2014/11/03
デビューからはすでに50年を越え、73歳の現在でも来日公演を行ってくれるディオンヌ・ワーウィック。彼女の新作はデュエット曲をコンパイルした1枚で、ニーヨやジギー・マーリー、シー・ロー・グリーンやルーベン・スタッダード、ビリー・レイ・サイラス(若い人にはマイリー・サイラスの実父と紹介すれば通りが良いだろうか)らが参加している。
ディオンヌ・ワーウィックと言えば、バート・バカラック(作曲)/ハル・デヴィッド(作詞)の名コンビによる数多くの作品を歌ってヒットさせてきたことが有名だ。本作では、新曲の他にもカーペンターズのヴァージョンが良く知られる「Close to You」や、『明日に向かって撃て』の挿入歌「Raindrops Keep Falling On My Head」、もちろんディオンヌ自身のヒット曲も含め、バカラック/デヴィッド作品を数多く取り上げている。「Raindrops Keep Falling On My Head」は、レゲエ風アレンジを施してジギー・マーリーと歌っていたりするから楽しい。
もしかすると本作は、2012年に他界したハル・デヴィッドへのトリビュートでもあるのかも知れない。それにしてもなぜ、「Walk On By」や「I Say a Little Prayer」といったバカラック/デヴィッドの大名曲は収録されなかったのだろうか。ディオンヌは、2006年に多くのゲストを招いた『My Friends & Me』というアルバムをリリースしており、前述の楽曲はこちらに収録されている。また、今回の『Feels So Good』に収録されたマイアとの「Close to You」、シンディ・ローパーとの「Message To Michael」、そしてグラディス・ナイトとの「I Know, I'll Never Love This Way Again」は、『My Friends & Me』が初出となっている。
アイザック・ヘイズ作の「Déjà Vu」では、世代の差など一跨ぎにしてジェイミー・フォックスの歌声とロマンチックに絡み、表題曲「Feels So Good」ではシー・ローと足並みを揃えてグルーヴィーな楽曲を乗りこなしてゆく。思わず実際の年齢を忘れてしまいそうなディオンヌの活躍だが、ビリー・レイ・サイラスが自ら楽曲を提供してデュエットに望んだ「Hope Is Just Ahead」は、力強いホーン・アレンジも効いたカントリー・ブルースの名デュエットと言えるのではないか。極め付きはやはりニーヨとの「A House Is Not A Home 」。6分を越えるエクステンデッド・ヴァージョンも収録されている。
ディオンヌの家族も参加し、実子のレーベルからリリースされた『Feels So Good』は、名曲だらけ/名シンガーだらけでありながらも、どこかホーム・パーティに招かれたような、くつろいだ楽しみ方も出来る。それこそ、「家屋があっても家族がいなきゃ寂しいでしょ」と、ディオンヌに諭されているような感覚だ。
Text:小池宏和
◎リリース情報
『フィールズ・ソー・グッド』
2014/10/29 RELEASE
HSU-10013 2,371円(tax out.)
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