2024/02/26 20:00
凄まじいライブを目撃した。宇宙を舞台としたスペースオペラ。まさに、メイド・イン・ジャパンの真髄が込められた世界へ誇るべき最新エンタテインメントの誕生だ。
ホロライブ所属のVTuber /シンガー星街すいせいと、ダンス・ミュージックを主軸に幅広い音楽性で支持を得るサウンドプロデューサー / コンポーザーTAKU INOUEによる音楽プロジェクト=Midnight Grand Orchestra(以下、ミドグラ)。初の有観客ライブとなる【Midnight Grand Orchestra 1st LIVE「Midnight Mission」】を、2月20日に豊洲PITにて開催した。
開演前、Jaga Jazzist、The Millennial ClubなどがSEとして流れる超満員のフロア。定刻19時半に暗転し、円形の物体が信号音とともにスクリーンに青く煌めく。
イグニッション・シーケンス・スタート。眼前に一気に広がった3面の没入感の高い巨大スクリーン。TAKU INOUEがギターを奏で、星街すいせいもセンターに現れた。オープニングを飾るのは荘厳な「Never Ending Midnights」。透過スクリーン越しに、9名の鉄壁のバンドメンバーがうっすら浮かぶ。リアルとバーチャルが共存する世界。大迫力のサウンドと呼応する星街すいせいのアクションによって惑星が次々と爆発。空気が振動し、低音ががなり立つ。まるで会場中がスピーカーになったかのような、鳥肌ものの音響体験だ。
〈静寂を切り裂いた轟音 / 幕が開いていく〉という歌詞の通り、オープニングから涙ものの感動を誘うクールなステージ。矢継ぎ早に“SYSTEM STABLE”と表示されたモニター。目の前の景色はまるで宇宙船のコクピットへと変化。様々な数値が計測されていくSF的世界観がクールだ。
聴き覚えのあるピアノと、生演奏によるストリングスのメロディー。星街すいせいが両手を天に掲げると、ダンサブルな人気チューン「SOS」がスタート。続いて、ストリングスのイントロダクションとともに「Midnight Mission」をプレイ。BOBOによる生ドラムを背負った、まさにグランド・オーケストラを掲げる分厚い音像が近未来サイバーパンクな世界観へと誘う。いまここでしか味わえないミドグラによる圧巻のパフォーマンス。それは、オーケストラとダンス・ミュージックの新機軸な融合だ。
レーザー飛び交うフロアは大熱狂。“ERROR / WARNING”のシグナルがモニターに瞬き、ホログラム状態の6体の巨大なダンサーが踊る大迫力なシーン。壮大なイメージを拡張し具現化していく星街すいせいの歌声の素晴らしさに涙する。
ここでミドグラ創造主であるポップマエストロ、TAKU INOUEが「Midnight Grand Orchestraです。よろしく!」と挨拶。カッティングギターがソリッドな「Igniter」に続いて、ダンサブルなアレンジが気持ち良い「Rat A Tat」。場面が一転して、ミラーボールとレーザー飛び交う輝きの空間で鳴り渡った、歌謡ライクなポップチューン「夜を待つよ」など、続々と人気チューンをキャッチーに繰り広げていく。
突如モニターに現れる謎めいた“DETECT”の表示。アグレッシブなダンスチューン「Blackhole Dancehall」では、スクリーンに飛び交うホログラムな敵キャラが登場。TAKU INOUEが「みんなが声出さないとこいつ消えないらしいぜ!」と煽る。怒涛のダンスビートの応酬。見事クリアしていくオーディエンスによる熱狂の渦。
「Tuning (Interlude)」が奏でられ、気がついたら惑星に不時着。流れ星が降り続く世界。宇宙船から火花が見え、モニター画面にはグリッジノイズが。故障を暗示させながらも危機回避な極上のバラードを披露。透明感いっぱいのサウンドと可憐に溶け合う、星街すいせいの歌声の素晴らしさに魅了されていく。
しかしながら「Starpeggio」では、急遽モニターに謎めいた“20240220”の日付が浮かびあがった。時が駆け足でカウントアップしていく。なんと、宇宙船はタイムマシン機能も持ち合わせていたようだ。
辿り着いた先は“21240220”の世界。
そう、〈100年たったら変わると思っていた〉と歌い出すフレーズがグッとくる名曲「ソリロキー」、続けて「Light The Light」ではクラシカルなピアノソロを歌いあげていく。スクリーンにはモノリスと星街すいせいの分身が浮かびあがり星街すいせいと融合する意味深なシーン。絶え間ない光がフロアに満ちていく。そして“WARP”の文字がモニターに浮かびあがり、高速飛行する宇宙船。「Moonlightspeed」によって、アッパーなビートに沸くオーディエンス。ものすごい情報量だ。
宇宙船のモニターには再び“WARNING”の文字。本編ラスト「Allegro」では、なんと星街すいせいがアーティスト・ビジュアルやミュージックビデオではお馴染みだった巨大な武器=アレグロを持ってエネルギー充填。フロアに向けて眩い光を発射した。高揚するフロア、この日最大の盛り上がりだ。ステージが真っ白にホワイトアウトしていく。
TAKU INOUEによる「ありがとう、また会いましょう!」の声で本編終了。一気に宇宙空間&時空を駆け抜けた50分の濃密な宇宙旅行体験となった。
高まりはそのまま。鳴り止まない拍手と歓声に応えてアンコールがスタート。宇宙空間に光のタワーが瞬き「3時12分」を披露。続いて、〈だって僕は星だから〉の歌い出しで、トップギアが入った「Stellar Stellar」。待ちに待った令和時代を代表するポップアンセムの登場だ。高鳴る胸のざわめきが止まらない。
「最高のバンドと最高のボーカリストと、とんでもないステージとなりました。ありがとうございます。最後の曲を聴いてください!」。TAKU INOUEのメッセージとともにオーラスは、メロディアスに輝く「Highway」で大団円を迎えていく豊洲PIT。
ラストパート、星街すいせいが手を左右にゆっくり振ると、みな青いライトを掲げシンクロしていく。会場中の魂が溶け合いひとつになっていく光景。そう、今夜のショーは次元を超えていく新時代のアート表現となったのだ。新時代にアップデートした、近未来のライブ・エンタテイメントの完成。そして、最後まで星街すいせいはシンガーに徹してMCすることはなかった。まさにミドグラの象徴であり、神々しい姿だった。
世界最高峰のライブパフォーマンスとなった【Midnight Grand Orchestra 1st LIVE「Midnight Mission」】。本公演の模様は3月13日まで、配信サイト『SPWN』にてアーカイブ体験ができる。ミドグラによる、世界へ誇るべき歴史的ライブをあなたにも目撃してほしい。
Text:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)
Photo:鳥居洋介
◎公演情報
【Midnight Grand Orchestra 1st LIVE 「Midnight Mission」】
2024年2月20日(火) 東京・豊洲PIT
◇アーカイブ配信
2024年3月13日(水)23:59まで
(C) VIA/TOY'S FACTORY , (C) 2016 COVER Corp.
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