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2019年の2月におこなわれた神奈川・横浜アリーナでのライブを最後に活動休止をしてから、5年と9か月。どれだけの人がこの日を待っていただろう。2024年11月13日および14日に、その思い出の地である横浜アリーナで、西野カナの復帰後初となるライブ【Kana Nishino Love Again Live 2024】が開催された。ここでは最終日、14日の模様をレポートする。
開演前。会場には西野カナのこれまでの名曲が流れる中、ファンは手に持ったライト“フリフラ”を揺らし、登場をいまかいまかと待ち望んでいる。その表情は、揃ってとても嬉しそうで、彼女と再会できる喜びに溢れている。その高揚感は開演時間が近づくにつれ押さえきれない声となり、彼女の名前を呼ぶ声が何重にも重なっていく。そしてついに「if」のイントロが始まり、薄紫のドレスを身にまとった美しい姿の彼女が登場すると、会場には割れんばかりの歓声が。この瞬間、西野カナが本当に帰ってきたことを実感し、思わず目頭が熱くなった人も多いはずだ。
ステージにいるのは、小さな手には少し大きい、いつもの真っ白いマイクを口に近づけ、より目の前の人たちに届けようと、少し前傾姿勢で歌う姿。それは間違いなく、あの西野カナだ。彼女が大好きなグリーンとピンクのライトに包まれ、しっかりとした歌声をひとつひとつ届けていく。大きな会場にもかかわらず、ビジョンにその姿をまだ写さないことで、ステージの中心で歌う彼女はまるで一輪だけ咲いた花のように輝き、その姿に全員が集中。誰もが一音をも逃さないようにその歌声を聴いている。全員が再会を噛みしめていた瞬間だった。
2曲目の「遠くても feat.WISE」で、大きなビジョンにはついに彼女の本当に嬉しそうな笑顔が映し出される。「ただいま~!」との叫びに、客席からは「おかえり~!」という大きな声が上がり、その絆を確かめ合っていく。この瞬間、〈君と出会えたことが/かけがえのない宝物〉という歌詞が、彼女とファンの関係にリンクしたように思えた人も多いはずだ。時折西野が「歌って!」とマイクを向けると、この5年間、ずっと曲を聴き続けて来たであろうファンからは大きな声が上がっていく。
少し興奮気味に「めっちゃうれしいです! 今日ここで会えることをめっちゃ楽しみにしてきました!」「お顔見せて!」と西野が話した瞬間、とても気さくで、ファンを友達のように愛してくれる彼女の自然体ないつものMCが蘇り、彼女が5年前から変わっていないことを実感することができる。まるで、5年間会っていなかった仲の良い友達と再会した瞬間、当時と同じ空間がすぐ戻るような、あの感覚。そうだ、カナやんはカリスマ性を持つ国民的シンガーでありながら、みんなの親友のような存在だったことを思い出す。だからこそ、こんなにも共感できる曲を、何年経っても心に沁みる曲を歌い続けてくれるのだ。
ファンとの距離の近いコミュニケーションを取り「よっしゃ!」と気合いを入れて「Have a nice day」をパフォーマンス。エメラルドグリーンのミニワンピに着替え、ダンサーたちとパワフルに歌う姿はとてもキュートでたまらない。ダンサーに手渡された枕をぎゅっと抱きしめ、ステージに腰掛け、アコギの音色から始まる「Darling」が始まると、クラップが始まり会場はひとつに。
ニーハイブーツにミニスカート、ロング丈のグローブとハイポニーテールというクールな姿に着替え、疾走感あふれるロックチューン「15」を熱唱。歪むギターの音色に乗せて吐き出すかのように歌う熱さと、力強いコール&レスポンスで構成されるこの曲は、新たな彼女の引き出しを感じることができる。
その後、情感たっぷりに「もっと…」「Distance」と思い通りにならない恋愛への執着を歌い、盲目になる姿をしっかりと聴かせたかと思えば、「No.1」ではカラッとした表情で楽しそうに恋する気持ちを歌う。その後ビジョンに「BRAVE HEART」と映し出されると、客席から悲鳴にも似た声が上がる。実はこの曲は、彼女の名曲を多く生み出してきたGIORGIO 13 CANCEMIによるNERDHEADの楽曲「BRAVE HEART feat.西野カナ」。2010年1月にリリースされた約15年前の隠れた名曲をここで聴くことができ、ファンの興奮は収まらない。「私もこの曲がめっちゃ好きで。この曲に背中を押してもらったから、みんなに聴いてもらいたいと思って歌わせてもらいました!」と嬉しそうにコメント。さらに、その後ライブで初めて歌うという「Still love you」も披露。「Darling」のカップリング曲だった名曲をドラマティックに、切なく歌い上げていく。彼女が描く歌詞の世界はとても映像的かつ、表現力が長けているからこそ、まるで短編映画を見ているような感覚になる。まさにこの曲は主人公が想像しやすいからこそ、没頭し涙を流す人も見受けられた。
映像を挟み、ビックバンドの音が流れると、ファンタジー色の強いビジョンとともにダンサーが登場し、見る人たちを夢の世界へ連れていく。気持ちが高揚し「次は何が起きるのだろう」とワクワクしていると、イエローのクラシカルなコートドレスに着替え、ハットをかぶった西野が登場し、コミカルに「イントゥ・ミー」のショータイムが開始。さらにダンサーに囲まれたかと思えば、早着替えでブルーのタイトなドレスに着替え「MEOW」を気高い猫のように上品に歌い、今度はベビーピンクのドレスに着替え、アレンジが加わった「FANTASY」で盛り上げると、ゴージャスに「I wanna see you dance」をパフォーマンス。すると今度は空から赤い紙吹雪が振り、その瞬間に胸元にハートをあしらったベロアのミニワンピに変身! 圧倒されっぱなしの衣装と歌声で魅了していく。
美しく儚い「このままで」のピアノイントロが流れると、水色のドレスをまとった西野が船に乗り登場。バラードでしっかりと、ロマンチックに聴かせていく。続く「君って」では、美しく歌い上げた瞬間、サビでたくさんのランタンが客席から空へと舞い上がり、あまりにも素敵な空間に多くの人たちからため息がこぼれていく。本当に美しく、幻想的な空間だった。
ラストスパートはトロッコに乗って「GO FOR IT !!」「LOVE & JOY」でより客席近くへ行くと、会場の温度がさらに上がる。そしてステージへ戻り「トリセツ」を歌うと、本当に楽しそうに、嬉しそうに歌う姿に胸がいっぱいになる。歌詞の〈これからもどうぞよろしくね〉という言葉に、大きくうなずいた人も多い事だろう。
最後のMCでは、活動をお休みしている間に旅行をした話を、仲の良い友達へ報告するように嬉しそうに話した西野。その後、バンドメンバーやスタッフへの感謝を話した後、少し言葉を詰まらせ、「いつもみんなの存在に助けられています。本当にありがとう」と最高の笑顔を向けてくれた。
本編ラストは「また君に恋をする」を、大きな瞳をキラキラと輝かせながら歌唱し、遠くまで手を振る。西野がマイクを向けるとみんなでシンガロングが始まり、さらに会場はひとつに。
アンコールでは、再スタートを切った曲「EYES ON YOU」を歌い、「今日は忘れられへん一日になったなって胸に刻んでいます!」と叫ぶ。ラストは「Best Friend」をみんなで歌い、最高の笑顔で幕を閉じた。
2025年には、アリーナツアーの開催がすでに決定している彼女。これからも間違いなく、深く共感でき、一緒に笑って泣いてしまうような名曲を届けてくれることだろう。そんな彼女のさらなる可能性を、しっかりと感じられる素敵なライブだった。そしてその場にいた誰もがこう思ったはずだ。本当に、帰ってきてくれてありがとう、と。
Text:吉田可奈
◎公演情報
【Kana Nishino Love Again Live 2024】
2024年11月14日(木) 神奈川・横浜アリーナ
▼セットリスト
1. if
2. 遠くても feat.WISE
3. Have a nice day
4. Darling
5. 15
6. メドレー①
(もっと... ~ Distance ~ No.1 ~ BRAVE HEART feat.西野カナ)
7. Still love you
8. メドレー②
(イントゥ・ミー ~ MEOW ~ FANTASY ~ I wanna see you dance)
9. このままで
10. 君って
11. GO FOR IT !!
12. LOVE & JOY
13. トリセツ
14. また君に恋をする
En1. EYES ON YOU
En2. Best Friend
【Fall In Love With You Again Tour 2025】
2025年4月5日(土)、6日(日) 大阪・大阪城ホール
2025年4月26日(土)、27日(日) 福岡・マリンメッセ福岡A館
2025年5月10日(土)、11日(日) 東京・国立代々木競技場 第一体育館
2025年5月24日(土)、25日(日) 愛知・Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場)
2025年5月31日(土)、6月1日(日) 北海道・北海きたえーる
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