2023/07/11 14:00
米ペンシルベニア州フィラデルフィア出身のラッパー=リル・ウージー・ヴァートのニューアルバム『ピンク・テープ』が1位に初登場した、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。
本作は、2020年3月にリリースした前作『エターナル・アテイク』から約3年ぶり、3枚目のスタジオ・アルバムで、デビュー・アルバム『ラヴ・イズ・レイジ2』(2017年)から3作連続で首位を獲得した。その他、フューチャーとのコラボレーション・アルバム『Pluto x Baby Pluto』が2020年に最高2位を記録していて、通算4作目のTOP10入りを果たしている。
『ピンク・テープ』は、今週の集計期間(2023年6月30日~7月6日)にアルバム・ストリーミングが154,000(全26曲で2億1,039万回)、アルバム・セールスが11,000、トラックによるユニットは2,000をそれぞれ記録して、累計167,000ユニットを獲得した。ラップ・アルバム、R&B/ヒップホップ・アルバムとしては現時点での2023年最大の週間ユニットで、週間ストリーミングとしてもラップ・アルバム、R&B/ヒップホップ・アルバムの最高記録を更新している。
Billboard 200でラップ・アルバムが首位を獲得するのは、メトロ・ブーミンの『Heroes & Villains』が1位に初登場した2022年12月17日付以来29週ぶりで、アイス・キューブの『ザ・プレデター』(1992年12月5日付)からサイプレス・ヒルの『ブラック・サンデー』(1993年8月7日付)が1位を獲得した34週間以来、約30年ぶりの最長記録を塗り替えている。
『Heroes & Villains』から今週『ピンク・テープ』が首位を獲得するまでの29週間は以下の6作が1位を獲得していて、ラップ・アルバムとしては『ピンク・テープ』が2023年初のNo.1タイトルとなる。
シザ『SOS』(2022年12月24日~2023年2月4日)
TOMORROW X TOGETHER『The Name Chapter: TEMPTATION』(2023年2月11日)
シザ『SOS』(2023年2月18日~3月4日)
カロルG『Mañana Será Bonito』(2023年3月11日)
モーガン・ウォレン『ワン・シング・アット・ア・タイム』(2023年3月18日~6月3日)
テイラー・スウィフト『ミッドナイツ』(2023年6月10日)
Stray Kids『★★★★★(5-STAR)』(2023年6月17日)
モーガン・ウォレン『ワン・シング・アット・ア・タイム』(2023年6月24日~7月8日)
リル・ウージー・ヴァート『ピンク・テープ』(2023年7月15日)
『ピンク・テープ』が1位に初登場したことで、先週まで15週間首位を独占していたモーガン・ウォレンの『ワン・シング・アット・ア・タイム』は2位にダウンしたが、週間ユニットは前週から若干数増加の110,000に上昇していて、初登場から18週連続で10万を突破した。
3月18日 501,000ユニット(1位)
3月25日 259,000ユニット(1位)
4月1日 209,500ユニット(1位)
4月8日 197,000ユニット(1位)
4月15日 173,000ユニット(1位)
4月22日 167,000ユニット(1位)
4月29日 166,000ユニット(1位)
5月6日 149,000ユニット(1位)
5月13日 138,000ユニット(1位)
5月20日 141,000ユニット(1位)
5月27日 134,500ユニット(1位)
6月3日 129,000ユニット(1位)
6月10日 126,000ユニット(2位)
6月17日 117,000ユニット(2位)
6月24日 111,500ユニット(1位)
7月1日 110,000ユニット(1位)
7月8日 110,500ユニット(1位)
7月15日 111,000ユニット(2位)
ストリーミングが集計に加算されるようになった2014年12月以降では、昨年16週間10万ユニットを突破したバッド・バニーの『Un Verano Sin Ti』を上回り、史上最長記録を更新している。
先週3位に初登場したペソ・プルマのデビュー・アルバム『Génesis』は、前週から7%減少したものの68,000ユニットと高記録を維持して、今週もTOP3にランクインした。テイラー・スウィフトの『ミッドナイツ』も、54,000ユニット(5%減少)を記録して同位をキープし、モーガン・ウォレンの『デンジャラス:ザ・ダブル・アルバム』(48,000ユニット / 2%増加)は7位から5位、シザの『SOS』(44,000ユニット / 6%減少)も8位から6位にそれぞれ順位を上げた。一方、ガンナの『a Gift & a Curse』は前週から20%減少の44,000にユニット数を落とし、5位から7位にランクダウンしている。
テイラー・スウィフトの『ラヴァー』は、現在開催中のツアー【The Eras Tour】の反響もあり、前週から1%増加の43,000ユニットを記録して先週の9位から8位に上昇した。なお、テイラーは7月7日に再録版の第3弾『スピーク・ナウ(テイラーズ・ヴァージョン)』をリリースしたため、次週(7月22日付)のチャートでは本作も上位にランクインする可能性が高い。『スピーク・ナウ(テイラーズ・ヴァージョン)』が1位に初登場すれば、2008年の『フィアレス』から12作目の首位獲得となり、同11作で並んでいたバーブラ・ストライサンドを抜き、女性アーティストとしては歴代最多記録を更新する。
続いて今週9位には、韓国のガールズ・グループ=aespaのミニ・アルバム『MY WORLD』が初登場して、2022年7月23日付で3位を記録した『Girls』に次ぐ2作目のTOP10入りを果たしている。
『MY WORLD』は、初週アルバム・セールスが39,000(今週のトップ・セールス)、アルバム・ストリーミングは1,000(全6曲で133万回)をそれぞれ記録して、合計40,000ユニットを獲得した。本作は、今年の5月5日にデジタル・ダウンロードとストリーミングが解禁されたが、これまでチャートインすることはなく、6月30日にCDをリリースしたことでセールスが急増し、今週9位に初登場した。
多くのK-POPアルバムと同様に、『MY WORLD』も特典の異なる数種類のパッケージで販売されたCDが売上全体のほとんどを占めていて、デジタル・ダウンロードの売上はごくわずかだった。現時点ではアナログ盤(LP)とカセットテープはリリースされていない。
今週は10位にも米アラバマ州出身のラッパー=ライロ・ロドリゲスの新作『Been One』が初登場していて、TOP10に3作、ラップ・アルバムとしては2作がデビューした。Billboard 200でのランクインは、2020年に最高37位を記録したデビュー作『G.I.H.F.』に続く2作目で、自身初のTOP10入りと最高位を更新している。
『Been One』の初動ユニットは35,000で、そのほとんどをストリーミングが占めた。初週のストリーミングは、全19曲で4,793万回を記録している。
Text: 本家 一成
※関連リンク先の米ビルボード・チャートは7月14日以降掲載予定となります。
◎【Billboard 200】トップ10
1位『ピンク・テープ』リル・ウージー・ヴァート
2位『ワン・シング・アット・ア・タイム』モーガン・ウォレン
3位『Génesis』ペソ・プルマ
4位『ミッドナイツ』テイラー・スウィフト
5位『デンジャラス:ザ・ダブル・アルバム』モーガン・ウォレン
6位『SOS』シザ
7位『a Gift & a Curse』ガンナ
8位『ラヴァー』テイラー・スウィフト
9位『MY WORLD』aespa
10位『Been One』ライロ・ロドリゲス
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