2023/12/25
GLAYが、12月3日に東京・日本武道館で【GLAY HIGHCOMMUNICATIONS TOUR 2023 -The Ghost Hunter-】を開催した。
2023年3月2日、地元である北海道・帯広市民文化ホールでの初日公演を皮切りに、全国22か所32公演に渡るロングツアー【HIGHCOMMUNICATIONS TOUR 2023 -The Ghost of GLAY-】を開催したGLAY。そのファイナル公演では、今まで演奏機会が少ない楽曲を携え、バージョンアップした“The Ghost Hunter“として帰ってくることを発表していた(<ライブレポート>GLAY、ライブツアー【HIGHCOMMUNICATIONS TOUR 2023 -The Ghost of GLAY-】終幕 「君らが夢を見ていくことが僕らの夢」)。
また、GLAY は9月にシングル『HC 2023 episode 1 -THE GHOST/限界突破-』の続編となるEP 『HC 2023 episode 2 -GHOST TRACK E.P-』をリリース。前回のツアーで初披露された「Buddy」や、TERU(Vo.)が故郷・函館と母親を想う「刻は波のように」(GLAY『GHOST TRACK E.P』インタビュー TERU編│函館への熱い気持ち、TERUが思い描く未来のビジョン)、HISASHI(Gt.)とサクライケンタ共作によるメロディアスな「Pianista」、50代になって新たな音楽へと挑戦したJIRO(Ba.)による「THE GHOST」のリミックス(GLAY『GHOST TRACK E.P』インタビュー JIRO編│多くの経験を経た今、見えてきたもの)など全7曲が収録されている。2024年にメジャーデビュー30周年を迎える彼らが奏でた音楽とはなんだったのか。ここではツアー中盤の日本武道館公演をレポートしていく。
井上絢名による、“地獄でも折れずに門番に立ち向かう騎士を中心に、対となる人々の祈り / 出会えた喜びなど前作コンセプトから希望を引き継いだ、世界に対してポジティブな感情”が描かれたEP『HC 2023 episode 2 -GHOST TRACK E.P-』のジャケット写真が会場のスクリーンで動き出す。HISASHIの空間を巻き込むようなフェイザーに、TAKURO(Gt.)の暖かいアコースティックギター、4分で刻むJIROの伴奏の中、〈3年たったら~〉とゆっくりと歌い始めるTERU。4人の姿は証明によってシルエットだけ映され、前回のツアー開演直後の、“GHOST“として姿がよく見えなかった演出を踏襲しているようだった。そして、ドラムカウントからBPMを上げて「棘」へ。ここで気付いた人がいたかもしれないが、HISASHIが90年代以来にギブソンのフライングVを使っている。重くのしかかるようなバンドサウンドの中、HISASHIの中音域に厚みのあるソロギターから、今年のツアーでも愛用しているTAKUROのNancy-Explorerによるソロが繋がっていくシーンは印象深かった。
「ただいまー!」というTERUの一声に「おかえりー!」と答えるオーディエンス。「次は18歳の頃に函館から東京に出てきた頃を思い出して、うるっとくる曲です」と「海峡の街にて」へ。人情みのある歌詞をそっと歌い上げていくTERU。世界観が繋がっているのではないかと錯覚するような「Missing You」に続き、人間の忍耐力を唱えていく。その張りつめたような歌詞にそっと降りてきたのが「生きがい」だ。HISASHIとTAKUROが向かいあってギターソロを弾き合う。一連が終わると「君たちは僕たちの生きがいです」とTERUは語っていた。
JIROのベースソロから始まる「Lock on you」。オーディエンスの手拍子と共にTERUがタンバリンでリズムを作り出していく。〈ねえすぐに君の答えがほしい〉〈武道館も熱いキスでGLAYも生まれ変わるのサ〉と所々歌詞を変えながら、会場を盛り上げていった。さらに、3年ぶりに披露された未発表曲「Beautiful like you」から、「STREET LIFE」とGLAYの珠玉のバラードが連投されていく。
モニターに、作曲家ロベルト・シューマンから妻クララへ宛てた手紙が映し出される。シューマンは「あなたは私のことを子供みたいだと言っていましたね。~」という文面と共に、“子供の頃の情景”を描いた楽曲をクララに渡したという。そんな世界観と通ずるのが今回の新曲「Pianista」だ。HISASHIが昔から敬愛するカート・コバーンやジミ・ヘンドリックスなどの“27クラブ”を匂わせる〈27シンドローム〉をはじめ、HISASHIらしいワードセンスの歌詞から少年心や人生観が読み取れる一曲だ。そして、禍々しいSEから幕開けた「Believe in fate」。90年代を想起させるGLAYロック・サウンドが非常に気持ち良い。じゃれ合うTERUとJIROは、オーディエンスにコールアンドレスポンスを呼びかけ、盛り上がりを再確認する。
「GLAYは絶好調です。来年30周年を迎えます。みなさんのおかげで元気にステージに立っています」と感謝を伝えるTAKURO。すると「みんなと僕らの関係ってなんだろうね? 相思相愛なのかな?」とオーディエンスに問いかける。ここでは、「東京に来てみなさんに出会えました。そして、何よりBuddyに出会えました!」と、原点を振り返るような歌詞の「Buddy」が披露された。時折、故郷のことや仲間のことを楽曲に込めて世に出していることは、GLAYが長年愛される理由の一つなのだろう。〈OH! OH!〉と合いの手が展開される「Young oh! oh!」では、モニターに「ザ・プレミアム・モルツ」とのコラボ(2021年~2023年)写真、【GLAY EXPO 2014 TOHOKU 20th Anniversary】(2014年)のロゴ写真、GLAY JUMBO(1999年)の写真、そしてメジャーデビューシングル『RAIN』(1994年)のジャケット写真が。GLAYからの何かのメッセージなのだろうか。そして、最後はツアーのテーマ楽曲である「HIGHCOMMUNICATIONS」で、メンバーは一度ステージを後にした。
アンコールではメンバーそれぞれが想いを語った。来年2024年にドラムデビュー40周年、GLAYをサポートして30年、そして60歳を迎えるToshi(Dr.)は「こうやってドラムを叩けて嬉しいです」とコメントする。サポートして数年経つ村山☆潤(Key.)は「これからもGLAYについていきます! 有名な曲やりたいです!」と笑いを誘った。「なんで最近『HOWEVER』やらないか知ってるか? ここにいる大半の人が聞き飽きたからだよ!」と話したJIROは、わがままを言ってセットリストにねじ込んでもらった楽曲があるという。「一度タイトルコールをやってみたかった」とお馴染みの掛け声「カモン! Toshi!」をJIROが言い放ち、「誘惑」へ。TERUも「久々~~」と嬉しそうな表情を見せていた。
「盛り上がってる!?」と口を開いたHISASHI。「今日はTAKUROに言いたいことがある。1つ! 誕生日プレゼントのバイクありがとう。2つ! 『Beautiful like you』のギターソロ間違ってないか…?」と、朗らかなMCがTAKUROと繰り広げられる。そして「最後に3つ目! 死ぬまでGLAYをやらないか!」という問いにTAKUROも驚きながらも即答で「はい!」。2023年はトップミュージシャンの訃報が続いた。今までファンへ感謝を伝えることが多かったGLAYだが、本公演では仲間と音楽ができる幸せを改めて実感しているようだった。そんな中、TERUが「これからも、こんな幸せな空間を思い出して欲しいなって思います」と「SOUL LOVE」が披露される。
「誘惑」「SOUL LOVE」と深い結びつきのある楽曲で再び会場が明るくなったところから、締めのパートへ突入。JIROの烈しく揺れるピッキングやTAKUROの爽快なギターリフが聴き心地の良い初期のロックナンバー「KISSIN' NOISE」も披露された。TERUは「今回はHISASHIの言葉にじんときました。これから10年、20年とやり続けたいと思います。また元気に会いましょう」と話し、「THE GHOST (80KIDZ Remix)」でライブの幕が下りた。
12月24日に開催されたツアーファイナルでは、2024年の予定が発表された。周年テーマは「GLAY EXPO」となっている。“EXPO”の冠を1年通して表現することを目指し、周年活動そのものでGLAYの“今”にスポットを当て、30年の歩みの先にいる「今のGLAY」が一般公開されていく予定だ。
後日談となるが、武道館公演の約1週間後にはTAKUROによるソロライブ【GLAY TAKURO Solo Project 4th Tour “Journey without a map 2023”】がビルボードライブで開催された。そこでTAKUROは、HISASHIの「死ぬまでGLAYをやらないか!」という言葉に大変感銘を受けていたことを語っている。その感覚から作り上げた新曲も披露され、メジャーデビュー30周年を目前に、さらにバンドの仲が深まったとファン目線からも感じた。2024年、GLAYは驚くようなエンターテインメントを届けてくれるに違いない。
Text by Tatsuya Tanami
Photo by 岡田裕介
◎公演情報
【GLAY HIGHCOMMUNICATIONS TOUR 2023 -The Ghost Hunter-】
2023年12月3日(日) 東京・日本武道館
<セットリスト>
01.3年後
02.棘
03.デストピア
04.海峡の街にて
05.Missing You
06.生きがい
07.刻は波のように
08.Lock on you
09.Beautiful like you
10.STREET LIFE
11.Pianista
12.Believe in fate
13.Buddy
14.SEVEN DAYS FANTASY
15.Young oh! oh!
16.Ruby’s Blanket
17.HIGHCOMMUNICATIONS
<ENCORE>
01.誘惑
02.SOUL LOVE
03.KISSIN’ NOISE
04. THE GHOST (80KIDZ Remix)
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