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2015/03/23 22:10

TM NETWORK 30分に及ぶ「TK SOLO~Get Wild 2015」など強烈なFINAL公演 活動30年間の末にFANKSへ託したバトンの意味

 2012年の完全復活(http://bit.ly/1gmnM4p)以降、活動30年間を地球潜伏期間と銘打ち、かの4001 DAYS(デビューから1994年のプロジェクト終了まで)に勝るとも劣らぬ刺激的な日々を提供してきたTM NETWORK。その一旦の結末となる公演【TM NETWORK 30th FINAL CONCERT】を3月21日と22日 横浜アリーナにて開催した。

<10,000通りの物語が想像/創造できる高次元のエンターテインメント/アート>

 3月21日の初日公演、空を飛び交う映像から小室哲哉、宇都宮隆、木根尚登の3人はもちろん、葛城哲哉(g)、阿部薫(dr)などFANKSにはお馴染みのファミリーの名前が浮かび上がり、その全メンバーが一斉にステージ中央に現れる。当然、大歓声。そして葛城によるトーキングモジュレーター、赤と黒に染まる空間、まさかの「RHYTHM RED BEAT BLACK」でライブの幕は上がり、畳み掛けるように「Children of the New Century 2015」「Here, There & Everywhere」とキラーチューンが飛び出してくる贅沢さに我々はひたすら高揚。さすがの30th FINAL CONCERTである。が、この後、我々……少なくとも今年2月の【TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA】(http://bit.ly/1DgZFOW)(以下HUGE DATA)の目撃者にとっては“???”となる展開が待っていた。

 ロンドン、ジャカルタ、パリ
 東京、ニューヨーク、ホンコン…
 2015年。
 テクノロジーの進化が
 更なる混沌をもたらしています
 それを1980年代に予見した
 僕らTM NETWORKが
 表現してきたエンタテインメントは
 まさにAR(拡張現実)だったと
 自負しています

 そしてCAROL組曲へ。一部改変されてはいたものの、テロップも曲順も映像もHUGE DATAの再現と言えるもので、ライブタイトルも違うことから完全新作コンサートが繰り広げられると思い込んでいた身としては、狐に抓まれたような気分だった。困惑。が、翌22日の公演の同ブロックを観ていていくつかの発見があった。「世界が今変わる」と歌った宇都宮隆が世界(街並みの映像)を止めて左へとスライドさせると、そこに見た目は同じ世界(街並みの映像)が現れるシーン。そしてCAROL組曲が再開される流れを観て、これはもしかしたらパラレルワールドなのではないか。似て非なるもの。決して断言できるものではないが、このような仮説を立てたり、情報を羅列して整理したり、謎解きに頭を使いながらライブと対峙する面白さ、10,000人いれば10,000通りの物語が想像/創造できる高次元のエンターテインメントとアートがそこにはあった。

 スクリーンに【TM NETWORK 30th FINAL】ではなく【TM NETWORK FINAL】と映し出されたこともそうだし、もしかしたら○○なのかもしれないと可能性を広げさせ、最終的な判断は受け手に任せる。音楽に限らず、すべての表現物の本来あるべき形を気付かせてくれた公演でもあった。

 FANKSのアバターと
 その日々を描いた
 「CAROL」は
 僕ら30年間を
 代表する作品になりました
 時代を超え
 ここに戻ってきてくれて
 ありがとう

 キャロルから宇都宮隆が“TM NETWORK”と書かれたバトンを受け取るシルエット。ここで公演は15分のINTERMISSION(休憩)へ入る。

<スタンダンダンダンダラスタン~30分に及ぶ「TK SOLO~Get Wild 2015」>

 リアルとファンタジーの狭間に身を預けた我々の目前に現れた木根尚登は、葛城のギターと自身のピアノと共に「月はピアノに誘われて」を披露。月に照らされながらキネバラの真骨頂を堪能させると、続いて曲は「あの夏を忘れない」へ。アルバム『EXPO』の世界観に包まれ、共にこの曲を歌える喜びが込み上げてくる。最後の3人声を揃えての「スタンダンダンダンダラスタン!」の心地良さたるや、いつまでも聴いていたいハーモニーだった。なんて思っていたら、ここから小室哲哉による長い長いTK SOLOがスタート。「Self Control」や「DIVE INTO YOUR BODY」のフレーズが聴こえてくる度に大喝采で、強烈なレーザービームと共に我々を扇情していく。

 そんなTKの独壇場が18分ほど続くと、お待ち兼ね「Get Wild 2015」のフレーズが飛び出し、リズム隊のグルーヴがそこに加わっていく。しかしそんな簡単に本編に突入はしてくれない。近づくカメラのレンズに自身のサインをしたり、ひたすら炎がステージに噴き上がる中、TK SOLO開始から20分経っての木根尚登登場でギターの音が加わり、22分経っての宇都宮隆登場でようやく歌が始まる。もうほとんどプログレバンドのライブである。さんざ焦らされたFANKSはここぞとばかりに腕を振り上げ、共に歌い叫び、最新にして最強の「Get Wild」を共に創造してみせた。

 そして、27分経って歌が終わっても飛び跳ねながら観客をひとり煽り続けるTKは、動画でも話題(http://bit.ly/1C49IEk)の赤いシンセを担ぎ出し、ツマミをいじりながら子供のように自由に楽しみまくる。挙げ句の果てにそれを客席へ投げ入れて大爆音を起こし、巨大な炎を噴き上げさせてみせた。ちなみにTK SOLOスタートからここまでで約30分。そのすべてに瞳をキラキラさせながら楽しんでいたFANKSもTM NETWORKに負けじとCrazyである。伊集院光の笑い声が聴こえてくるようだ(参照:アルバム『EXPO』)。

<結局は僕らも彼らと同じ潜伏者だったということか?>

 キャロルやメンバーが例のバトンを握りしめている映像から、曲は「We Love The Earth」へ。ここでシンガロングを生みつつの、宇都宮隆「30周年ありがとう!」からTM史上最もバウンシーなヒットチューン「Be Together」で大暴れ。誰もが歌えや踊れやでカーニバル状態の中、宇都宮隆のターンも華麗に決まる。というか、小室哲哉も、何があっても笑顔は絶やさずTM NETWORKを支えてきた木根尚登も怪物だが、この30年間にわたってこんなにも自由奔放すぎるユニットをステージのど真ん中で守ってきた男の凄さ。年齢を重ねても、大病を患っても、TM NETWORKのボーカリストとしてのイメージを一切壊さず歌い続け、2012年からの物語を文字通り命懸けで最後のページまで到達させた彼の偉業は、伝説として語り継がれていくことだろう。

 Yes I am, Yes I am Yes I am a human... We are human。今の宇都宮隆が放つそのメッセージの意味深さ。そしてライブは、

 みなさんのエネルギーを
 借りる事で
 その時代その時代を
 表現できた30年間でした
 だから
 今日、もしも
 人生を彩る音を
 見いだしてもらえたら
 光栄です

 再びの「Fool On The Planet」へ。「ただのdreamer 人は言うけれど この地上にあふれる全ては 僕に似た昔の誰かが 夢見てはかなえてきたもの」 蘇る30年間の記憶。2012年からの物語。例えば、あの日の日本武道館で完全復活を果たしてくれてありがとう。あの日のさいたまスーパーアリーナで戻ってきてくれてありがとう。物語を止めないでくれてありがとう。再びあの曲を目の前で響かせてくれてありがとう。FANKSであれば溢れ出してきてしまう想い。大好きなTM NETWORKのライブが毎年あって、そのひとつひとつに対して一喜一憂したり、語り合ったり、熱くなり過ぎて口論にまで発展しちゃったり……そんな日々が再び訪れたこと、音楽はこんなにも人生を豊かに彩ってくれると再認識できたこと。それが何より嬉しかった。

 そして、その日々はこれからも続く。満天の星空の下で手を振りながら去っていった3人は、最後の最後に例のバトンをFANKSに託したのだ。「音楽はバトン。それを断ち切りたくない」ととあるミュージシャンも言っていたが、このバトンを誰かや何かに繋げていくのが、おそらくNext mission。ということは、結局は僕らも彼らと同じ潜伏者だったということか? 来る再会の日、有意義な報告ができるようにしておきたい。

取材&テキスト:平賀哲雄(FANKS)

◎ライブ【TM NETWORK 30th FINAL CONCERT】
03月21日(土)22日(日)横浜アリーナ セットリスト:
OP.Just Like Paradise 2015
01.RHYTHM RED BEAT BLACK
02.Children of the New Century 2015
03.Here, There & Everywhere
04.SCREEN OF LIFE
05.Birth
06.CAROL 2015 M1
07.A Day In The Girl's Life
08.CAROL(CAROL'S THEME I)
09.Gia Corm Fillippo Dia
10.CAROL 2015 M2
11.In The Forest
12.CAROL(CAROL'S THEME II)
13.Just One Victory
[INTERMISSION 15min.(休憩)]
14.月はピアノに誘われて
15.あの夏を忘れない
16.TK SOLO~Get Wild 2015
17.We Love The Earth
18.Be Together
19.I am
20.Fool On The Planet
END.Electric Prophet

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