2015/06/05 20:00
7歳でコンサート・デビューを果たし、日本国内のオーケストラはもとよりロンドン・フィルやモントリオール響など世界各地のオーケストラと共演、さらに社会貢献活動にも積極的に取り組むなど幅広く活躍するヴァイオリニスト五嶋龍がジャパン・ツアー中にインタビューに応じた。
五嶋龍は、ニューヨークで生まれハーバード大学物理学を卒業し、今もニューヨークを拠点に世界各地で活躍している。そんな彼にとっても日本は懐かしい母国であることに変わりはない。「僕にとってのジャパン・ツアーは、海外で勉強したものを日本へ持って帰ってくるというイメージです。もちろん、日本に懐かしさはありますよ。まわりの日本人からは、あまり日本人らしくないと思われているようですが(笑)」
多忙なスケジュールの中で心掛けていることは、のめり込み過ぎないこと。「磨くためには、居座ってしまうと終わりだと思っています。だから、色んな世界のものを見るように心がけています」音楽も、クラシックのみならずR&Bやジャズ、EDMなど幅広い音楽を聴いていて、最近はカーネギーホールで開催されたチック・コリアとハービー・ハンコックのコンサートに行ったと教えてくれた。「めちゃくちゃ良かったです。負けたと思いました。敵わないなあって。クラシック音楽以外も演奏してみたいし、作曲しなきゃなって、ちょっと興奮しました」と少年のような笑顔を見せた。
普段、音楽はPandoraや、Spotifyなどストリーミングサービスを通じて聴くことが多いという。「いずれは、どの作品もデジタル化が進んでいくでしょうし、日本でもストリーミングが主流になるでしょう。システムを徐々に変えるにしても一変するにしても簡単な事ではないですし、供給サイドが需要者の欲求を助長するために開発したシステムに市場を独占される形になってしまうのは、今まで続いてきた多くの面に改革を強いる事になる。アーティストの在り方もその一つであることを忘れてはならない。だから、進化する社会のニーズを見極めて新しいビジネスモデルを確立すれば、アーティストは生き残っていけると思っています。」
11月には、フランクフルト交響楽団とアンドレス・オロスコ=エストラーダとの初共演でチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を13年振りに演奏する。「サンフランシスコ交響楽団が、去年サウンドボックスというバーを併設したクラブを作ったんです。どのイベントにもサンフランシスコ響のメンバーが関わっていて、クラシックからポップスまで固定概念を覆すようなイベントをやっています。例えば、座ってかしこまった服装で聴くのと、ラフな格好でドリンクを飲みながら立って聴くのと、同じ曲でも感じ方がどう変わるのかという実験もしています。僕が演奏会をする時には、客席の皆さんは聴くだけではなく演奏会のプロセスに加わっているんだということを感じて欲しい。一緒に参加してほしいと思っています。体を揺らしたければ揺らせばいいし、拍手をしたければしてもいい。僕の音が聴こえなくなるのは困りますけどね(笑)。なので、11月の演奏会では、僕が出ていない曲は責任が取れませんから静かに聴いていただくとして、チャイコフスキーはリラックスして聴いてください。Tシャツ姿やスーツ姿、ジーンズでもいい。そんな中で燕尾服を着てこられるくらいの自由さがいい(笑)。そして、気に入っていただければ、最後に僕と一緒にブラボー、でしょ?」Interview:高嶋直子
◎リリース情報【ベートーヴェン:≪クロイツェル・ソナタ≫/フランク:ヴァイオリン・ソナタ ヴィエニャフスキ:創作主題による華麗なる変奏曲/マスネ:タイスの瞑想曲】
2015/4/29 RELEASE
UCCG-1698/9 3,780円(tax in.)
◎公演概要【TDKオーケストラコンサート2015 アンドレス・オロスコ=エストラーダ(音楽監督・指揮) フランクフルト放送交響楽団】
日時:11月17日(火)19:00開演
会場:サントリーホール
出演:アンドレス・オロスコ=エストラーダ(指揮)
五嶋 龍 (ヴァイオリン)
フランクフルト放送交響楽団
曲目:バーンスタイン:「キャンディード」序曲
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35 (ヴァイオリン:五嶋 龍)
ブラームス:交響曲 第1番 ハ短調 作品68
関連記事
最新News
関連商品
アクセスランキング
インタビュー・タイムマシン
注目の画像