2024/01/01
ビルボードジャパンが2022年より取り組んでいる【Billboard JAPAN Women In Music】。日本の音楽業界における女性にフォーカスを当て、音楽業界ならびに社会全体で課題となっているジェンダーギャップを解消していこうというプロジェクトだ。
本記事では、2023年の年間チャートにランクインした日米におけるアーティストの男女比を調査した。その結果、Hot 100にチャートインした楽曲の男女比は以下の通りとなった。
<日本>
男性:64曲
女性:19曲
混合:16曲
非公開:1曲
<アメリカ>
男性:56曲
女性:32曲
混合:12曲
日米ともに、男性の楽曲の方が多かったが、日本とアメリカを比較すると日本は女性ソロもしくは女性グループが19曲だったのに対し、アメリカは32曲とアメリカの方が男女比の差が小さいことが分かった。また、トップ10を比較すると、日本は男性8曲、女性1曲、混合1曲だったことに対し、アメリカは男性3曲、女性4曲、混合3曲と、女性が最も多くを占めていた。
続いて、JAPAN Hot 100に関して、過去5年間の推移を500位まで調査した(図1)。この5年間、ジェンダー比に大きな変化はなく男性約55%、女性約30%という状況が続いており、2023年は最も女性アーティストのチャートイン数が少なかった。また、ジャンル・編成別の男女比は図2の通りとなった。ソロ、K-POP、洋楽では大きな差は見られないが、グループ(バンドも含む)は、女性は男性の1/3程度にとどまっていることが分かった。
さらにチャートインしているグループを、ダンス&ボーカル、バンド・ユニット、コラボレーションの3種類に分類してみると(図3)、コラボは混合が最も多く、ダンス&ボーカルとバンドは男性が最も多いことが分かった。特に、バンドは上位500位までに女性は1組しかチャートインしていないなど、大きな差が見られた。
最後に、チャートインしている女性アーティストのジャンル、編成の推移を調べたところ、図4の通りとなった。2022年と2023年を比較すると国内グループとキャラクターソング/Vtuberが増加、国内ソロ、K-POP、洋楽が減少という結果になっている。
チャートは、マーケットの一面を表しているに過ぎない。ただ、このチャートを発表し続けることは、“男性の方が、女性よりも商業的に成功しやすい”という誤った誘導をしてしまうのではないだろうか。果たして、それは正しいのだろうか。
テレビをつけると、男性がメインMC、女性がアシスタントを務めている番組が多く、お笑い番組の賞レースでは出演者も審査員も男性がほとんどだ。ジェンダーギャップやジェンダーバイアスといった課題に対するメディアの影響力は大きく、ビルボードも同じだと言えるだろう。必要なことは何なのか。記事の発信やイベントなど様々なタッチポイントを通じて、ビルボードでは2024年以降も取り組みを続けていく。なお、同シリーズでは、レコード会社の男女比および、昨秋実施したアンケート結果から見える、ジェンダーギャップと生きづらさの相関性を示した特集も掲載している。
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