2015/03/24
リットーミュージックから刊行されている音楽誌『ベース・マガジン』が主催するライブイベント【Bass Magazine Presents The Power of Low-End】が、2015年3月17日(火)に東京・TSUTAYA O-EASTで開催。“The Power of Low-End”=“低音の底力”をテーマに、ベーシストにスポットを当てた対バン企画の第3弾となった今回は、現代のカリスマ・ベーシスト、KenKenを擁するRIZEと、今年に入りソロ・プロジェクト、吉田一郎不可触世界(ヨシダイチロウアンタッチャブルワールド)を始動した吉田一郎擁するZAZEN BOYSの2組が対峙した。
先攻で登場したのはZAZEN BOYS。「MATSURI STUDIOからやって参りました…ZAZEN BOYS。」と、向井秀徳(Vo,Gt,Key)のお馴染みの挨拶で幕を開けるや否や、吉田一郎(Ba)の放つ、図太いベース音がいきなり体の芯まで震わせる。小気味よく刻まれる向井の鍵盤と吉兼聡(Gt)のギター、それをしっかりと支える吉田と松下敦(Dr)の分厚くグルーヴィーなボトムには微塵の揺らぎもない。それこそZAZEN BOYSの艶めかしい音世界を紡ぐ、確固不動の礎となっているのがはっきりと目に見えてくる。中央で輪のようになりプレイが始まれば、向井が「ウッ!」「ハッ!」と発する掛け声にピタリピタリと音をあわせてくるあたりは、テクニックの一言で表現するにはあまりにも乏しい、シンクロニシティを意図的に引き起こしているかのようなアンサンブルは流石としか言いようがない。向井は遊び心を抑えられず、わざと掛け声のタイミングをずらしたりするが、メンバーも面白がって乗ってくる…そんな彼らのプレイにオーディエンスは歓喜するのだ。酒を片手にゆらゆらと揺れながら歌う向井に、釣られるようにフロアは揺らめきサウンドに浸る…そんなシーンも挟みつつ、ラストまで至高のバンド・グルーヴでフロアを魅了してくれた。
そして、後攻のRIZEがステージに姿をみせれば、フロア前方に密集し「オイ!オイ!」と煽り立てるオーディエンス。そんなフロアを黙らせるように初っ端からKenKen(Ba)のバチバチと弾けるようなベース音が轟いていく。彼のベースは、吉田一郎のプレイとは対照的とも言っていいほど獰猛で攻撃的。スポットライトを一心に浴びてのベースソロでは、研ぎ澄まされたフレーズ、強烈なアタック音はさらに際立ち、放たれる音はド級のインパクト放つ。その音こそが、ラウドの境地を突き進むRIZEサウンドには欠かせないのだ。中盤には初披露を含む、新曲2曲を立て続けに投下する大盤振る舞いにフロアはヒートアップ。RIZEとしてのオリジナル・アルバムは5年近くリリースされていないものの、新アルバムを匂わすJESSE(Vo,Gt)の力強い発言からも、次作の発表もそう遠くない未来に訪れるのではないだろうか。彼らの結成時から揺らぐことのない強靭な意思、ステージ上から放つ類いまれなる求心力…それに惹き付けられるようにオーディエンスは夢中で騒ぎ、本編ラストには「上がりたいなら、上がってくればいいじゃねぇかよ!!」と、JESSEの一言でオーディエンスのリミッターは崩壊。オーディエンスは続々とステージへと駆け上がり、一瞬でステージ上とフロアの境界線は取り払われてしまう。アーティストとオーディエンスが一心一体でライブを創りあげていく…RIZEのスタイルを最後まで貫き通した圧巻のアクトであった。
最後に、アンコールを終え「これからもベースを好きでいてください!!」と、言葉を残してステージを後にしたKenKenの笑顔がとても印象的であった。
後世のベーシストにも多大な影響を与えるであろう2人のベーシストが合いまみえた今回の【Bass Magazine Presents The Power of Low-End】。“縁の下の力持ち”と称されるベーシストの中でも無類の存在感を放つ各々の個性のが光った、正に“ベース主役”のイベントであった。なお、本イベントのライブの模様は、後日イベント特設サイトにて公開される予定だ。
Photo by Yoshika Horita*
Bass Magazine Presents The Power of Low-End
オフィシャルサイト:http://www.rittor-music.co.jp/bm-low-end03/
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