2024/08/30 17:00
【秘密のおさかなパーティー】って一体何だ? それは、おいしくるメロンパンが公式ファンクラブ「わだつみベーカリー」のために開催する、FC会員限定の特別なライブだ。8月22日と23日の夜、会場は神奈川県の、はまぎんこども宇宙科学館にあるプラネタリウム。秘密と聞けばついつい見たくなる、パーティー最終日の中身をこっそり覗いてみよう。
「寝てるやつ、起きろー」(原)
座り心地のいい椅子に沈み、薄闇の中でリラックスしている観客に向けて、原駿太郎がおどけた声を出して笑わせる。通常のライブとは違う、より親密なムードが嬉しい。演奏スタイルもいつもと異なり、原はドラムをカホンに持ち替え、ナカシマのギターと峯岸翔雪のベースはアコースティック。ナカシマが1曲目「caramel city」を歌いだすと、直径23メートルのドームに満天の星が映し出され、いくつもの流れ星が空を横切る。「泡と魔女」「走馬灯」と続く、アップテンポの曲もしっとりと響く。ナカシマの独特の中性的なハイトーン、シンプルなアコースティックサウンド、輝く星空。ロマンチック度は満点だ。
「プラネタリウムでライブができるなんて、思ってもみませんでした。今日は特別なライブなので、とてもワクワクしています」(ナカシマ)
ナカシマの呼びかけで、明かりを消して星空だけにしてみたり、原のリクエストで、今宵の月をドームいっぱいに浮かび上がらせたり。峯岸はふたご座生まれ、ナカシマはてんびん座生まれということで、空に星座を映しながら、原が得意の(?)星座占いで盛り上げたり、なごやかな笑い声が響く。「星座の歌を聴いてください」と、「憧景」に繋げる曲順もハマっている。歌詞に合わせて、逆さに落ちる鳥=わし座の姿が空に浮かぶのも、素敵な演出だ。
「流れ星、みつけましたか? 願い事をしてみてください」(峯岸)
演奏中も時折、空を見上げていた峯岸がぽつりとつぶやき、「ドクダミ」でミニサイズのエレクトリックベースを弾いた。「蜂蜜」もベースの目立つ曲で、原のカホンの正確さ、ナカシマのギターの繊細な爪弾きなど、3人の演奏力と表現力の豊かさがよく見える。「黄昏のレシピ」の、きれいな三声のハーモニーもよく聴こえる。どれもアコースティックならでは、FCイベントならではのお楽しみだ。
原が幼稚園の頃に体験したプラネタリムの思い出を語ると、峯岸が中学校の運動部時代、夜のランニングで見た星空の記憶を語る。「UFOを見た」という話がどんどん脱線し、ナカシマが大学時代に目撃した「オタクとUFOキャッチャー」のエピソードには全員が大笑い。なんともシュールな話の展開をひとことでまとめると、「星の話をすると誰もが童心に返っていく」ということかもしれない。みんな楽しそうだ。
次のセクションは、水にまつわる曲が揃った。「眠れる海のセレナーデ」「水葬」「亡き王女のための水域」と、幻想的なムードのスローナンバーが続く。ナカシマの澄んだ歌声とアコースティックギターを真ん中に、カホンとベースが寄り添うようにリズムを刻む。ふと見上げると、たくさんの流れ星がひっきりなしに流れ落ちる。星と音楽がどちらも主役になって、今この場所にしかない美しいシーンを作り出す。
「こんな特別な場所でやれているのがとても嬉しいです。それも、応援してくれているみなさんのおかげです」(原)
「前に水族館でやって、今回はプラネタリムでやって。こういう特殊な場所でまたやりたいね」(峯岸)
「みんなの支えがあって活動できているし、普通ではできないようなライブもできるので、すごく感謝しています。感謝の気持ちを音楽で返していくので、これからもよろしくお願いします」(ナカシマ)
残り3曲、アンコールはなし。あらかじめそう告げて、ナカシマが「波打ち際のマーチ」を歌いだす。ゆったりとうねるリズムが、心地よく体を揺らす。波打ち際から「look at the sea」へ、海のイメージが広がっていく選曲がいい。おいしくるメロンパンの歌には、季節や自然、宇宙を感じる言葉が多く、映像との相性がとてもいい。天頂にはすばるが輝き、オリオンが昇る。夏の星座がいつのまにか冬の星座に代わり、また夏が巡ってくる。歌のドラマと空のドラマが、壮大なハーモニーを奏でている気がする。
ラストを飾るのは、ロングヒットを続けるバンドの代表曲「色水」。物悲しいメロディ、けだるいムード、鋭いリズム、過ぎてゆく夏の匂い。せつなさをたっぷりたたえた、この季節に聴く「色水」は格別だ。降るような星空の下で聴けば、なおさらじんわり心に沁みる。
「ありがとうございました。おいしくるメロンパンでした」(ナカシマ)
全13曲で80分間の、星と音楽の夕べ。FCイベントならではの親密な雰囲気の中、アコースティックでありつつもダイナミックな演奏、よく練られた星空の演出、メンバーの素顔が覗く楽しいMC等々、普段は見られないおいしくるメロンパンの魅力満載の【秘密のおさかなパーティーvol.5】を、現場で楽しめた人はラッキーだ。「FCイベント、またやります」と、ナカシマは約束してくれた。次はどんな場所で、どんな世界を見せてくれるだろう。
バンドは現在、最新EP『eyes』のリリースにともなう【おいしくるメロンパン eyes tour - 春夏秋冬レイトショー -】の真っ最中だ。ファイナルは、11月7日のTOKYO DOME CITY HALL。今年の1月、LINE CUBE SHIBUYAで初のホールコンサートを成功させ、バンドはまた一つレベルを上げた。さらなる高みを目指して疾走中、おいしくるメロンパンを味わうのは今だ。
Text:宮本英夫
Photo:郡元菜摘
◎セットリスト
【秘密のおさかなパーティーvol.5 in はまぎんこども宇宙科学館】
2024年8月22日(木)、23日(金)神奈川・はまぎんこども宇宙科学館 プラネタリウム
1. caramel city
2. 泡と魔女
3. 走馬灯
4. 憧景
5. ドクダミ
6. 蜂蜜
7. 黄昏のレシピ
8. 眠れる海のセレナーデ
9. 水葬
10. 亡き王女のための水域
11. 波打ち際のマーチ
12. look at the sea
13. 色水
◎ツアー情報
【おいしくるメロンパン eyes tour - 春夏秋冬レイトショー -】
2024年9月6日(金)埼玉・HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
2024年9月8日(日)福島・郡山HIPSHOT JAPAN
2024年9月14日(土)香川・高松 DIME
2024年9月16日(月・祝)静岡・LIVE ROXY SHIZUOKA
2024年9月21日(土)北海道・旭川 CASINO DRIVE
2024年9月23日(月・祝)北海道・札幌 PENNY LANE 24
2024年9月29日(日)大阪・なんばHatch
2024年10月5日(土)熊本・B.9 V1
2024年10月6日(日)鹿児島・CAPARVO HALL
2024年10月12日(土)新潟・新潟LOTS
2024年10月14日(月・祝)山梨・甲府CONVICTION
2024年10月19日(土)愛知・名古屋 DIAMOND HALL
2024年10月26日(土)鳥取・米子 AZTiC laughs
2024年10月27日(日)広島・VANQUISH
2024年11月7日(木)東京・TOKYO DOME CITY HALL
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