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2023/08/07

<ライブレポート>UVERworld 7万2000人と叫び、歌い、誓った初の日産スタジアム公演【THE LIVE】

 UVERworldが、7月29日に【UVERworld premium THE LIVE at NISSAN STADIUM】を神奈川・日産スタジアムにて開催した。

 6人 vs 7万2000人――そう、まさに“戦い”と表現したくなるライブだった。日本最大級の収容人数を誇り、そしてUVERworldの6人にとって自身最大キャパとなる日産スタジアム。この日繰り広げられたのは、炎天下の気温に負けないほど熱い、魂同士のぶつかり合いだった。

 開演2分前、バックステージに突然、誠果(Sax. / Manipulator)が姿を現す。アルトサックスを吹きながら彼のDJタイムが始まると、客席からはさっそく、サックスの音色をかき消すほどの大歓声が上がる。まさに、会場の熱はすでに上がりきっているという様子だ。オープニングムービーを挟み、前方ステージ両脇のモニターに15秒のカウントダウンが表示されると、いよいよ観客の期待感はMAXに。そして、「ENIGMASIS」にあわせて近未来的な映像が流れる横で、真っ白なスモークで隠されたメインステージがどんどんせり上がっていく。スモークが一気に晴れ、大きな花火の爆破音で景気づくと、「VICTOSPIN」でライブの幕が上がった。かなりの高さまでせり上がったステージの上、手前ギリギリまで身を乗りだし、メンバーも客席を隅々まで見渡す。

 「ナノ・セカンド」のイントロに乗せて「UVERworldの歴史的、最高の日!」とTAKUYA∞(Vo. / Programming)がシャウトすると、ここからは息つく間もない勢いでアッパーチューンをたたみ掛けてくる。「CORE PRIDE」では途中マイクを客席に向け観客だけに歌わせる部分があったのだが、その歌声があまりに揃っていて、ラップパートにも関わらず歌詞がはっきり聴き取れるところに、観客の“臨戦態勢”ぶりがうかがえる。また「IMPACT」では、TAKUYA∞の「このライブのピークつくろうぜ!」との煽りを受け、コール&レスポンスの声がまるで地響きのように轟く。さらに、そのコールに合わせて飛び跳ねる7万2000人の姿に、視界が揺れる感覚におちいったほどだ。バンドの煽りに、それ以上の熱量で返そうとする観客の姿勢があるからこその光景だと思った。

 MCでは、真太郎(Dr.)もマイクをとり「始まってまだすぐですが、本当に感無量です」と感激を隠せない様子。しかし、「皆さん、(オープニングの)DJ誠果、どうでした? 楽屋出る時に、『あっためてくるわぁ!』って言ってました。内心俺は、『いや、もうだいぶ色んな意味であったまってるよ』って思ったけど……」と、ユーモアも忘れない(その横で、誠果が「えっ……」と言いたげな表情で真太郎を見つめる姿がモニターに抜かれ、爆笑が起こっていた)。TAKUYA∞は「本当に……もう(日産スタジアム公演)やってよかったよ! もっと言えば、やる前からやってよかった。本当の挑戦の価値って、そこにあると思うんだよ」と笑顔で告げると、「遠くからずっと応援してくれている人、すごく近くから、支えてくれたみんな。すべての人に、心からの笑顔で、『やり切れました』と言える一日にしますんで、よろしくお願いします」と、頼もしく言い切ってみせた。

 6人 vs 7万2000人の応酬はまだまだ終わらない。ギラギラと輝くステージ照明のなか、早速銀テープが舞う特効まで繰り出された「在るべき形」のあとは、インディーズ時代からの名曲「CHANCE!」が飛び出し、観客も大合唱。「20年前に作った曲が、ここまでたくさんの人を喜ばせてる! それは本当に奇跡だよ」「昨日今日作ったバンドじゃないんで。全くお客さんがいない時だってもちろんあったよ。20年積み重ねて少しずつ増やして、やっとここにたどり着いたんだよ!」と語るTAKUYA∞の晴れやかな顔がまぶしい。「Q.E.D.」では、6人がステージ前方にギュッと集まって演奏する姿に、小さなライブハウスから叩き上げられてきた彼らの歴史を見た気がした。

 「GOLD」では、TAKUYA∞のイヤモニに不具合が起こるアクシデントが。しかし、「何が起きたって怖くない!」と叫び、イヤモニを取って耳を押さえ、歌い出す。スタジアム規模にも関わらず、ばっちり音程を決めるところがさすがだ。そして、アリーナ席をぐるりと取り囲むような花道を通ってバックステージに6人が揃うと、“始まりの合唱”として、現体制になって初のアルバム表題曲「Ø choir」が鳴り響く。曲入りから大合唱が起き、日が落ちてきた会場に、観客全員の腕に巻かれたライトバンドの光が波打つように光っていた。

 「リリースして一回もやらない曲とか、結構あるんだけど。それは曲が大切すぎたりとか、思いが強すぎるとできなくなったりする。でも今日は、せっかくみんな来てくれたから、それを披露しようかと思って練習してきたんで」「10年以上前に東京ドームでもやろうと思ったんだけどさ、できなかったんだよな。でも今は、みんなにも心からの笑顔で感謝を伝えたい。今日が最初で最後。もうこの後は俺だけの曲にしていく。聴いてください」と前置きして始まったのは、2007年リリースのシングル『endscape』にカップリングとして収録された「モノクローム~気付けなかったdevotion~」。TAKUYA∞が亡くなった祖父への思いを綴った曲で、前方モニターに映されるリリックビデオが、そのメッセージをより色濃く伝えてくる。その強い思いに、思わず嗚咽する観客の姿も。

 楽器隊の存在感が光るインスト曲「Massive」を挟むと、ここで、サプライズ・ゲストとしてBE:FIRSTのSHUNTOが登場。「お邪魔します!」と、少々緊張ぎみに姿を見せたSHUNTOを、観客は大歓声で歓迎する。披露されたのは、もちろん「ENCORE AGAIN (feat. SHUNTO from BE:FIRST)」。先ほどは緊張をみせていたSHUNTOも、ひとたび曲が始まると堂々としたパフォーマンスをみせ、そんな彼に負けていられないと、TAKUYA∞の声も一層張りを増す。最後は「UVERworld愛してます!」とSHUNTOが叫び、TAKUYA∞と満面の笑顔を交わしてステージを去っていった。

 最新アルバム『ENIGMASIS』より「echoOZ」「ビタースウィート」と続け、新旧入り混じったセットリストを充実させていくと、さらにハードにブチ上げていくゾーンに入る。「俺が歌わないと意味がない」と言い切るほど、TAKUYA∞自身の哲学が詰まった「PRAYING RUN」、爆炎のなか、6人も汗だくになって燃え上がった「Touch off」(TAKUYA∞もエキサイトしてしまったようで、ハンドマイクのケーブルを思わず抜いてしまうハプニングも)と重ねていく。

 コロナ禍と、その苦しい環境でも歩みを止めなかった自分たちを振り返り、「あの“ほふく前進”の先にここがあるんだよ。あそこで止まってたら俺たちきっと、ここにはいない。これからもそうだよ」と言い切るTAKUYA∞。そして「俺たちは何があっても進み続けるけど、お前らは一体どうすんだ!?」と力強く問いかけ、聖歌を思わせるような「EN」の荘厳なイントロが鳴り響いた。ポエトリーリーディング形式で紡がれる歌詞が突き刺さってくる曲だが、それを歌うTAKUYA∞の額には大粒の汗が浮かび、目はうっすらと潤んで見える。まさに身を振り絞るようなその歌唱に、呼吸を忘れ観入ってしまった。歌い終えると、「俺は絶対に、絶対に、今日を忘れない。あなたにとっても、君にとっても、忘れられない一日になってればいいな。俺たちが本気で、魂震わす瞬間が、ほんの少しでも、あなたに伝わっていればいいな」「UVERworldはもう、俺の夢を叶えてくれるだけじゃない。もはや人の夢だって叶えてる。俺は知ってる。このバンドは、あなたの人生でもあるってこと!」と叫ぶ。その前のMCで「俺の人生からUVERworldを取ったら、自分の過去すらも語れなくなる」とまで言い切っていた彼が放つからこその言葉に、観客からも同意の大歓声が湧き上がっていた。

 ひと息つくと、TAKUYA∞は「ああ、もっと、もっと、強くなりたい」とつぶやく。「心ない言葉を言われて傷ついたりとか、当たり前のことだよ。急に自分に自信がなくなることも、当たり前だよ。何もないのに、突然死にたくなることもあるんだよ。そんな時に、正論をぶつけない強さがほしい。『辛かったな、頑張ったな』って、言ってあげられる強さがほしい」と続けると、観客も息をのむ。「強くなりすぎて、人の気持ちがわからなくならないように」との決意を込めて、“最後の曲”として演奏されたのは「ピグマリオン」。先のMCを回収する、人を受け入れ抱きしめたいと願う芯の強いやさしさで、スタジアム全体を包み込んだ。

 ここで終わり……かと思いきや、“勝手にアンコール”として最後に「MONDO PIECE」を追加した6人。そして、TAKUYA∞も「心の底から笑顔で言える。やり切りました。本当にありがとう!」と、曇りのない笑顔で告げる。ラストには会場全員で、これからの人生への決意を込めるように拳を突き上げ、3時間の公演を終えた。

 UVERworldの音楽を聴くと、自分が少し強くなったように感じる。それは彼らが常に“最高”を更新し続けようと努力を惜しまず、その背中をただただかっこよく見せ、必ず努力の先の高みを見せてくれる、そんな生き様が曲にもあふれ出ているからだと思う。「寄り添う」は違う、でも「孤高」ではない。この絶妙な距離感があるから、UVERworldはいつだって“憧れ”や“夢”を背負ってくれる存在として、前を走り続けてくれるのだろう。そのスタンスを、改めて再確認できたライブだった。

 この公演の翌日、同じく日産スタジアムで開催された男性限定ライブ【UVERworld KING’S PARADE 男祭りREBORN at NISSAN STADIUM 6 VS 72000】では、クリスマスの日本武道館公演を含む、ライブハウスからアリーナまで様々な会場をまわる全国ツアー【UVERworld ENIGMASIS TOUR】と、来年の女性限定ライブ“女祭り”がついに日本を飛び出し、ハワイで開催されることも明らかに。UVERworldの挑戦は終わらない。そして彼らが挑戦し続ける限り、私たちの夢もきっと、熱く輝き続けるのだ。

Text by Maiko Murata
Photo by 平野タカシ 

◎公演情報
【UVERworld premium THE LIVE at NISSAN STADIUM】
2023年7月29日(土) 神奈川・日産スタジアム

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