレッシア・カラだろう。
Text: 本家 一成
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