マンガのようにバラエティ豊かなメンバーと楽曲で人気を博す、エイジアプロモーション第三のアイドルグループ・COMIQ ON!（コミッキュオン）。今夏、待望の1stアルバム『COMIQ ON! 第一巻』をリリースした彼女たちが、本作を携えたデビュー1周年記念公演【COMIQ ON! 1st Anniversary Oneman LIVE『祝・巻頭カラー～ダンコたる決意編～』】を開催した。

＜この1年間の歩みが正しかったことを証明するライブ＞

　マンガ好きならすぐにピンと来るであろうこのライブタイトルは、現在世界中で再ブレイク中の『SLAM DUNK（スラムダンク）』からインスピレーションを受けたもので、冒頭からメンバー5人それぞれに同作の名言を発するなど、本公演がエモーショナルな内容になることを予感させていた。

　昨年秋に「続きが読みたい！しゅうかん少女（アイドル）」なるコンセプトでデビューし、個性豊かでバラエティに富んだキャラクターと音楽性、ポップなパフォーマンスで人気を集めながら今年4月の初ワンマンライブ（https://onl.sc/iLnd2dh）も大成功。メンバーの脱退＆加入も経験し、結成1年目で出演した【TIF（TOKYO IDOL FESTIVAL 2023）】でそれらを糧にしたエモーショナルなアクトで抜群な存在感を発揮してみせた。言葉にすると簡単だが、そのストーリーの中で彼女たちがどれだけの鍛錬と葛藤と緊張と涙を味わい、それでも笑顔でステージに立ち続けてきたか。言うならば、1周年記念ワンマンはその日々が正しかったことを証明するライブであり、メンバー5人の気合いが漲るのも当然である。

※＜インタビュー＞COMIQ ON! マンガみたいなアイドルグループ 第一巻完成までの冒険活劇と夢をめちゃくちゃ語る
https://www.billboard-japan.com/special/detail/4080

＜COMIQ ON!の楽曲群を完全に捉えた5人⇒爆発的な共鳴＞

　「本日は【COMIQ ON! 1st Anniversary Oneman LIVE『祝・巻頭カラー～ダンコたる決意編～』】に起こし頂き、ありがとうございます！ チケット、ソールドアウトでーす！」「すごい、パンパンだねぇ！」「嬉しいね！」と冒頭から大歓喜のキラキラした笑顔で歌い踊り、超満員のオーディエンスを大はしゃぎさせていく彼女たち。「今日の為にみんなで配信を頑張ったり、レッスンも毎日毎日頑張ってきました。それはすべて今日来てくれる皆さんを楽しませる為に。最高の1日になることを約束するので、最後まで皆さん盛り上がっていきましょー！」「いきなりですが、み～んなに“だいすき”を伝えまーす！」──MCも歌もダンスも何もかもアイドル本来のポップさ、愛おしさ、ピュアネスに溢れるガムシャラさに溢れており、思わず「ありがとう！」と感謝の言葉を叫ぶ者もいるほど、会場は多幸感に満ち溢れていた。

　これまでも“これぞアイドル”感全開のライブを届けていたCOMIQ ON!だが、この日のライブは何かがいつもと違っていた。メンバー5人のダンコたる決意、明らかに増した結束力や熱量、ファンの愛情の深まりによるラブリーな空気感など理由はたくさんあると思うが、最大の要因は5人が各楽曲に込められた本質やメッセージを完全に捉えたからだろう。明らかに誰もがその歌とダンスと表情に自らのアイドル人生を乗せるようになっていた。「左ききのメイビーU」や「超越展開POROPOROコミッキュ」のようなポップでハッピーな楽曲であれば、目の前にいるみんなを全力で幸せにするんだという気概。そして「たちこぎペダル」や「NEO WORLD ORDER」のようなエモーショナルな楽曲であれば、何があろうと私たちは夢を叶えるんだという強い意志。特に「NEO WORLD ORDER」の叫ぶように5人が歌う様は、アイドル活動の中で経験してきた喜怒哀楽のすべてを爆発させているように響き、その歌詞の通り「感情的になったっていいんだって僕が教えてあげる」を体現するものであった。

　そうした人生を乗せた歌は、聴く者たちの人生にも重なりやすくなる。一言で言えば、共鳴。これを生み出せるようになったアイドルは強い。互いに互いの想いを重ねて爆発的なライブ空間を創造できる。ファンは演者の写し鏡なんてよく言われるが、その逆も然りで、自分たちの歌に泣いたり笑ったりしながら共鳴してくれているみんなを見て、その姿に演者もまた共鳴して自分でもビックリするぐらい泣いたり笑ったり、想像を超えていくパフォーマンスが出来てしまったりするものだ。そうした瞬間がこの日のライブにはたくさんあった。以下、本編終盤での5人のMC。

＜私はアイドルになって本当によかったです！＞

　花咲みゆ（赤）「COMIQ ON！のこの1年間、舞華ちゃんは（加入してから）半年間を振り返りながら、私たちのダンコたる決意をそれぞれ皆さんに伝えさせて下さい。まずは私から！ デビューして今日でちょうど1年が経ちました。そんな記念日をこうして皆さんと過ごすことができて本当に嬉しいです。これからCOMIQ ON！は2年生になるんですけど、未熟な私たちから徐々に成長して、日々の努力を忘れずに、不器用な私なりに精一杯これからも頑張っていきたいと思っておりますので、ぜひこれからもついてきてくれると嬉しいです。今日は本当にありがとうございました！」

　松永すみな（緑）「私はですね、1年前の人生に行き詰まっていたときにアイドルになる機会をもらって、迷いながらも「人を笑顔に、幸せにできるならやりたいな」と思ってアイドルになりました。でも、人を笑顔にするというお仕事は思っていた以上に大変で、ツラいときとかもあったんですけど、私はあんまり人に頼ったりすることが得意じゃないから、ひとりで泣いたりして、そういうときにファンの皆様がいたからツラい時期を乗り越えることができました。人を笑顔にする為にアイドルになったのに、この1年間はたくさん助けてもらったり、笑顔にしてもらったり、もらってばっかりだったなと思います……泣きません（と泣きながら）。だから「変わらなきゃな」と思って自分なりに頑張ったら、自分が成長したなと思えたし「笑顔にできてるな」と思えたので、嬉しかったです。頑張り方を間違えちゃって、てるてる坊主の格好をして驚かせたりもしちゃったけど（笑）、これからも全力でもっとたくさんの人を笑顔にできるアイドルになる為に頑張ります。COMIQ ON！が大きくなることがここにいる皆さんと私たちにとっての幸せだと思うので、これからも5人で進化して大きくなっていきたいと思います！ 最後に言いたいことがあります。私はアイドルになって本当によかったです！」

　四宮るな（黄色）「今日でアイドルデビューしてちょうど1年が経ったんですけど、最初はとにかく自分に自信がなくて「私はアイドルに向いてるのかな？」って不安な気持ちでいっぱいでした。でも、1年経ってエサを欲しがる犬たちに出逢うことができて、飼い主は自信を持ってステージに立つことができるようになりました！ るな推しのファンの皆さん、通称：愛犬たち。そして、COMIQ ON！を大好きでいてくれる皆さんの応援があったから、私はここまでやってくることができました。これからもCOMIQ ON！に関わってくれる皆さんと犬たちを幸せにできるように一生懸命頑張るので、これからもよろしくお願いします！ 本日は本当にお越し頂き、ありがとうございました！ ワン！」

　公野舞華（オレンジ）「本日は貴重なお金と時間を私たちの為に費やして下さり、本当にありがとうございます！ 私は加入してから半年でみんなと過ごしている時間がちょっとだけ短いんですけど、その半年でも乗り越えなきゃいけない壁がたくさんあって。でも、それをみんなで協力して乗り越えてきて、みんなで成長できたから、壁も悪くないなという気がしています。私の中で勝手にアイドルって最初の2年が大事だと思っているんですよ。で、本日で1周年。2年目、これからもっと頑張りどきなんじゃないかなって思っています。ただ、ファンの人たちも推し続けるってすごく大変じゃないですか。だって、昔「公野ちゃん、好きだよ。結婚しような」とか言ってた奴ら、今いないからね！（客席、爆笑）だから、こうやって1周年までずっとついてきてくれている人って本当に有難いし、大切にしなきゃいけないし、こうやって推し続けてもらえるようなアイドルでいなきゃいけないんだなとすごく感じます。なので、皆さん、2年目もお願いします！」

＜まるで卒業セレモニー？ アイドルの常識を覆す行動に＞

　と、メンバーひとりひとり涙あり笑いありツッコミどころありのMCを繰り広げていたのだが、最後の出番の彩瀬ゆる（水色）がそれこそ自分でも驚くような（スタッフも事前に何も知らされていなかったらしい）、アイドルのライブの常識を根底から覆すような行動に出る。

　彩瀬ゆる「たくさんの方とCOMIQ ON!の1周年を迎えることができて本当に嬉しいです。私は……（泣きながら）アイドルをする前は、ツラいことから逃げてばかりの人生だったけど、素敵なメンバーと素敵な皆さんとこうして出逢うことができて、ツラいことも乗り越えることができました。この場をお借りしてメンバーひとりひとりに“ありがとう”の気持ちを伝えさせてください。まずみゆちゃんから……」

　どよめく会場。それもそのはず。アイドルのライブ終盤のMCで、特定のメンバーがメンバーひとりひとりに感謝の気持ちを述べていく流れは、本来卒業セレモニーとして行われるものだからだ。そのムードからゆるの前に並び始める4人。しかし、ゆるは卒業しない（笑）。ただただ、ひとりひとりにどうしても感謝の気持ちを伝えたいからソレをする。たぶん、日本のアイドル史上初。でも、よくよく考えたら、卒業しなくてもやっていいものだよなと思った。目から鱗である。

　彩瀬ゆる「みゆちゃんは、ゆるが今まで会った子の中でいちばん心がキレイな子で、優しいなと思ってるし……こんなに頼りないゆるだけど、相談とかし合ってお話ししたいと思ってるよ！ ありがとう、いつも！」

　花咲みゆ「かわいいぃ！ どうしよう？」

　彩瀬ゆる「るなはゆるの話をいちばん親身に聞いてくれて、いろんなことをいっぱいお話してくれて、ずっとそばにいてくれてありがとう。るなのことは仲間の前に友達だと思っているから、これからも一緒にいて下さい！」

　四宮るな「はい！ 今度、ディズニー行こうね！」

　彩瀬ゆる「すみなちゃんはいちばん頼りになるし……影でいちばん努力してる、凄い人だからお姉ちゃんだと思ってるし。でも、ひとりで抱え込み過ぎないようにメンバーと分け合えていけたらいいなと思ってます。いつもありがとうございます！」

　松永すみな「大好き」

　彩瀬ゆる「舞華ちゃんは、ゆるたちに大切な10年間を捧げてくれてありがとうと思ってるし（※舞華は元々他のグループに所属しており、アイドル歴10年目）、COMIQ ON!の武器になってくれて本当にありがとう！ これからも舞華ちゃんとアイドルしていきたいと思ってるし、ずっとずっとこのメンバーで一緒に前に進んでいきたいと思っているから、これからもよろしくお願いします！」

　公野舞華「こちらこそ、よろしくお願いします」

　彩瀬ゆる「メンバーひとりひとりがゆるの大切な仲間です。これからもこのメンバーで進んでいきたいと思っているから、これからのCOMIQ ON!もよろしくお願いします！ そして、ファンの皆さんへ。アイドルの楽しさをゆるに教えてくれて、生きる意味を与えてくれて本当にありがとう。アイドルになることを夢見てこの道を選んでよかったってすごく思ってるし、今この瞬間、人生で経験したことがないほどの幸せをすごく感じています！ これからも皆さんと一緒に素敵なステージを……大きなステージでたくさんの景色を見ていきたいと強く思っているので、これからのCOMIQ ON!もどうぞよろしくお願いします！ 今日は本当にありがとうございました！ 彩瀬ゆる！」

　泣きながらメンバーひとりひとりへ、そして最後はファンにみんなへメッセージ。こうして書き起こしてみると完全なる卒業セレモニーだが（大事なことなので繰り返すが、ゆるは卒業しない）、これは毎回のステージを卒業コンサート級の想いで届けていく意思の表れでもあったように思う。また、スタッフもファンも自分自身さえも想定できないアクションを起こし、それが今後のストーリーを盛り上げていくのもまたアイドルの面白いところ。

＜メンバー全員で叫んだ「だいすき！」＞

　そんな一枚どころか何枚も殻を破ってみせたCOMIQ ON!が、本編クライマックスからアンコールに至るまでとんでもなくエモーショナルなライブを繰り広げたことは言うまでもないだろう。ただ、最後の最後の「左ききのメイビーU」のメンバー全員で叫んだ「だいすき！」は、デビューから1年間の活動の中で最大のハイライトであったことは特筆したい。この1年間の歩みは何も間違っていなかったと証明するような、完全に心の底からメンバーとファンが一体となったこの瞬間。真の意味で“COMIQ ON! 第一巻”は完成し、第二巻のはじまりを告げたのである。

　なお、彼女たちはこの日「グッドナイトワールド」（COMIQ ON!初の全国流通シングル／2024年1月16日リリース）なる新曲を本編とアンコール、合わせて2回にわたって披露した。第二巻の1ページ目に相応しい、新機軸となる音楽。こちらのリリースイベントをまずは10月19日のタワーレコード渋谷店B1F CUTUP STUDIO、10月31日と11月7日のタワーレコード渋谷店5F、11月19日のタワーレコード池袋店にて開催する。今後、来年のリリースに向けて続々と追加決定していくと思われるので、ぜひその動向に注目してほしい。

取材＆テキスト：平賀哲雄
photo by Jumpei Yamada

◎ライブ【COMIQ ON! 1st Anniversary Oneman LIVE 『祝・巻頭カラー～ダンコたる決意編～』】
2023年10月1日（日）渋谷WWWX セットリスト：
01.拝啓さまざまSUMMER
02.リボン:Reborn
MC
03.左ききのメイビーU
04.おねがいかみさま
転換
05.グッドナイトワールド
MC
06.たちこぎペダル
07.だりらりだりらら
08.JUMP
09.NEO WORLD ORDER
MC
10.かくりつなんぱーせんと
11.超越展開POROPOROコミッキュ
MC
En1.グッドナイトワールド
En2.左ききのメイビーU