2024/05/27
Mrs. GREEN APPLEが、5月21日と22日に横浜アリーナで【Mrs. TAIBAN LIVE 2024】を開催した。
7月6、7日に兵庫・ノエビアスタジアム神戸、7月20、21日に神奈川・横浜スタジアムでスタジアムツアー【ゼンジン未到とヴェルトラウム~銘銘編~】の開催が決まっているMrs. GREEN APPLE。チケット15万枚がすでに完売していることを受け、10月にKアリーナ横浜で8日間にわたる“定期公演”【Mrs. GREEN APPLE on “Harmony”】が決定するなど、今、音楽メインストリームの最前線を走っている。そんな彼らが今回打ち出したライブは、2023年も開催され、反響を呼んだ対バンライブ。2024年は乃木坂46、キタニタツヤ、imaseと共演。本稿では2日目、5月22日の公演をレポートする。
トップバッターはimaseだ。「踊ろうぜ、横浜アリーナ~!」と軽快なステップでステージに飛び出し、「Nagisa」をパフォーマンス。持ち前のファルセットと地声を巧みに使い分け、気持ち良く転調へ繋げていく。そのままオーディエンスのクラップビートとドラムのスネアに乗せて「ユートピア」が続き、華やかなスタートを切ってくれた。
「今日、呼んでくれて光栄に思っています」と話し始めたimase。「ミセスは学生の頃から聴いているし、キタニさんはフェスでも一緒になったことがあって最高の兄貴です」とそれぞれの印象を語ってくれた。
バンドメンバーと仲睦まじい様子を見せた「Have a nice day」を届けると、「いつか横浜アリーナでワンマンやりたいな」と思いを馳せて「NIGHT DANCER」へと流れ込む。imaseの優しく包み込むような歌声とフローに引き込まれていく。ラストは踊りたくなるようなリズムに、畳み掛けるようなラップもスパイスの一つになっていた「Happy Order?」で締めくくった。
続いて、激しく地響きを起こすようなSEに囲まれ、「キタニタツヤです。よろしくお願いします」とキタニタツヤが登場。すると、深くよどみのあるギターリフから始まる「スカー」を放った。クールにオープニングを飾ると、「悪魔の踊り方」へ。ボカロ時代のパワーある楽曲でオーディエンスを圧倒していった。その後も「聖者の行進」「Moonthief」などが続き、耳に残るメロディーラインが会場を盛り上げていく。
「こんな素敵な場所に呼んでくれてありがとうございます。皆さんを含めたミセスのチームに打ちのめされています。でけぇ!」と驚倒するキタニ。「ミセスは『ナニヲナニヲ』(2015年)から目を付けていました。当時から色んな人を追い抜いてきましたが、ミセスは今でも遥か上にいますね~。音楽に対する意欲が湧いてきたな!」と思いを語っていた。その後の最新楽曲「次回予告」では、エフェクトの効いたボーカルで奇妙な世界観を表現していく。
終盤に差し掛かると、再びギターを持って「Rapport」へ。胸に手を当てながら<同じ数だけ痛みがあることを>と歌い上げる。ポエム的な歌詞に聴きいってしまう中、「私が明日死ぬなら」も披露された。ロースモークがステージを覆う中で、そっとピアノとのデュオで歌い上げ、緊張感が高まっていく。そこからサビで一気に開放する爆発力は凄まじいものだった。最後の歌詞<約束だよ>では、オーディエンスに小指を立てていく演出も。それから「また会いましょう」と、「青のすみか」でキタニはステージを後にした。
そしていよいよ、Mrs. GREEN APPLEのターンに。照明によりステージが明暗を描く中、メンバー一人一人が登場していく。やがて燃えるような赤い照明に包まれて「CHEERS」がスタートした。サビでは、大森元貴が「いけるよ~!」とオーディエンスに向かって放つと、<乾杯~!>と大きなレスポンスが返ってくる。「楽しむ準備はできているか!?」と爽やかなイントロを奏でる「アボイドノート」、ドラムカウントで始まりを告げる「インフェルノ」と、始終、盛大な歓声が聞こえ、ミセスワールドに一気に誘われていった。
その後の「Blizzard」では、大森が地面に腰を下ろし、体や指を使って歌詞を表現していく。エレクトリカルなSEをバックに藤澤涼架(Key.)の柔らかなコードも聴き心地が良い。対して、「Loneliness」ではファイヤーボールが吹き出し、がなり立てるような歌声を披露する大森。「ProPose」では、ステージ後方から光が入り、メンバーの影しか見えなくなる。対バンライブと言えど、抜け目のない演出だ。
若井滉斗(Gt.)の高速タッピング&スウィープギターによるイントロが炸裂する「ライラック」、「そろそろ夏ですか!?」という入りから始まり、オーディエンスと大合唱した「青と夏」。息つく暇もなく、色とりどりの楽曲がステージの熱を上げていった。
「新曲をリリースしたのはご存知でしょうか」とミュージック・ビデオが公開されたばかりの「Dear」も届けられた。鳥が舞うように大きく手を羽ばたかせ、後半に進むにつれてより感情的になっていくようなバンドアンサンブルが繰り広げられる。勢いづいたところでオーディエンスと声を張り合い勝負した「Magic」と続いていった。
最後のMCでは、【ゼンジン未到とヴェルトラウム~銘銘編~】のチケット15万枚がソールドアウトしたという話題に。それに対して大森は「数じゃないからね。一人一人に向かって歌ってるから。良かったらまた遊びに来てください」と話す。その後もMCは盛り上がり、「それでは最後の曲です」というセリフから、「NIGHT DANCER」のワンコーラスをカバーするMrs. GREEN APPLE。「間違えちゃった! 次こそ最後の曲です」と再び「青のすみか」をミセスアレンジで披露する。そんなファンにとっては嬉しい展開に大歓声が聞こえてきた。すると、「2組がいて、今日が成り立っていますからね。みんなで『ありがとうございました』を伝えましょう」と、大森の合図で会場にいる全員が深くお辞儀をする。ファンが何を求めているのか、全て汲み取っているMrs. GREEN APPLEと、マナーがしっかりとしているファンの信頼関係が深いことも頷ける。そして、「今日ここに集まれたことに感謝します」と「ケセラセラ」で大盛況のうちにフィナーレを迎えた。
今回の3組はお互いが競い合うライバルでもあり、尊敬し合う仲。そんなimaseやキタニタツヤを温かく迎えてくれたMrs. GREEN APPLEやファンの懐の広さも素晴らしい。来年もこの【TAIBAN LIVE】が行われるのか、どんな相手を選ぶのか、想像を膨らませたくなった一夜だった。
Text by Tatsuya Tanami
Photo by 田中聖太郎写真事務所/MASA、山内洋枝
◎公演情報
【Mrs. TAIBAN LIVE 2024】
2024年5月22日(水)
神奈川・横浜アリーナ
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