2023/12/19
マライア・キャリーの「恋人たちのクリスマス」が約1年ぶりに返り咲き、通算13週目の首位を獲得した、今週の米ビルボード・ソング・チャート。
1994年にリリースされた「恋人たちのクリスマス」は、ストリーミングが集計に加算されるようになった2014年以降、ホリデー・シーズン毎に最高位を更新して、2017年12月に初めて9位にTOP10入りし、翌18年には3位まで上昇。発売25年目の2019年12月21日付で遂に通算19曲目の首位に輝いた。なお、19曲はザ・ビートルズがもつ20曲に次ぐ歴代2番目の記録で、女性アーティストでは最多記録を保持している。
首位獲得週は以下のとおりで、2019年から2023年まで5シーズン連続で1位を獲得した。これまで数年にわたり首位を獲得した曲は、1960年と1962年に達成したチャビー・チェッカーの「ザ・ツイスト」と「恋人たちのクリスマス」の2曲だけで、5年は現時点での最長記録となる。
2019年12月21日
2019年12月28日
2020年1月4日
2020年12月19日
2021年1月2日
2021年12月25日
2022年1月1日
2022年1月8日
2022年12月17日
2022年12月24日
2022年12月31日
2023年1月7日
2023年12月23日
上記のとおり、「恋人たちのクリスマス」が首位に返り咲いたのは今週で6度目の快挙で、昨年それぞれ5回を記録したハリー・スタイルズの「アズ・イット・ワズ」とモーガン・ウォレンの「ラスト・ナイト」を上回る最多記録を更新した。
「恋人たちのクリスマス」は、今週の集計期間(12月8日~14日)にストリーミングが4,220万回(10%増加)、エアプレイが2,610万回(8%増加)、セールスは8,000(68%増加)をそれぞれ記録して、ストリーミング・ソング・チャートでは2位をキープ。デジタル・ソング・セールス・チャートでは7位から3位にTOP3入りして、エアプレイ・チャートでは29位から22位に上昇した。
集計期間中の12月8日には、ファンにスポットを当てた新しいミュージック・ビデオが公開され、翌9日に開催されたマディソン・スクエア・ガーデンのライブでは、アリアナ・グランデ、ジェニファー・ハドソンと「Oh サンタ!」をコラボレーションしたことが話題となり、iTunes Storeでもセールが開催されるなど、様々なプロモーションが実施されている。
これまでホリデー・ソングとして首位を獲得したのは、1958年12月22日~1959年1月12日付まで4週間1位を記録した、ザ・チップマンクス&デヴィッド・セヴィルの「ザ・チップマンク・ソング」、今週で通算13週をマークした「恋人たちのクリスマス」、そして2023年12月9日付で首位に到達し、先週12月16日付の2週を記録したブレンダ・リーの「ロッキン・アラウンド・ザ・クリスマス・ツリー」の3曲だけで、同じ年にホリデー・ソングが2曲首位を獲得したのは、今年が史上初のチャート・アクションとなる。
「恋人たちのクリスマス」は、今週でチャートイン総週を63週目に更新し、首位を獲得した時点でのチャートイン総週最長記録を達成した。なお、その他に63週目で首位を獲得したのは、登場59週目の2022年3月12日付で首位を獲得して63週目の4月9日付まで5週間を記録した、グラス・アニマルズの「ヒート・ウェイヴス」で、次週以降トップに立てば「恋人たちのクリスマス」が単独の記録を更新することになる。
マライアにとって13週以上首位を獲得したのは「恋人たちのクリスマス」が通算3曲目のタイトルで、3曲以上が13週を記録したのはボーイズIIメンに続く史上2組目、女性アーティストとしては初の快挙を達成した。
マライア・キャリー
16週「ワン・スウィート・デイ with ボーイズIIメン」(1995~96年)
14週「ウィ・ビロング・トゥゲザー」(2005年)
13週「恋人たちのクリスマス」(2019~23年)
ボーイズIIメン
16週「ワン・スウィート・デイ with マライア・キャリー」(1995~96年)
14週「メイク・ラブ・トゥ・ユー」(1994年)
13週「エンド・オブ・ザ・ロード」(1992年)
今週「恋人たちのクリスマス」が1位に返り咲いたことで、マライアは首位獲得総週を通算92週目に更新し、2位以下と大差をつけてトップを独走している。
92週 マライア・キャリー
60週 リアーナ
59週 ザ・ビートルズ
56週 ドレイク
50週 ボーイズIIメン
47週 アッシャー
43週 ビヨンセ
37週 マイケル・ジャクソン
34週 アデル
34週 エルトン・ジョン
34週 ブルーノ・マーズ
34週 テイラー・スウィフト
また、デビュー曲「ヴィジョン・オブ・ラヴ」が初めて首位を獲得した1990年8月4日付から今週(2023年12月23日付)までの期間を33年4か月に更新し、1990年代、2000年代、2010年代、2020年代の4つの年代で首位を獲得した。
1990年「ヴィジョン・オブ・ラヴ」、「ラヴ・テイクス・タイム」
1991年「サムデイ」、「アイ・ドント・ウォナ・クライ」、「エモーションズ」
1992年「アイル・ビー・ゼア」
1993年「ドリームラヴァー」
1994年「ヒーロー」
1995年「ファンタジー」、「ワン・スウィート・デイ with ボーイズIIメン」
1996年「オールウェイズ・ビー・マイ・ベイビー」
1997年「ハニー」
1998年「マイ・オール」
1999年「ハートブレイカー feat. ジェイ・Z」
2000年「サンク・ゴッド・アイ・ファウンド・ユー feat. ジョー&98ディグリーズ」
2005年「ウィ・ビロング・トゥゲザー」
2006年「ドント・フォゲット・アバウト・アス」
2008年「タッチ・マイ・ボディ」
2019年「恋人たちのクリスマス」
2020年「恋人たちのクリスマス」
2021年「恋人たちのクリスマス」
2022年「恋人たちのクリスマス」
2023年「恋人たちのクリスマス」
「恋人たちのクリスマス」は、ホリデー・ソング・チャート“Holiday 100”でも今週首位に返り咲き、通算59週目の首位を獲得した。同チャートの集計が始まったのは2011年からで、チャート総週66週間のうち59週を「恋人たちのクリスマス」が首位を独占している。
先週まで2週連続で首位を獲得したブレンダ・リーの「ロッキン・アラウンド・ザ・クリスマス・ツリー」は、「恋人たちのクリスマス」と入れ替わり2位にダウンしたが、週間ストリーミングは3%増加の4,240万回に上昇している。
先週3位にTOP3入りしたボビー・ヘルムズの「ジングル・ベル・ロック」(1957年リリース)は同位をキープ。ワム!の「ラスト・クリスマス」(1984年リリース)も先週に続き4位にランクインして、バール・アイヴスの「ホーリー・ジョリー・クリスマス」(1964年リリース)は7位から5位に上昇し、今週のTOP5はホリデー・ソングが独占した。
それにより、ジャック・ハーロウの「ラヴィン・オン・ミー」は5位から6位に順位を下げたが、デジタル・ソング・セールス・チャートでは2位から1位に上昇し、自身4曲目の首位を獲得している。また、R&B/ヒップホップ・ソング・チャートとラップ・ソング・チャートでは、それぞれ5週目の首位を獲得した。
アンディ・ウイリアムスの「イッツ・ザ・モスト・ワンダフル・タイム・オブ・ザ・イヤー」(1963年リリース)は先週の8位から7位に上昇して、「ロンリー・ストリート」が初めてTOP10入りした1959年10月12日付からのブランク記録を歴代最長の64年2か月2週間に更新した。
8位には、ザ・ロネッツの「そり滑り」(1963年リリース)が先週の14位から上昇して、2021年のホリデー・シーズン以来、約2年ぶりのTOP10入りと最高位を更新した。ザ・ロネッツのTOP10入りは、1963年10月に3週間2位を記録した「ビー・マイ・ベイビー」に続く2曲目で、ブランクを60年3か月に更新してグループとしての歴代最長記録を打ち出した。なお、ホリデー・ソングを除くと、今年の11月18日付でザ・ビートルズが打ち出した59年9か月3週間が現時点での最長記録となる。
9位は、テイト・マクレーの「グリーディー」が先週の16位から上昇し、再びTOP10にランクインした。同曲は、今週のアルバム・チャート“Billboard 200”で4位に初登場したニュー・アルバム『シンク・レイター』のリード・シングルで、アルバムのリリース効果により今週ポイントが上昇した。
続いて10位には、ディーン・マーティンの「レット・イット・スノー」(1959年リリース)が先週の12位から上昇し、最高8位を記録した2020年のホリデー・シーズン以来のTOP10入りを果たしている。ディーン・マーティンにとっては、1965年に最高10位を記録した「アイ・ウィル」以来約58年ぶりのTOP10入りで、自身初のNo.1ヒット「誰かが誰かを愛してる」(1964年)、最高6位を記録した「ザ・ドア・イズ・スティル・オープン・トゥ・マイ・ハート」(1964年)含む4曲目のランクインとなる。
Text: 本家 一成
※関連リンク先の米ビルボード・チャートは12月22日以降掲載予定となります。
◎【Hot 100】トップ10
1位「恋人たちのクリスマス」マライア・キャリー
2位「ロッキン・アラウンド・ザ・クリスマス・ツリー」ブレンダ・リー
3位「ジングル・ベル・ロック」ボビー・ヘルムズ
4位「ラスト・クリスマス」ワム!
5位「ホーリー・ジョリー・クリスマス」バール・アイヴス
6位「ラヴィン・オン・ミー」ジャック・ハーロウ
7位「イッツ・ザ・モスト・ワンダフル・タイム・オブ・ザ・イヤー」アンディ・ウイリアムス
8位「そり滑り」ザ・ロネッツ
9位「グリーディー」テイト・マクレー
10位「レット・イット・スノー」ディーン・マーティン
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