2012/05/08 00:00
キャロル・キングの代表作『つづれおり(TAPESTRY)』を始めとする数々のアルバム・カバーの写真を手掛け、若き日のマイケル・ジャクソンとの仕事がきっかけで、その後はロック写真に興味を失ってしまった写真家のジム・マックラリーが、先月72歳でこの世を去っていたことがわかった。
マックラリーの姪コリーン・ポラードさんが『LAタイムス』紙に語ったところによると、彼は4/29に慢性の神経系障害に起因する合併症のためカリフォルニア州パロアルトの病院で亡くなったという。
自らの力で写真技術を習得し、A&Mレコードのスタッフ写真家となったマックラリーは、生涯で300作品以上ものアルバム・ジャケット、そして数え切れないほどのプロモーション写真を撮影。キャット・スティーヴンス、ザ・カーペンターズ、ジョー・コッカー、キャプテン&テニール、B.B.キングといった、数多くのアーティストを手掛けてきた。
しかしその中でも彼の代表作と言えるのが、1971年にリリースされたキャロル・キングの名盤『つづれおり』のジャケット写真で、出窓に座ってネコとゆったりとした時間を過ごす彼女の姿が印象的だった。
またマックラリーは、自身のウェブサイトでこの『つづれおり』に続くアルバム『ミュージック』のジャケット写真に加え、数々のキングの写真も公開してきた。
そして1970年代末までに、マックラリーは様々なジャンルの若手アーティストを手掛けるようになり、中には彼がまったく知らないアーティストも含まれていた。そんな1人がマイケル・ジャクソンで、彼はこの若者のアルバム『オフ・ザ・ウォール』のジャケット写真を撮影してほしいという依頼を受けたのだ。
そして撮影現場でマイケルの緊張を和らげるために一緒に踊るよう命じられた姪のコリーンさんによると、いざ写真撮影が始まろうとした時、近くのラジオから流れていた音楽が「今夜はドント・ストップ」だったのにも関わらず、マックラリーはそれが被写体であるマイケルの曲とは知らずにほかのチャンネルへと切り替えてしまったのだという。
「叔父はまったくマイケルの曲を知らなかったのです。それで私は慌てて『ダメ、それは彼の曲なのよ!』と叫びました。マイケルと彼のマネージャーの顔を見たら、それはもう呆気に取られてましたね」。
しかしマイケルはマックラリーが撮影した写真を一切使わず、このことが彼をロック写真から遠ざける原因になったのだろうとコリーンさんは語っている。そしてマックラリーは、その後はおもにポートレイトや静物写真を撮影するようになり、1990年には“PIX CAMERA”という名前のカメラ機材店をハリウッドにオープンした。
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