2024/03/13 19:00
BABYMETALが、2024年3月2日、3日に神奈川・横浜アリーナにてワンマンライブ【BABYMETAL WORLD TOUR 2023 - 2024 LEGEND - MM】を開催した。
21歳の誕生日を迎えたMOMOMETALの「聖誕祭」を祝う2日間の儀式というコンセプトで行われた今回のライブ。20歳最後の夜である3月2日を【20 NIGHT】、誕生日当日の3日を【21 NIGHT】と銘打ち、それぞれセットリストと演出が異なるスペシャルな2日間となった。
そして、BABYMETALにとっても日本でのワンマンライブは久しぶりだ。2023年には全世界25か国を回り、国内外で通算94公演を開催。自身最大規模となったワールドツアーの日本凱旋公演でもある。
2日間のライブを観てまず感じたのは、新体制となったBABYMETALがワールドツアーを経て“進化”し続けている、ということだった。2日間で曲目が異なるがゆえに代表曲だけでなく多彩な楽曲を披露したステージは、BABYMETALというユニットの幅広い魅力を証明するものだった。新たなフォーメーションでのパフォーマンスを磨き上げてきた3人の姿にも、たびたび目を奪われた。
集まった観客は2日で約30000人。会場にはメインステージとセンターステージが設けられ、ステージ背後には巨大なLEDビジョンがそびえ立つ。アリーナフロアとスタンドには 全員に配られた“神器”を腕につけたオーディエンスが集う。壮大なセットと強烈な演出の数々、オーディエンスの熱狂と一体感も含めて、非日常空間としての場を味わえるのもBABYMETALのライブの他には代えがたい体験でもある。
1日目の【20 NIGHT】は「BABYMETAL DEATH」でスタート。「Are you ready to headbang?(諸君、首の準備はできているか?) Now is the time for the LEGEND - MM with BABYMETAL!!(LEGEND - MMの幕開けだ!)」と告げるオープニングムービーから、十字架に磔にされたSU-METAL、MOAMETAL、MOMOMETALの3人がメインステージにせり上がって登場し、大歓声が迎え入れる。今日の主役がMOMOMETALだけあって、歌詞の中でも「MOMOMETAL DEATH!!!」というフレーズにとりわけ大きな歓声が上がっていた。
続く「メギツネ」はセンターステージで披露。SU-METALは「Everybody jump up!」と英語でオーディエンスを煽り、気迫がこもったパフォーマンスでオーディエンスを圧倒する。続く「DA DA DANCE (feat. Tak Matsumoto)」ではメンバーの立つセンターステージが上昇、レイブとメタルの融合したダンサブルなサウンドで会場のボルテージをあげると、インド風のサイケデリックな雰囲気の漂う「Shanti Shanti Shanti」、神バンドのギターバトルを挟んで披露された「Kagerou」と、序盤は3rdアルバム『METAL GALAXY』に収録された楽曲を続ける。
「Kagerou」の炎の演出と3人のダンス・パフォーマンスにも魅せられた「MAYA」を経て、「BxMxC」ではSU-METALの力強いラップが響き渡り、「シンコペーション」ではフロアにサークルモッシュも生まれる。「Monochrome」では“神器”がオーディエンスの腕で光り、シンガロングと共に幻想的な光景が広がった。
神バンドのソロ・パフォーマンスを挟んで、ひときわ大きな盛り上がりとなったのが「メタリ!! (feat. Tom Morello)」。ヘビーなグルーヴと共に「どっこいしょ!」や「わっしょい!」の掛け声が響き渡る。曲中ではSU-METALが「Everybody get low」とオーディエンスをしゃがませ、MOMOMETALが「踊る阿呆に見る阿呆~」と見栄を切った後に「Are you ready?」とデスボイスで叫び、ひときわ大きな熱狂が生まれていた。
終盤は「ギミチョコ!!」と「ド・キ・ド・キ☆モーニング」という1stアルバム『BABYMETAL』収録のハイテンションな楽曲を連ねる展開。さらに「THE ONE」の壮大なサウンドとSU-METALの力強い歌声でドラマティックな興奮を生み出した。
しばしの転換後、ステージ天井からMOMOMETALがゴンドラでゆっくりと降りてきて登場する。オーディエンスの“神器”がピンク色に輝き、「20の夜を忘れはしない」と歌詞を変えた「ヘドバンギャー!!」のスペシャル・バージョンが披露された。曲の途中ではMOMOMETALがSU-METALからマイクを手渡され、中央に立つMOMOMETALにSU-METALとMOAMETAL、そしてオーディエンス全員が“土下座ヘドバン”する展開へ。MOMOMETALがデスボイスで力強くシャウト、そして一転してキュートな声で曲後半を歌うという度肝を抜く展開も見せた。
ラストは「Road of Resistance」。メインステージに戻った3人がフラッグを高々と掲げ、会場にシンガロングの声が響く。華々しいフィナーレとなった。
2日目の【21 NIGHT】は、オープニングの「BABYMETAL DEATH」こそ1日目と同じだったが、続く「Distortion (feat. Alissa White-Gluz)」から披露する曲をガラリと変えてきたセットリストだ。「PA PA YA!! (feat. F.HERO)」ではオーディエンスがタオルを振り回し、「Elevator Girl」に続けては神バンドの超絶技巧なソロ・パフォーマンスが繰り広げられる。「ヤバッ!」ではメンバー3人の笑顔でのハンドクラップにあわせて観客も手を叩くなど、エネルギッシュなナンバーを連発し会場に一体感が生まれる。
続けては変則的なリズムとテクニカルなパフォーマンスにあわせて幾何学的な模様を映し出す映像が没入感をもたらした「Believing」、広がりのあるサウンドの「Brand New Day (feat. Tim Henson and Scott LePage)」と、中盤は“盛り上げる”というよりは“惹き込む”タイプの楽曲をパフォーマンスする。続く「Starlight」では青いレーザーの光と宇宙の映像をバックにSU-METALが伸びやかな歌声を響かせ、アカペラのハーモニーで曲を締めくくると大きな拍手が巻き起こった。さらに「KARATE」では“神器”の光とオーディエンスの掛け声で会場が一つになっていた。
続く「メタリ!! (feat. Tom Morello)」から「THE ONE」までは1日目と同じセットリストだったが、終盤には再びスペシャルな展開が待っていた。ビジョンに「桃から生まれたメタ太郎」のストーリー映像が流れると、MOMOMETALが天井から登場。SU-METALとMOAMETALを左右に従え「META!メタ太郎」を歌う。MOMOMETALのキュートで明るいキャラクターがBABYMETALの新たな魅力になっていることを感じる。2日間のライブを通して印象に残ったのは、巨大なビジョンに3人の姿が大写しになることでダンスの細かい動きや3人の表情が生々しく伝わり、それがパフォーマンスの核となっているというBABYMETALのステージの力学だった。
ラストは迫力たっぷりの炎の演出と共に駆け抜けた「Arkadia」。エンディングでSU-METALは「Happy birthday! MOMOMETAL!」とシャウトし、笑顔の3人が声を合わせて「We are!」「BABYMETAL!」のコール&レスポンスを繰り広げる。ハッピーなムードに包まれた終演となった。
この後BABYMETALは、3月23日、24日に沖縄・沖縄コンベンションセンター展示棟にてワールドツアーのファイナル公演を行う。さらにこの日の終演後には5月25日、26日に埼玉・さいたまスーパーアリーナにて主催フェス【FOX_FEST】を開催することも告知された。世界中を巡り逞しく進化を遂げたBABYMETAL、その先行きがさらに楽しみになるようなライブだった。
Text:柴那典
Photo:Taku Fujii/Takeshi Yao
◎公演情報
【BABYMETAL WORLD TOUR 2023 - 2024 LEGEND - MM】
2024年3月2日(土)、3日(日)神奈川・横浜アリーナ
【FOX_FEST】
2024年5月25日(土)、5月26日(日)埼玉・さいたまスーパーアリーナ
出演:
BABYMETAL
ELECTRIC CALLBOY
POLYPHIA ほか
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