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2025/09/20 20:00

<ライブレポート>w-inds.がツアーで見せた進化と“前に進んで行く強さ”

 w-inds.が、3月26日にリリースした16枚目のアルバム『winderlust』を引っさげたツアー【w-inds. LIVE TOUR 2025 "Rewind to winderlust"】を7月からスタートさせ、9月20日の愛知公演で国内ツアーファイナルを迎えた。本レポートでは7月16日の東京・NHKホール公演の模様を伝える。

 アンコールを含めて全26曲。アルバムリリース後のツアーとあり、『winderlust』収録全10曲をパフォーマンス、本ツアーでダンスパフォーマンスが初披露される曲も多く堪能できた。しかしセットリストには新曲だけではなく、新曲と初期からの旧知の曲がバランス良く組み込まれていたのも注目ポイント。ブロック構成も新曲だけを固めるわけでもなく、昔の曲が新曲へ繋ぐスパイスとしてほどよく効いていたのが印象的だった。これは、2人体制になった2020年から試行錯誤を続けたw-inds. が、2022年の新体制初のツアー【We are】で踏み出し、最新ナンバーだけで構成した2023年のツアー【Beyond】で得た確信と、初期曲だけで構成した2024年のツアー【Nostalgia】で実感した過去へのリスペクトを経たものの結実だったのではないだろうか。そういった意味でも、新アルバムのスタートを飾る「Zip It」から始まり、アンコールの最後をデビュー曲「Forever Memories」で締める演出は、彼らの24年間を駆け抜けるようなエモさに満ちていた。

 NHKホールはツアーがスタートして3公演目という序盤であったが、橘慶太は4曲が終わったところで早くも「すごい充実感!」と興奮気味に言いながら、「【We are】、【Beyond】、【Nostalgia】と新体制で行った3年間のツアーは、自分たちのパフォーマンスの新しい可能性を探し求めてきた旅のようでした。その中でどんどん光が見えて、前向きになった気持ちがアルバム『winderlust』に現れています。これまで過ごした3年間の自分たちの今の集大成、自分たちのあり方を皆さんに感じてもらえたらと思って作ったツアーです」と手ごたえを感じている本ツアーの意義を語った。

 MVで世界的なダンススキルを誇るGANMI全員を従えて13人の圧倒的なシンクロダンスを見せたアルバムリード曲「Who’s the Liar」では、ダンサー6人と見事な生パフォーマンスを披露して会場を盛り上げる。かと思えば「Paradox」は極力ダンスを排除して歌を聴かせる。そんなメリハリもお見事。

 ソロ曲も1曲ずつパフォーマンスを披露。未発表の新曲を持ってきたのは驚きなのだが、楽曲制作を担当する橘らしいといえば橘らしい。当の橘は、攻撃的なR&B曲「ORIGINALISM」でステッキとイスを使った大人の魅力あふれるスタイリッシュなパフォーマンスを見せた。千葉は橘とは対照的な、爽やかで癒しを感じさせる「The End of waiting」を披露。かねてから「曲作りは趣味のようなもの」といっている橘だが、千葉のために10曲もの楽曲を提示。その時の様子を千葉は「シェフのように“お好みは?”と勧めてくる」と笑ったが、その中から「みんなとの空間が想像できた」という「The End of waiting」を選んだ。

 2人体制となって4回目のツアー。ずっとダンスをメインに担い歌はコーラス程度だった千葉が、20年目にして橘と双璧のツインボーカルとなるというのは劇的な変化だ。しかし懐かしの曲を違和感なく歌いこなすだけでなく、少年のように透明感のある千葉の歌声はどこか青春の香りがして、橘とのコンビネーションが抜群だと改めて感じさせる。

 橘も「2人になったアルバム『20XX “We are”』の時は前向きな気持ちも強かったけれど、悩みや不安があった。今回のアルバム『winderlust』で、ようやく自然体で自分たちの音楽が届けられているのを感じています。辛いことがない人はいない。でもいつか前を向ける日がくると信じている。皆さんにもポジティブな曲を聴いてほしい」とアルバム『winderlust』からの楽曲を「One more time」、「Rookies」、「Run」と続けると、「Let’s get in on」では、会場中が同じペンライトの動きで彼らのバイブスに応えた。

 本編の最後は懐かしの曲を固めたが、「変わりゆく空」と「New World Remix ver.」では大きなコールアンドレスポンスを堪能しながら、会場のファンと一体感を作り上げた。

 アンコールでは「Imagination」を歌い、「3年間の終着地点のよう。苦しい時間が何度もあった。あきらめようとした時もあったけれど、ライブやSNSのみんなの想いに触れて踏ん張ってきた。僕たちが苦しい時、皆さんが支えたくれた。それはまるで家族のよう。そんな想いをこめた楽曲です」と語り橘がステージに呼び込んだのは、島袋寛子、谷内伸也(Lead)、 KIMI(DA PUMP)の3人。NHKホールだけのゲストだという『winderlust』に収録された「Like a fam」でフィーチャリングを務めた事務所のファミリーが総登場するサプライズに会場から大きな歓声が上がると、島袋寛子の伸びやかの歌声と谷内伸也、 KIMIのキレのあるラップが会場を包み込んだ。

 この日のラストを飾ったのは、彼らのデビュー曲「Forever Memories」だ。ステージの上で2人だけで歌う橘慶太と千葉涼平。会場にマイクを向けると大きなシンガロングが響き渡る。w-inds.とw-inds. crewの24年間がこの曲に乗って会場のすべての人の心の中を駆け巡ったようだった。

 橘がMCで、「【Nostalgia】では過去の楽曲だけ、【Beyond】では新しい曲だけ、【Future/Past】ではブロックで分けるライブをしたこともあったけれど、それらを全部混ぜたのは、初の試み。特に【Nostalgia】はみんなの思い出を超えられるか、思い出を汚してしまわないか考えると怖かった。でも去年【Nostalgia】をやることですごく自信が付いて、どの年代のw-inds.も愛おしくなって充実したライブになった。だから今年は、更に“いってやろう!”という気持ちを込めて踊りまくっています(笑)。毎年ツアーができるのは当たり前じゃない。感謝しなくちゃ」と熱い想いをファンに伝えたが、w-inds.は過去を切り捨てずに、アップデートし続けている。来年の25周年に向けて、そのことが再確認できたライブだった。

Text by 坂本ゆかり
Photo by 宮脇進

◎公演情報
【w-inds. LIVE TOUR 2025 “Rewind to winderlust”】
2025年7月05日(土)埼玉・戸田市文化会館 大ホール
2025年7月06日(日)埼玉・戸田市文化会館 大ホール
2025年7月16日(水)東京・NHKホール
2025年7月21日(月・祝)千葉・森のホール21 大ホール
2025年8月11日(月・祝)大阪・フェスティバルホール
2025年8月17日(日)東京・J:COMホール八王子
2025年8月22日(金)福岡・福岡国際会議場 メインホール
2025年8月23日(土)福岡・福岡国際会議場 メインホール
2025年8月31日(日)宮城・トークネットホール仙台
2025年9月20日(土)愛知・Niterra日本特殊陶業市民会館 フォレストホール

【w-inds. LIVE TOUR 2025 "Rewind to winderlust" in in Hong Kong】
2025年10月4日(土)OPEN 17:30 / START 19:00(現地時間)
会場:AsiaWorld-Arena

【w-inds. LIVE TOUR 2025"Rewind to winderlust" in Taipei】
2025年11月29日(土)OPEN 18:00 / START 19:00(現地時間)
※当日の状況により変更の場合があります。
会場:TAIPEI INTERNATIONAL CONVENTION CENTER

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