2023/07/20
水曜日のカンパネラが、7月19日、Zepp Shinjukuにて【RABBIT STAR ★ TOUR】のファイナル公演を開催しライブレポートが到着。また詩羽体制になって初の日本武道館を2024年3月に開催することを発表した。
水曜日のカンパネラのボーカルがコムアイから詩羽へ引き継がれたのは2021年9月のこと。そこからまだ2年経っていないことに驚く。詩羽体制の水曜日のカンパネラは、過去の楽曲をパフォーマンスすることにもまったく違和感がないくらい自分のスタイルを確立している。それを可能にしたのは、スタッフたちの努力はもちろんのことながら、詩羽のポジティブさ、周りの人たちを巻き込むエナジーがあってこそだろう。この日、会場に足を運んだ観客たちもそのエネルギーに惹きつけられた人たちに違いない。
チケットはSOLD OUT。当日券も出ないくらい満員の観客たちが会場に詰めかけた。ステージ上のスクリーンには、宇宙船から窓越しに外が見えるような画像が表示されており、今回の【RABBIT STAR ★ TOUR】ではお馴染みの「シャトル青木ラビット」が、ライブスタートへのカウントダウンを担当した。
発射のカウントダウンが終わりピンクのフリフリのドレスを着た詩羽が登場すると、「水曜日のカンパネラです! 今日は楽しんでいきましょう!」という挨拶とともに、「赤ずきん」でライブがスタート。おばあさんに扮したオオカミが「ファイナル」とかかれた布団を持って登場し、最後は布団を投げ捨て一緒にダンスをするなど、のっけから大盛り上がりを見せた。間髪おかずに新生・水曜日カンパネラのはじまりの楽曲「アリス」へ続けると、北海道の地名を歌詞に用いたユニークな楽曲「シャクシャイン」、新生・水カンの初期曲「バッキンガム」と新旧織り交ぜてパフォーマンスを行った。
MCでは、水カン恒例の詩羽の給水タイムで、水を飲む仕草に対し観客からの大きな拍手が湧き起こった。詩羽は「今日イチの盛り上がり」と語り笑いをとると、「(水曜日のカンパネラは)みんなが私の声を超えるくらい声出しとかで一緒にライブを作っていくスタイルなので、恥ずかしがらず、さぼらずにちゃんとやってもらえたら」と、一緒に「ディアブロ」の振り付けを練習し同曲へ。続く、「シャドウ」では、高速道路にまつわる楽曲の内容にあわせ、お笑い芸人・もう中学生の工作を想像させるような手作りの車や交通整備員が現れ、ステージ上は賑やかで楽しさに包まれた。曲が終わり、詩羽が車の後を追ってステージから客席へ降りていくと、客席中央に突如現れた三脚に登り「モヤイ」を披露し、会場の熱がさらに上がった。
三脚に乗ったままの詩羽は、観客からの「かわいい」コールを受け、「自分で自分を認めて愛してあげることって、何歳になってもありなんだと思って欲しい。そのために、私たちはスタッフの間でライブ前に円陣をやるようにしていて。それを今日みんなでやって、もっともっと盛り上がっていきたい」と伝え、「心にいるギャルを起こしてください」というアドバイスの後、「みんなかわいい! 天才! さいこう!」と全員で叫び「鍋奉行」へ。途中から餅まきのような形であめを客席へ投げ入れた。
「ティンカーベル」で暗転した中、一本のライトに導かれ歌いながら客席を練り歩いてステージに戻ると、メタリックで近未来的な櫓に乗り「織姫」を披露。疾走感あるメロディアスな楽曲「アラジン」ではほうきでステージを掃いたり魔法使いの杖のようにまたがったり自由に動きまわる。観客たちの手拍子の中でホーンの音色と激しいビートの組み合わせがユニークな「卑弥呼」を明るく歌い上げた。
ステージが暗くなり詩羽がステージから捌けると、初期水カン時代の楽曲「西玉夫」のインストが流れ、ステージにはダンサーが登場しコンテンポラリーなダンスをしっとりと表現した。川の音が流れる中、障子を持った6人の忍者たちとともに「金剛力士像」のイントロが流れ、青い衣装に衣装チェンジをした詩羽が登場。6人のダンサーたちと、障子をもった6人の忍者たちのフォーメーションとともに、魅せるパフォーマンスを行った。続けてデジタルなファンクでソウルフルな楽曲「一休さん」をじっくり歌い上げた。
「言わないほうが格好いいんだけど、後ろでドッタバタで着替えて格好いい感じで戻ってまいりました!」と語り、再び給水し拍手が起こると、コカ・コーラCoke STUDIOキャンペーンソングを歌っているコカ・コーラをステージ上であけるお茶目さも見せて観客を笑わせた。そして、次の曲が5人のアイドルグループをテーマにした「一寸法師」ということを明かし、たくさんの観客の中からちびっこからオジオジ(※詩羽による年を召した男性の呼び方)まで男女4人を選び、ステージで一緒に同楽曲パフォーマンスした。
続く最新曲「マーメイド」は、まさかのレゲエ調。ステージ左右からはバブルシャワーが飛び出し、シャボン玉がステージいっぱいに飛び交った。その中央でタオルを振り回す詩羽。ブレイクビーツとレゲエがミックスした熱の夏に爽やかな風を吹き込む水曜日のカンパネラ流サマーソングだ。会場が爽やかな空気に包まれると、初代水曜日のカンパネラ時代から歌い継がれる代表曲「桃太郎」へ。昔話をコミカルに描いたユーモラスなダンスミュージックを歌いながら、ウォーターボールの中に詩羽が入り、客席の上を転がり観客とさらなる一体感を見せた。
「最近、あまりいいニュースばかりじゃないと思うんです。私は、この見た目をしているし、自分の好きなものを貫いているから、いろんなことを言われることが多いんです。私も傷つく。嫌なこと言われたら悲しいし、悔しい気持ちになる。やさしさで気にしないでいいんだよって言ってくださる方もいるんだけど、それって、あまりいい言葉じゃなくて。気にしていることさえ否定されている気持ちになってしまいかねない。傷つく権利もあると思うんです。だから私は、ヘイトにはラブを!と宣言していて。自分の大切な人が傷ついているときにできることは、もっともっと大きなラブをあげることだと思っている。私はあなたのことが大好きだよって。1のヘイトがあったら10のラブをあげたらかすれると思うんです。一番愛おしい作戦なんじゃないかと思っています。私の生活も、みんなの生活も少しずつよくなっていったらいいなと思って伝えています。私のことを好きだって言ってくださるかたが愛を持って過ごしていってくれたら嬉しいです。愛してるよ!」
MCで観客に想いを伝えると、楽曲の発声練習を観客と一緒にして「七福神」へ。TikTokをはじめSNSを中心にバズを起こした大ヒット曲「エジソン」のイントロが流れると、観客たちも一緒に歌い、より一層大きな歓声が会場を包んだ。ステージに白衣を着た博士らしきダンサーたちが登場し、ストロボ用のパラソルを組み立てはじめたかと思うと、楽曲の後半ではカメラマンがステージから客席に向けて詩羽を撮影し始める。水曜日のカンパネラならではの仕掛けで観客を驚かせつつも、「エジソン」のアップテンポなハウスミュージックに観客たちは体を揺らして音楽に酔いしれた。
そして、本編最後の楽曲「招き猫」へ。ステージにバルーン型の巨大招き猫が登場し、観客たちとともに手招きする振り付けを行い一体感を生んだ。曲の途中で詩羽がステージをはけると、ステージ上のスクリーンに映像が流れ、初ライブの映像や、MV撮影など、2代目水曜日のカンパネラの歴史がひとしきり流れる。すると赤いワンピースを着た詩羽がどこかへ向かって歩いている様子が映し出され、彼女の目前には日本武道館の光景が広がっていた。スクリーンに「日本武道館決定」という文字が現れると客席は大きな歓声に包まれた。
再び詩羽がステージに登場し「招き猫」を歌うと、自らの言葉で武道館への想いを語った。
「私は水曜日のカンパネラになってまだ2年経ってなくて、来年3月で2年半という月日なんです。短期間だからこその苦労が、覚悟が、努力が私の中ではたくさんあった2年、そして3月には2年半になるんじゃないかと思っています。私は水曜日のカンパネラになる前からずっと自分のしていきたいこと、変えていきたいこと、未来だったり、想いを口に出して行動にしてきました。それがあったからここに辿り着いて、いまこうやってステージに上がっているなと思うんです。人生って本当になにがあるかわからない。それを私は自分自身で体現しているなと思うんです。来年3月に私は今よりももっともっと成長して、もっとキラキラした状態で、武道館という場所に相応しい状態になって、みんなに会いにいきたいと思っています。どうかここにいるみなさんも、それぞれのステージで、自分の道で口に出して、行動して、前に進んで、でも自分のペースで、休み休み進んで、来年3月16日には、いまよりもっともっとキラキラした状態で晴々しい気持ちで会いにきてもらえたらなと思います。その努力の道に愛情をたっぷり注ぎますので、みんなが3月に私の大きな愛をビックラブを受け取りに会いにきてくれたら嬉しいです。改めて、今日は本当にありがとうございました!」
最後は両手でバンザイをしながら「招き猫」のラストサビを一緒に歌って、「ありがとうございました! 日本武道館で会いましょう! 愛してるよ!」と笑顔で詩羽は言葉を残し、ライブは幕を閉じた。
かつてコムアイ時代の水曜日のカンパネラは2017年3月8日に初の日本武道館公演「八角宇宙」を開催した。360度の円形ステージの中で、ポップスとアートの境界線をギリギリ攻めたアーティスティックなライブを行い観客を驚かせた。そこから7年という月日が経ち、ボーカルが継承され、2代目がこの場所に立つなどとは誰も想像もしなかっただろう。詩羽は、どんなステージを見せてくれるだろうか。きっと飾らない自分の言葉で想いを語り、その場所に集まった観客たちに大きな愛を伝え、とびっきりのエンターテインメントを見せてくれることに違いない。来年の3月が来ることが今から待ち遠しい。そんな期待と愛にあふれるツアーファイナルだった。
TEXT 西澤裕郎
PHOTO 横山マサト
◎水曜日のカンパネラ コメント
<詩羽>
お世話になっている皆さまへ。
2024年3月16日に、水曜日のカンパネラ武道館公演の開催が決定しました。
私詩羽は2021年9月に水曜日のカンパネラに加入し、武道館が開催される3月には加入して2年半と言う月日が経つ頃になります。
あっという間の2年半で、たった2年半。武道館に立つには少し早すぎるかもしれませんが、ここまでの目まぐるしい日々は決して楽なものではありませんでした。
開催まであと半年ほど、あのステージにさらに相応しいアーティストへと日々進化をしていきます。
私の2ndステージの第一歩となる1日です。
全ての方に大きな愛をお渡しします。
皆さまにお会いできることを、心よりお待ちしております。
<ケンモチヒデフミ>
水曜日のカンパネラにとって2度目となる武道館公演が決まりました。とても光栄なことで大変嬉しく思っています。さらに我々にとってはメインボーカルの交代という大きな変化を経てのことなので、余計に感慨深いものもあります。今の水曜日のカンパネラがこうしてあるのも、コムアイが残してくれたもの、詩羽が新しく築いてくれたもの、それらを理解し応援してくれるファンやスタッフの皆さんがあってのものだなぁと、改めて思うのでした。
正直なところ、一度目の武道館公演はバタバタしていて私の心の余裕もなかったので、あまりよく憶えていません(汗)。2度目となる今回はあの時よりも少し落ち着いてきている(ような気がしている)ので、いろんな光景を目に焼き付けられたらと思っています。きっと楽しいライブになると思うので、ご一緒できる方は是非いらしてください。お待ちしております。
<Dir.F>
本日、来年2024年3月に水曜日のカンパネラとして2度目の日本武道館単独公演の開催を発表致しました。1度目は2017年の3月でした。3月に特別な縁があるわけではないのですが、7年経ての3月ということで不思議な引力を感じてしまいます。21年9月に主演歌唱担当が1代目のコムアイから2代目の詩羽になり、本格的な活動は昨年からでしたが、ファンの皆様、スタッフの皆様の支えがあり、来年また日本武道館での公演を決断することができました。
前回の日本武道館公演は2012年から活動する水曜日のカンパネラとして一つの集大成な1日でした。
来年の日本武道館ももちろん特別な1日ではありますが、今回は集大成ではなく、これがスタートラインでもあると思っています。
是非、お気軽に新たな門出にお立ち会い頂けますと嬉しいです。
◎公演情報
水曜日のカンパネラ 日本武道館単独公演
2024年3月16日(土)東京・日本武道館
OPEN 16:30 START 17:30(予定)
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