2014/02/22
2月20日(木)ビルボードライブ大阪でラリー・カールトンとデヴィッド・T.ウォーカーが夢の競演を果たした。
歴史的瞬間の目撃者となるために集まった観客は固唾をもうまく飲み込めない緊張感を漂わせ、その瞬間を待つ。そんな張りつめた会場が暗転し、ラリー・カールトンがソロでステージに登場。静寂な空間にふくよかな音色が響いた。アルペジオはやわらかく美しい余韻を残し、シングルノートは伸びやかでヴィブラートの残響音にはなんともいえない艶がある。とても贅沢なサウンドだ。
ソロパフォーマンスを終えたラリーがベースとドラムをステージに呼び込みトリオでグルーヴィーな演奏を繰り広げ、ついにその時が来た。ラリーが「ベリー、ベリー、ベリー、ベリー、ベリー、スペシャルゲスト、デヴィッド・T.ウォーカー」と紹介すると、デヴィッド・T.ウォーカーがステージに登場し会場からは盛大な拍手が沸き起こる。ギターのストラップを肩にかけてボリュームを調整しスタンバイOK。そしてついに流麗な二色の音が交わりあい空間に広がった。それも嬉しいことに初端からユニゾンである。デヴィッドの少し固めで抜けの良い柔らかいタッチの音色、ラリーの丸みを帯びつつも輪郭のはっきりとしたサウンドは、しっかりとお互いを尊重しながら絡み合うので、聴いていてなんとも心地よい。
もちろんラリーとデヴィッド各々がソロを取るのであるが、その際のお互いのバッキングというのも今回のライブの大きな聴きどころである。主役を最大限にお膳立てするそのバッキングはまさに職人技。サックスやピアノがソロを取る際には、ラリーもデヴィッドも共にバッキングにまわることになり、その際にお互いいわゆる“オカズ”をふんだんに盛り込んだフレーズを炸裂させるのであるが、不思議なぐらいにぶつかり合わず、それがサウンド全体の奥行きを創り出す。
ライブ中盤の曲間にラリーの口から思わず飛び出した「サウンズ・グッド」という言葉がなんとも印象的で、その一言でステージ上と客席が一体となった。
そして終盤にかけてはお待ちかねのマリーナ・ショウ『Who is this bitch anyway?』からのナンバーも披露、要所要所にちりばめられた聴き覚えのあるオブリガードが観衆の胸を熱くした。さらにアンコールではクルセイダーズの名曲が飛び出し、各パートの超絶ソロ回しが始まる。今回2枚看板の存在が大きく、バックメンバーのことを疎かにしていまいがちであるが、ドラム、ベース、サックス、キーボードと確かな実力を持った猛者たちが揃い、彼らの生みだずグルーヴも見逃せない。
数知れない伝説的なセッションやレコーディングを経験してきた“たくみ”たちの内側からにじみ出る心のこもった技が美しく響き合う素晴らしい響宴は、2月22日(土)・23日(日)にビルボードライブ大阪、2月24日(月)~28日(金)にビルボードライブ東京で観ることができる。このとても貴重な機会を逃すわけにはいかない。
PHOTO:Kenju Uyama
◎公演情報
【ラリー・カールトン&デヴィッド・T.ウォーカー】
ビルボードライブ大阪公演
2月20日(木)~23日(日)
http://www.billboard-live.com/pg/shop/show/index.php?mode=detail1&event=8817&shop=2
ビルボードライブ東京公演
2月24日(月)~28日(金)
http://www.billboard-live.com/pg/shop/show/index.php?mode=detail1&event=8816&shop=1
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