2024/04/09
現地時間2024年4月8日の朝、ビリー・アイリッシュが3rdアルバム『Hit Me Hard and Soft』(ヒット・ミー・ハード・アンド・ソフト)を5月17日にリリースすることを発表した。
彼女は先週、インスタグラムのアイコンを青色に変え、世界中の主要都市に歌詞のティーザー・ポスターを掲示し、インスタの“親しい友達”のストーリーに数百万人のフォロワーを追加するという巧妙なプロモーションを行った。CrowdTangleによると、SNSに精通したこの動きにより、ビリーはわずか2日間で700万人以上の新しいフォロワーを獲得した。
言うまでもなく、ニュー・アルバムのプロモーションという意味ではこれ以上ないタイミングだ。だがビリーと彼女のチームが説明するように、この特別な展開にはもっと大きな目標がある。ビリーは米ビルボードに対し、「これまでより遥かに大きなオーディエンスとプラットフォームを持っているということは、それだけ多くの人にリーチできるということで、それはとても大きな責任であり特権です。その特権を使って世の中のためになることをしなければ、何の意味もないじゃないですか」と話している。
そして、「私の両親は、私たちが選択することや取る行動のすべてが、良くも悪くもどこかで、あるいは誰かに影響を与えるということを常に私によく伝え、非常に意識させてきました。それがずっと心に残っているんですね。知っていることを無視しながら日常的な仕事やキャリアをこなして、何もしないわけにはいかないんです。そんな育てられ方をしてきませんでしたし、そんな生き方を望んでいません」と続けている。
アルバムの発表に合わせ、ビリーは自身のウェブサイトのホームページを更新してサステナビリティー・タブを設け、アナログ盤やCDからグッズに至るまでの物理的な製品に関して環境に配慮した数々の革新的な試みを透明性のある形で紹介している。これは、音楽業界を内側から変えようとする彼女の長年の努力の集大成であり、彼女と母親のマギー・ベアードは初日から音楽業界全体でより持続可能な慣行を求めて戦ってきた。
新しく設立されたインタースコープ・キャピトル・レーベルズ・グループのスティーヴ・バーマン副会長は、「(ビリーたちに)初めて会って以来、これが彼女たちとの関係の基礎になっています」と言う。バーマンはこの試みについて、インタースコープとジャスティン・ルブリナーのダークルーム、そしてベスト・フレンズ・ミュージックの共同マネージャー、ダニー・ルカシンとブランドン・グッドマンがチーム一丸となって取り組んでいることであると指摘する。「私たちは毎日一緒にこれに関わっています。自分たちに何ができるかということだけでなく、プラットフォームが大きくなるにつれ、(サステナビリティーへの取り組みに)集中するために、そしてインパクトを与え、変化を促すためにさらにどんな機会があるかというレンズを通して、常にこのことに目を向けています」と彼は述べている。
『Hit Me Hard and Soft』では、チャート、小売店、消費者の要求に左右されてきたシステム的かつ業界全体の慣行を変えることを目標に、現在実行可能な最も環境に優しい慣行を求める新しい物理的生産基準を奨励している。
新作には8種類のアナログ盤が用意されるが、すべてが同日発売で、収録されるのは全く同じトラックリストだ。さらに重要な点として、そのすべてがリサイクル素材を使用して生産されている。スタンダードのブラックは100%リサイクルされたブラック・ヴァイナルから作られ、残りの7色のカラー・ヴァイナルはECO-MIXまたはBioVinylから作られる。ECO-MIXは、100%リサイクルされた、他の方法では使用できないあらゆる色の残り物から作られた化合物から生産されるため、すべてのLPがユニークなプレスとなる。一方、BioVinylは、使用済み食用油や産業廃棄ガスのような非化石燃料材料を使用することにより、二酸化炭素排出量を90%削減するのに役立つ。
「ビリーの取り組みと、彼女と彼女の家族がそれをどう見ているかに敬意を払うことは、本当に重要な責任です」とバーマンは言う。「それは大変な労力ですが、可能な限りクリーンな方法で彼女のファンに届けられることは、私たちにとって本当に誇らしいことです。ファンを尊重し、レコードがあることを確実にするために、多くの考えとエネルギーが注がれてきました。それが音楽と芸術とのつながりの大切な一部だからです」
彼らの取り組みはアナログ盤そのものだけにとどまらない。各バリエーションのパッケージは100%ポストコンシューマー(使用済み)廃棄物とリサイクル繊維のプレコンシューマー(消費者に届く前の)廃棄物から作られ、インクは生の植物由来と水性分散ニスが使われ、スリーブは100%リサイクルで再利用可能、そしてすべての商品はリサイクル可能な輸送箱に梱包され出荷される。
また、カセットとCDではプラスチックの箱は使用されない。カセットのシェルはリサイクルされたシェルの破片から作られ、CDのパッケージはジュエル・ケースに代わり、100%再生可能な繊維を使用したソフトパックが使用される。
ビリーは、「私の音楽のあらゆる面において、無駄を最小限にするためにできることはすべてやっています。(レーベルは)私の懸念に耳を傾けてくれて、音楽や製品を世に送り出す際の最善の方法を見つける手助けをしてくれました」と述べている。
ユニバーサル・ミュージック・グループのグローバルESG&サステナビリティー担当SVPであるヴェロニカ・デュラックは、「(UMGは)排出削減に関する世界的な目標を掲げており、ビリーと仕事をすることは、彼女とともに製品関連のソリューションを共創する素晴らしい機会です。ここ数年、私たちは彼女の大胆な選択をサポートし、可能にするために協力してきました」とコメントしている。これにはリサイクル・ヴァイナルから、先行生産のデッド・ストック、オーガニックまたはリサイクル・ポリエステルやコットン、無害な染料から作られた商品までが含まれている。
ビリーと彼女のチームは、『Hit Me Hard and Soft』の展開とリリースに伴い、リヴァーブとの提携を継続する。リヴァーブは、昨年の【ロラパルーザ・シカゴ】でのメイン・ステージ・セットの一部をソーラー充電バッテリーで賄ったり、彼女の【ハピアー・ザン・エヴァー・ツアー】でアーティストやスタッフに植物性の食事を提供することで880万ガロン(約3,330万リットル)の水を節約したりと、数々の取り組みで協力してきた組織だ。
リヴァーブの創設者であるアダム・ガードナーは、「ビリー、彼女の家族、そして彼女のチームは、特に音楽業界のビジネス方法に関しては、物事を揺さぶり、現状に疑問を投げかけることを恐れていないようです。彼女の新しいアルバムが最先端の制作方法と素材を統合していることに私たちは興奮しています。ビリーのようなアーティストは、音楽業界全体とその運営方法に影響を与え、変える大きな力を持っています。そしてそれこそが彼女がやっていることなのです」とコメントした。
音楽における持続可能性のリーダーとして頭角を現しているビリーは、「他の人たちも同じやり方を採用し、それがやがてスタンダードになることを願っています。本当に単純なことです」と述べている。
『Hit Me Hard and Soft』のリリースにまつわるビリーの環境に優しい取り組みの全リストは、彼女のウェブサイトに記載されている。
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