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2024/09/07

【SUMMER SONIC 2024】マネスキン、大音量のロックプレイと開放感に身を委ねた東京初日

 8月17日と18日に開催された【SUMMER SONIC 2024 TOKYO】の初日ヘッドライナーをイタリアのロックバンド、マネスキンが務めた。会場のZOZOマリンスタジアムにはスタンド最上階まで人でいっぱいに。大合唱が起きたパフォーマンスの一部始終をお伝えする。

 スタート時間の19:25より数分早く、ギターのトーマスが登場し、ドラムのイーサン、ベースのヴィクトリアの順に立ち位置につく。そしてボーカルのダミアーノがオンステージし、時間通りに本番スタートという流れだ。スタートナンバーは「ドント・ワナ・スリープ」。筆者はスタンド席から鑑賞したが、グラウンドはもちろん、スタンドのどこもかしこも観客が一斉に立ち上がり、シャウトして4人を迎えた。

 イーサンのドラムプレイは終始シームレスに次の曲へと繋いでいく。流れるように「ゴシップ」「ジッティ・エ・ブオーニ」へ。ここまで多くの人が日本でイタリア語を叫ぶのを見るのは初めてだ。今年は特にグローバル感が増したサマソニ。老若男女がマネスキンのロックに全身全霊、身を委ねている。

 代名詞のロングヘアをなびかせるイーサンをバックに、他3人はとにかく動く。エッジーなサウンドに負けず、各メンバーが放つオーラはステージから何百メートル離れていても伝わってきた。みな背が高く、シルクやビーズ、スタッズのトップスは陽が沈んだステージでも人物像をきちんと掴める、見えやすい効果をも作っていた気がする。

 バンドを代表してダミアーノが挨拶。「大好きな国で、大好きなオーディエンスの前に今こうして立てて嬉しいです。(台風の影響で)フライトはめちゃくちゃだったけど、そんなことはどうでもいいんです。一緒に騒ぎましょう!」と、「ハニー(アー・ユー・カミング?)」「スーパーモデル」と人気曲が続く。花道で跪きながらベースを引っ掻き鳴らす紅一点と、顔を付き合わせるギタリスト、怒号のように連打するドラムプレイ、ダミアーノの唯一無二のボーカルが体の奥深くに響く感覚は病みつきになる。

 「ガソリン」は忘れもしないパフォーマンスだった。背徳な雰囲気が漂い、ダミアーノの鬼気迫る目つきとボーカルは、奥に隠している本性を呼び起こしてしまいそうな、一種の扇動者のようなパワーがあった。宗教や厳しい規律の中で縛られている息苦しさがあるからこそ、彼らのスタイルや音楽から自由や解放感を感じるのだろう。ドラムに合わせて両手が上下するアリーナ。プレイに集中するあまり、ヴィクトリアの胸が見えてしまったシーンは、もはやハプニングでもなく彼女の生き方を写していた。

 「暑すぎるので、少し動きを抑えます」(ダミアーノ)と、「コラリーン」を座って演奏したのだが、その静粛も束の間、喉を鳴らして「ベギン」でスタジアムは熱狂の渦に。オーディエンスを休ませる気は一切なく、ヴィクトリアは下手エリアのオーディエンスに紛れ込んで楽しそうにしていたのが印象的だった。

 トーマスのギターが素晴らしすぎるため、ダミアーノの一番好きな曲になったという「フォー・ユア・ラヴ」は彼の言うとおり、トーマスのギタープレイが炸裂する。そんな彼にダミアーノは大きな照明を自ら担いでスポットライトを当てるという愛情っぷり。

 人気が高い「アイ・ワナ・ビー・ユア・スレイヴ」は、一人でも欠けては成り立たない、そう思わせる絶品のパフォーマンスだった。それぞれの特徴的なリフレインが大音量で流れ、それに合わせてメンバーもオーディエンスもなりふり構わず身を任せる。ロックの波に飲み込まれる感覚と4人のプレイを、この真夏のスタジアムで味わえてよかったと心底感じた瞬間でもあった。「膝をついてくれるかな?」と4つの合図で全員ジャンプの嵐。スラップを利かすヴィクトリアの清々しい表情がなんとも言えない。

 そんなヴィクトリアに視線が集まるソロプレイ(もちろん冒頭から力強いドラムを叩き続けるイーサンのプレイも)を経て、「マンマミーア」へ。ダミアーノの息遣いにやられつつ、最後本人は水を思いっきり吹いてフィニッシュした。

 パールのクロスが胸元で揺れるトーマスはギターソロに加え、PAブースのテントにまで足を延ばして、オーディエンスの隅々にまで近づく(カメラマン、よく追いつきました!)。今年のマリンステージには花道があるため、オーディエンスにとってもアーティストにとっても、より密度の濃い瞬間を作ることができたと思う。観客に背中を貸しながらプレイに勤しむトーマス。そんな彼を愛おしそうに見るダミアーノは、心に刻もうとしてか、両指でカメラのシャッターを切っていた。

 また喉を鳴して、〈ハーハーハハ ハハーハー〉で始まった「ブラ・ブラ・ブラ」でダミアーノは歌詞に合わせて表情を変えたり、マイクを舐めたり腰をゆっくり回したり。中指を立て唾を吐くシーンまであり、挑発的に恨みつらみを発散していく姿がなんとも気持ちがいい。

 恒例のクールキッズをステージに乗せた「クール・キッズ」で締めた一行だが、大舞台をそのまま終わらせるはずもなく、トーマスの5分以上のギターソロでステージは再開。ダミアーノのボーカルが活きる悲しいラブソング「ザ・ロンリエスト」を何千もの光がサポートする光景はとても美しかった。

 お辞儀と投げキッスで丁寧にオーディエンスに感謝を伝え、「最後にこの歌を」と「アイ・ワナ・ビー・ユア・スレイヴ」を再度演奏するサプライズ。「みなさん最高です! また日本に戻って来られて嬉しいです。ありがとうございます。(翌日の大阪公演に向けて)ガンバリマス!」と叫んで、全員しゃがんで最後に大ジャンプするシーンも忘れていない。この日一番の盛り上がりを作って、マネスキンはステージを後にしたのだが、ずっと自分の位置から動けなかったイーサンは最後、センターロードを駆け、オーディエンスに両手を合わせる仕草を送り、オーディエンスも彼に敬意の拍手を送った。大御所バンドに引けを取らない歌唱力とパフォーマンスで、夏を代表する大型フェスの大役を果たした4人に誰も文句なし!


Text by Mariko Ikitake
(C) SUMMER SONIC All Copyrights Reserved.

◎公演情報
【SUMMER SONIC 2024】
2024年8月17日(土)、18日(日)
千葉・ZOZOマリンスタジアム、幕張メッセ
大阪・万博記念公園

◎セットリスト
【SUMMER SONIC 2024】
※2024年8月17日公演
1. DON’T WANNA SLEEP
2. GOSSIP
3. ZITTI E BUONI
4. HONEY (ARE U COMING?)
5. SUPERMODEL
6. GASOLINE
7. CORALINE
8. Beggin’
9. FOR YOUR LOVE
10. I WANNA BE YOUR SLAVE
11. MAMMAMIA
12. IN NOME DEL PADRE
13. BLA BLA BLA
14. KOOL KIDS
15. THE LONELIEST
16. I WANNA BE YOUR SLAVE

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