2024/07/08 19:30
2023年12月23日、東京・EX THEATER ROPPONGIにて、GARNiDELiAのワールドツアー【GARNiDELiA stellacage 2023 -stella ship- Re:CoNNeCT】追加公演「Thanks」ファイナルを体験した筆者。それから約半年後の2024年6月30日、初の東京・日比谷公園大音楽堂で開催されたワールドツアーのオープニング公演【GARNiDELiA premier stellacage “TOKYO” World Tour 2024 -TEN- [MAKUAKE]】に足を運ぶと、ライブの空気感は劇的に変化しており、中国からの熱狂的なファンがいかにGARNiDELiAを支えているのかを肌で感じることになった。まず、会場に足を踏み入れた瞬間、目に飛び込んできたのは、多くの中華圏ファンの姿だ。
メンバーのMARiAが、中国の人気オーディション番組『乗風2023』で「極楽浄土」を歌唱したことをきっかけに、同曲が中国各地で爆発的に拡散され、スターダムを駆け上がったGARNiDELiA。今や中国で絶大な人気を誇るMARiAは、様々なブランドの広告塔を務め、中華圏の顔となっている。
この日の天候はあいにくの雨。曇天から小雨が降り注ぐ中、オリエンタルなSEが流れ出し、ステージにはサポートメンバーとtokuの姿が。そこに、中近東風の民族衣装を思わせるドレスに身を包み、長いフェイスベールで顔を隠したMARiAが登場。最新アルバム『TEN』のうち、全方位の“天辺”を目指すGARNiDELiAの未来への決意を示した「ーTENー」でライブの火蓋が切られた。中国における経験の産物としての重低音が響き渡るサウンドメイクと、歌声に秘められた精神的な強さの成長が化学反応を起こし、これまでにない迫力に、ただただ圧倒される。フェイスベールを取った「Diamond」からは、ダンサー陣を交えた精緻なダンスパフォーマンスが続き、ステージを駆け巡るMARiA。ヘドバンやコールが巻き起こった「COLOR」で一体感が高まり、「True High」へ。
tokuとMARiAが自己紹介をした後、「とんでもない快晴に恵まれて(笑)、ありがたいことですね!? 私に負けないようにびしょぬれになって帰ってよー!」と、持ち前の明るさで会場を和ませたMARiA。日比谷野音のロケーションを意識し、空をテーマにした楽曲をセットリストに組み込んだという。
「ONE」の歌詞に綴られた〈くもりの無い青い空〉を柔らかく歌い上げる歌声と、tokuの奏でる煌びやかなシンセの音色が生み出すメロディーは、雨空を晴れ間へと変えてしまうほどの力強さに満ちていた。楽曲と真摯に向き合う真剣な思いを物語るMARiAの鋭い眼光が放たれた「蒼天」に、和の音色が華やさを桁違いに添える「暁桜」「謳歌爛漫」が続く。
猫耳キャップを被ったtoku、猫耳カチューシャをつけたMARiAが(途中、杏里「CAT’S EYE」のカバーも挟み)「猫の城」へ飛び乗る。猫の手を模した〈nya〉の振り付けは印象的で、「ニャニャニャ」というシンガロングも巻き起こった。猫耳姿のまま、ダンサー陣と畳み掛けた「PiNK CAT」「幻愛遊戯」「QUEEN(S) GAME」。曲中に客席との双方向のコミュニケーションを積極的に取り入れたこの日の姿勢は、ワールドワイドなGARNiDELiAのライブの象徴といえるだろう。
一方で、雨足は弱まるどころか激しさを増すばかり。ゴールドの装飾が施された黒の衣装にチェンジしたMARiAが、ピアノのリフレインが耳に残る切ない失恋ソング「フィクション」をしっとりと歌い上げ、ストリングスが美しいバラード「ホシノウタ」「スズラン」へ。80年代テイストのサウンドが、懐かしくも新しいサウンドスケープを形成していく中、歌声に潜む切なさや優美さが引き出されていく。見事なまでに降りしきる雨は、MARiAの情感あふれるパフォーマンスとシンクロ。この日は、彼女が秘めた葛藤や努力が天候の影響を受けない公演以上に色濃く浮かび上がり、圧倒的なリアリティをもって迫ってくる感覚があった。
「みんなの声とか愛とか、まるで私の翼みたいだなって感じる時があって。みんなと一緒ならすごい無敵になれる(MARiA)」そう語るMARiAが、力強く歌い始めた「Future Wing」。エッジの効いたロックチューン「SPEED STAR」「ambiguous」「BLAZING」と続き、フィナーレとオープニング感を両立させた特別な「FRONTiER」を投下。「極楽浄土」で始まったアンコールのMCでは、中華圏ファンの声援も飛び交い、国際色の強い空間になっていたことは特筆しておきたい。「中国の風を日本のファンにも感じてほしい」とMARiAが語り、海外での人気が高いことでも知られるいきものがかり「ブルーバード」をカバーすると、サビで多くの中華圏ファンが日本語で歌い始める。客席発信のリアクションが増えるなど、GARNiDELiAが世界規模で活躍している事実を目の当たりにし、この先、GARNiDELiAの音楽は目覚ましい変化を迎える、そう確信した。
「どんなに辛くても苦しくても、未来が見えなくても、歩き続けた。もがき続けた。その先に必ず奇跡は起こる。私たちの人生と、私たちを愛してくれたみんなが、それを今、証明できたと思っています(MARiA)」
この日を“幕開け”として、中華圏を中心に夏から5か月間、約30公演も回ることが決定しているGARNiDELiA。慌ただしく変化する環境の中で、変化を恐れずに真っ正面から戦い続けてきたふたりの真の強さは、容赦なく降り注ぐ雨という試練によって、再び証明された。
最後は、ショルダーキーボードを抱えたtokuもステージ前方に飛び出した「G.R.N.D」で、互いの音を確かめるように、MARiAとtokuはステージ上をクロス。惜しみない拍手と歓声に包まれ、ふたりはステージを後にした。
Text by 小町碧音
◎公演情報
【GARNiDELiA premier stellacage “TOKYO” World Tour 2024 -TEN- [MAKUAKE]】
2024年6月30日(日) 東京・日比谷公園大音楽堂
▼セットリスト
01. ーTENー
02. Diamond
03. COLOR
04. True High
05. ONE
06. 蒼天
07. 暁桜
08. 謳歌爛漫
09. 猫の城
10. PiNK CAT
11. 幻愛遊戯
12. QUEEN(S) GAME
13. フィクション
14. ホシノウタ
15. スズラン
16. Future Wing
17. SPEED STAR
18. ambiguous
19. BLAZING
20. FRONTiER
En1. 極楽浄土
En2. ブルーバード(いきものがかりカバー)
En3. G.R.N.D
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