2015/02/21 19:00
ミシシッピ出身の若きラッパー兄弟、レイ・シュリマーによるデビュー・アルバム『SremmLife』がこの1月にリリースされた。Billboard 200では初登場5位、ラップ・チャートでは1位につけ現在もトップ40圏内に留まるといった活躍を見せている。ブルックリンの新星ジョーイ・バダスのデビュー・アルバム『B4.Da.$$』(こちらは著名プロデューサーも多数参加した、いかにもアーバンな印象の力作だ)と並んで、サザン・ラップのひとつの現在形を伝える『SremmLife』は、新人作品の中でも特筆すべき成果を上げていると言えるだろう。
スリム・ジミー(20歳)こと本名アーキルと、スウェイ・リー(19歳)こと本名カリーフの兄弟は、共にLA生まれで幼少時にミシシッピへと移り住んだ。貧困層が多く治安も良くなかったその地域で、間もなく両親は離婚し、住居も失って一時は廃屋で夜露を凌ぐような厳しい生活も経験したそうだ。ローカルなヒップ・ホップ・スターに憧れながら、2人は音楽へとのめり込むことになる。小規模なパーティに出演を続けるうち、アトランタの若手トラップ・プロデューサー、マイク・ウィル・メイド・イットと邂逅を果たす。マイクはインタースコープと共同でイヤードラマーズ・エンターテインメントを運営しており、2014年1月1日にレイ・シュリマーと契約。シングル作品をプロデュースし、アルバム『SremmLife』ではエグゼクティヴ・プロデューサーを務めて兄弟をサポートしている。
もちろん、レイ・シュリマーはただ出会いに恵まれてラッキーなデビューを果たしたわけではない。知識を共有しながらスキルを磨き続けて来た兄弟ラッパーは、若くしてそれぞれに強烈な個性を身につけていた。パワフルで嗄れた声を聴かせるのは兄のスリム・ジミー。そして、あどけなさを残した少年性ヴォイスが印象的な弟のスウェイ・リー。ダウナーなベース/トラップ・ミュージックの上で、とりわけフックを受け持ち歌い上げてゆくスウェイ・リーの存在感は、新世代到来の強烈なヴァイブを感じさせるものだ。
<ここは自慢禁止の区域だ/あいつらはいい思いをしてやがる>とアップセッターの立場に身を置き、反骨精神を燃やすシングル曲「No Flex Zone」(ドラマ仕立てのビデオも面白い)によってレイ・シュリマーは注目を集めるようになり、続く「No Type」はBillboard Hot 100で最高16位、ラップ・チャートでは2位を記録した。アルバム収録曲では元カノへの恨み辛みも向上心の燃料としてしまうし、一方でニッキー・ミナージュがゲスト参加する「Throw Sum Mo」では、女性の色香に負けて預金を使い果たす様子が歌われたりしている。若き兄弟は、ミュージシャンとしての成功に片足を乗せながらも、まだまだ多感な魂で人生経験を積み重ねている最中なのだ。
昨年末には、ザ・ルーツをバックにTVパフォーマンスを行い、或いはアッシャーのアトランタ公演に出演してヴァイタリティ溢れるパフォーマンスを繰り広げたレイ・シュリマー。今後は更に、多くの人の目に触れる場で活躍する機会が増えそうだ。エモーショナルなトラップ・チューンを乗りこなし、全身で躍動しつつラップする兄弟に、注目して欲しい。
Text:小池宏和
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