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THE ALFEE「現役でいる限り懐メロにならず!」50周年の幕開けとなった春ツアー大成功! 完全版ライブレポート公開

 1973年の結成以降、日本で最も数多くのライブを開催してきた(グループ最多公演記録保持)THE ALFEE。デビュー50周年を迎えた2024年、4月3日から7月7日にかけて春の全国ツアー【THE ALFEE 50th Anniversary 風の時代・春 From The Beginning】を開催した。この記事では、NHKホールで行われた東京公演のレポートをお届けする。

<祝祭モード全開! 50周年の幕開けとなった春ツアー>

 本ツアー終了後のインタビューで「いつもの春ツアーよりも盛り上がりましたね。50周年ということもあったし、ツアー中に坂崎と俺が古希の誕生日を迎えたりもしたから、よりそういう風に感じたのかもしれない。50年間、やり続けてきたことの証としてのツアーだった(高見沢俊彦)」「各地、ソールドアウト。ここに来てさらに盛り上がってきている印象は受けましたね。コロナ禍で2年間ツアーを観られなかったことも影響しているのかな。コンサートに行かなくていい。そう思うようになった人が増えている傾向があると聞いていたけど、嬉しいことにウチらの場合は逆だった。みんな、観たくて観たくて仕方ない感じ。その気持ちが今年の春ツアーでヒシヒシと伝わってきましたね(坂崎幸之助)」とメンバーも語っていたが、今回の春ツアーは祝祭モードの空気に溢れており、50年目にして彼らがキャリアハイを迎えたと実感させる内容だった。

<「(ライブの)頭からとんでもないことが起こりました(笑)」>

 荘厳なオーケストレーションに包まれながら桜井賢、坂崎幸之助、高見沢俊彦の3人が登場すると、50周年の幕開けに相応しい煌びやかなオープニングに凄まじい声援と拍手喝采が巻き起こる。高見沢がタイミングを間違えてひとり前進してしまうハプニングはあったものの、感動だけでなく天然で笑いも生んでしまうのもまたTHE ALFEEらしさと言えよう。そして、3人が1曲目に歌い奏でたナンバーは、歴史的名盤『夢幻の果てに』より「悲劇受胎」。より激しさとプログレッシヴさが増した新アレンジで満員のオーディエンスを圧倒していき、そのままノンストップで「冒険者たち」「Final Wars!」を畳み掛ければ“果てしなき浪漫へ誘う”ように疾走していく三声ハーモニーとアグレッシヴなバンドサウンド、高見沢のギターソロも“遥かな銀河を超えて 光ある世界の果てへ”突き進むように爆発的な存在感を放っていく。

 「今日は頭からとんでもないことが起こりました(笑)」と高見沢のことをイジりつつ「このあとも何が起こるか楽しみにして頂きたいと思います! 初めての方もいつも来てくれている方も、50年目の生の元気なTHE ALFEEを楽しんで下さい! 最後までよろしくね!」と坂崎が挨拶すれば、曲は軽快なシャッフルビートと共「Juliet」へ。「君が好きさ大好きさ! 世界中で誰よりも君が好きさ!」と50年分のラブコールをファンと共に叫び合い、その直後に「この素晴らしき愛のために」で“たった一度の人生を この素晴らしき愛のために”と誓い合い、このドラマティックな流れで伝家の宝刀「星空のディスタンス」を早くも披露すれば、早くも会場はクライマックスのようなカタルシスに到達する。必ずと言っていいほど毎公演歌い続け、その度に爆発的な一体感を生んできた代表曲だが、50周年の祝祭モードを飲み込んで更にその熱量を増していた。これぞ永遠の名曲である。

<50周年で更に磨きのかかるTHE ALFEEのコントコーナー?>

 前半戦を駆け抜けると、50年目も笑いの絶えないコントさながらのMCコーナーへ。坂崎が「頭の演出はあれで合ってるのかなと思いましたけど。初めての人は「THE ALFEEってああいう感じで始まるんだ。足並み揃わないバンドだな」と思ったかもしれない(笑)」と再びイジれば、悲しげなピアノの音色と共に現れた桜井&高見沢は「実は僕らは双子なんです。モスラの卵を返してください!」と突拍子のないザ・ピーナッツネタで爆笑を誘い、坂崎から「双子にしては似ても似つかないじゃん。毛量も毛質も顔の大きさも違うじゃん!」とツッコまれる。そして、桜井の名物コーナーであるグッズ紹介では「私、坂崎の中学校で数学の教師をしておりました桜井賢と申します。現在は派遣でTHE ALFEEのベースを担当する傍ら、THE ALFEEのグッズ販売促進部で営業部長を担当しております!」とご挨拶。先ほど「コントさながら」と書いたが、これはもう完全なるコント(笑)。50周年を迎えるほどのキャリアを積んだというのに、学生のようにバカバカしいノリで笑い合う3人の愛おしさよ。

 余談だが、8月14日にリリースされるTHE ALFEE50周年記念トリビュートアルバム『五十年祭』には、日本を代表するコントトリオ・東京03が参加。メンバーの飯塚悟志が高校時代から大好きで愛聴している「My Truth」を3人で歌唱しているのだが、これを機にいつかTHE ALFEEとコントでコラボレーションしてほしいものだ。

<歌手、演奏者、演奏者としてのキャリアハイ>

 「THE ALFEEは永遠の青春を生きるバンド」だと実感させるコントコーナーもといMCコーナーを経て、彼らが歌い始めた曲は「My Life Goes On」。それこそ青春を感じさせる3拍子のフォーキーな音色に乗せて、天国へ行ってしまった愛猫への想いを歌う坂崎と、それに寄り添う桜井と高見沢のコーラス。終盤の愛と平和の音楽へと昇華されていく展開が涙を誘う。さらには、THE ALFEEの代表的な名バラード「COMPLEX BLUE -愛だけ哀しすぎて-」が高見沢の泣きのギターと共に響き渡り、桜井が「行かないで 行かないで 痛いほど好きだから」と哀しみの限りに歌い上げれば、その物語がまるで自分の恋愛のように感じられて胸を締めつけられてしまう。そして「A Last Song」。愛する人を想うラブソングが今度は高見沢の美しいハイトーンで届けられ、会場中を賛美歌のように優しく包み込んでいく。少し前まで爆笑の渦を生んでおきながら、涙なしに聴けない歌で会場を染め上げるTHE ALFEE。改めてその表現力の幅と深みに驚かされるブロックだった。

 「50周年。出逢ってから50年以上ずっと一緒にいますからね、本当に。バンドには大学1年のときに誘われたんですけど、人と交わってこそ自分というものが分かりますよね。自分の良さも悪さも。それで、このバンドに入っていちばん最初に気が付いたことは「あ、俺って声が高いんだ」。だから「コーラスには欠かせない」ということでね。今も高い声を出してしまいましたけど、大変ですよ。渋谷中の犬が集まってきちゃって(笑)。当時、レッド・ツェッペリンの『移民の歌』要員として呼ばれていましたからね。「歌ってくれる? 頭だけ」って。俺、アーアー叫ぶ為だけに行ってたんですよ(笑)」

 といった貴重なエピソードトークも交えつつ「50年続けられたのも皆さんが声援を送ってくれたから。本当に感謝しています。ぜひこれからも応援よろしくお願いします!」と高見沢が告げると、ライブは本編クライマックスへ。「運命の轍 宿命の扉」「GATE OF HEAVEN」「天地創造」「LAST STAGE」と、1曲1曲が組曲のようなプログレッシヴな展開をしていく大作のオンパレードという、日本のJ-POPシーンでTHE ALFEE以外に誰も実現できないであろう離れ業をやってのける。このタイプの楽曲が無数にあること自体稀有なのだが、それをコンサートでのバンド生演奏で連発する気概とテクニックとダイナミズムに圧倒されてしまった。ちなみに、坂崎と高見沢は現在70歳、桜井も来年で70歳を迎える。メンバー全員古希(と古希直前)のバンドが一切の衰えを感じさせないどころか、歌手としても演奏者としてもこのような驚愕のチャレンジを成功させてしまえる凄み。50周年という数字もそうだが、これを偉業と呼ばずに何を偉業と呼ぶのだろうか。

<「現役でいる限り懐メロにならず! 常に今の歌として届けることができます」>

 そんな偉大なモンスターバンド・THE ALFEEの50周年を祝うべくアンコールに登場したのは(THE ALFEEの3人が扮するアイドルグループで、桜井賢の「ま」、高見沢俊彦の「た」、坂崎幸之助の「さき」を取った)またさきトリオ。坂崎が北島三郎の大名曲「まつり」を本人さながらのこぶしを効かせながら熱唱したかと思えば、THE ALFEEの代表曲「メリーアン」に盆踊りアレンジを施した「メリーアン音頭」初披露で衝撃と笑いを誘うという、50年目のスーパーサプライズでお祭り騒ぎを興じてみせる。さらには、かつて高見沢が明石家さんまに提供した「YELLOW SUNSHINE」(フジテレビ系ドラマ『心はロンリー気持ちは…VIII』主題歌)も夏に相応しい爽快な三声ハーモニーで響かせ、贅沢な宴を楽しませてくれた。ありがとう、またさきトリオ!

 そこからTHE ALFEEのアクトに戻ると「CRASH!」「SWEAT & TEARS」と痛快なロックナンバーを畳み掛け、3人並んで「70歳になっても、80歳になっても、100歳になっても!」と激しく体を揺らしながら50年目も変わらずホープフルな音楽空間を創造していく。そこからさらにメロディックスピードメタルナンバー「鋼鉄の巨人」を尋常じゃない熱量と速度でぶっ放し、メンバーもオーディエンスも感無量な表情でアンコールを締め括った──と思ったら、ライブはダブルアンコールへ。50年目も変わらない構成。THE ALFEEに限界はない。再びステージに舞い戻った3人は、歌謡曲やフォークを歌っていた時代の隠れた名曲「無言劇」を情感溢れるアコースティックサウンドでお届けしていく。「1980年のシングルだったかな。坂崎が『オールナイトニッポン2部』を始めたときの1曲目がコレだったんですよ。感無量でした。44年前の曲ですが、こういった歌も現役でいる限り懐メロにならず! 常に今の歌として届けることができます」

 そう高見沢が語ったあと、この日のオーラスに披露されたのは「ロマンスが舞い降りて来た夜」。明石家さんま主演ドラマ『心はロンリー 気持ちは『…』FINAL』主題歌として書き下ろされたニューシングル曲だった。これまであらゆる音楽ジャンルを飲み込んできたTHE ALFEEが、50年目にして初めて本格的にモータウンビートを取り入れた新機軸の楽曲を披露する有意義さ。50周年はゴールではなく新しいスタートであることを実感させる、心躍る見事なエンディングであった。「どうもありがとう!」

取材&テキスト:平賀哲雄

◎ライブ【THE ALFEE 50th Anniversary 風の時代・春 From The Beginning】
2024年5月25日(土)NHKホール セットリスト:
01.悲劇受胎
02.冒険者たち
03.Final Wars!
04.Juliet
05.この素晴らしき愛のために
06.星空のディスタンス
07.My Life Goes On
08.COMPLEX BLUE -愛だけ哀しすぎて-
09.A Last Song
10.運命の轍 宿命の扉
11.GATE OF HEAVEN
12.天地創造
13.LAST STAGE
En1.CRASH!
En2.SWEAT & TEARS
En3.鋼鉄の巨人
WEn1.無言劇
WEn2.ロマンスが舞い降りて来た夜

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