2015/10/21
Funk、Funk、And、Boogieeeeeeeeeeeeeeeee!!!!!!!!!!!!!!
心地好く弾む力強いリズムと洗練されたサウンドで70年代末のダンスフロアを席巻したヘヴィ級の大型ファンク・バンド=スレイヴ。オハイオ州デイトン――ファンク・バンドの“聖地”出身の彼らは、今流に言えばブギー~ファンク/ディスコ・サウンドの本家本元のような存在だが、その中心メンバーであり、スレイヴを脱退したあとの80年代以降も若手のミュージシャンとコラボしながら、時代に即したダンス・サウンドを発信してきたスティーヴ・アーリントンが『ビルボードライブ東京』のステージに、ついに降臨した。
DJ ATOMがスピンする往年のソウル・ミュージックで会場が心地好く温まってきたところで、5人のメンバーと共にスティーヴが登場。まずは、身体にダイレクトに響いてくる強烈なファンク・サウンドを堪能させてくれた。元々ドラマーである彼のような筋金入りのファンカーが提示するリズムは、僕たちの本能に直接、訴えかけてくるような濃密に快楽的で官能的なサウンド。肉体的でありながらもスムースなグルーヴは、会場に集まったオーディエンスの大半が求めているもの。このエクスタシーすら感じさせるファンクを目当てに来ているに違いない。身体が自然に動いてダンスをすれば、一緒に来た恋人やワイフとの距離も一気に縮まるというもの。「ノウバディ・キャン・ビー・ユー」や「ウェイ・アウト」などの名曲が惜しげもなくステージの上で披露されていくのだから、往年のファンはたまらない。スティーヴは時折、ティンバレスを叩きながら、たっぷりドライヴするギターや鋼のようなリズムを繰り出してくるベースとドラムスに負けない粘りのあるヴォーカルをフル・スロットルで発してくる。
そして、時代に対する嗅覚も敏感な彼は「ラスト・ナイト/ナイト・ビフォア」などのムーディなナンバーも“ウリ”にして、都会的で洗練されたファルセットを駆使しながら甘い囁きをそれぞれのシートで寄り添っている恋人たちに向けてくる。酸いも甘いも知り尽くした彼だからこその、独特のソウル・リヴューの世界観。スペイシーな“時代の音”も貪欲に吸収し、音楽のレンジをアグレッシヴに広げているところが、時の荒波を乗り越え、デイム・ファンクを筆頭とする若い世代からも絶賛されている所以だろう。
そんなスティーヴのステージは現役のミュージシャンからもリスペクトされる正統的なファンク・パーティ。だが、決して派手な仕掛けやギミックでお茶を濁すようなことはしない。そこに彼のキャリアに基づく自信とプライドが滲み出ていて、世代を超えて愛されている理由が納得できるのだ。なぜなら、ジェイムズ・ブラウンから絶えることなく受け継がれてきたファンクを正しく継承しているのだから。
もちろん今回のショウは、とてもライブ感に溢れた、ほとばしる汗を感じさせるものになった。決して小手先で聴き手をはぐらかせてしまうのではなく、真正面からファンクやスロウ・ナンバーを繰り出してくる。僕は、彼のそんなステージを観ていて心から感動したし、またすぐにでも繰り返し観たい衝動に駆られた。それだけ中毒性の高いスティーヴ・アーリントンのステージ。これは絶対に見逃せないライブだ。
チャンスはあと1日。今日だけだ。見逃したら後悔すること間違いなしのスティーヴ・アーリントン。若いときにディスコで一心不乱に踊ったミドル・ジェネレイションも、デイム・ファンクとのコラボで知ったクラブ・ジェネレイションも、絶対にスルーできないライブ。心して会場に足を運ぼう!
◎公演情報
スティーヴ・アーリントン(formerly of スレイヴ)
2015年10月20日(火)~21日(水)
ビルボードライブ東京
1stステージ 開場17:30 開演19:00
2ndステージ 開場20:45 開演21:3
公演詳細>
Text:安斎明定(あんざい・あきさだ) 編集者/ライター
東京生まれ、東京育ちの音楽フリーク。朝晩は肌寒さも感じられるここ最近、ワインもボディのしっかりした赤が心をホッコリさせてくれる。例えばスパイシーな味付けのラム・チョップにフランス・ローヌ地方のクローズ・エルミタージュで育まれたシラーを合わせてみて。肉の脂に含まれる旨みとシラーの渋みがバランスよく混じり合って、心地好く満足感を得られる。
Photo: Masanori Naruse
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