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2023/06/17 12:00

<わたしたちと音楽 Vol.19>Sakura Tsurutaが語る、テクノロジーの分野に必要なフレンドリーに学べる環境

 【ビルボード・ウィメン・イン・ミュージック】(WIM)の日本版実施に伴い、独自の観点から“音楽業界における女性”にフォーカスしたインタビュー連載『わたしたちと音楽』のVol.19に東京を拠点に音楽家として活躍するSakura Tsurutaが登場した。

 高校時代のピアノの先生が電子音楽と20~21世紀の音楽の架け橋になってくれたと話す彼女は、「それから程なくしてクラブにも遊びに行くようになり、ダンスミュージックという観点からも電子音楽に触れることに。その両方からのアプローチで、テクノロジーを使った表現の音楽制作にフォーカスしていくことになったんです」とその原点について述べている。

 だが、テクノロジーの分野においては女性は少数派で、その理由の一つは“学ぶ機会や環境がない”ことにあると言う。「テクノロジーの表現や教育の場で“初心者向けの講座”とアナウンスされていても、蓋を開けてみたら細やかな説明なしに高度な話が交わされていて、心理的安全性にも配慮がないということも少なくないんです」と彼女は説明し、「十分な環境が担保されず教養が重ねられず、知識がある人とない人の差が大きくなっているのが現状の課題ではないでしょうか」と語っている。

 また、バークリー音楽院の音楽療法科を卒業し臨床経験を持つなど、多角的に音楽に取り組んでいる彼女だが、困難な時には、「軸がズレてしまっていたり揺らいでいたりするので、自分と向き合うことが大切だと思っています」と話し、「“何が原因で何を感じていて、求めていることは何なのか”を観察して、自分と相談するんです。音楽療法的なことで言うと、向き合うために“あえて何も聞かない”というのもテクニックの一つ。サイレントの時間を楽しみます」とその解決法についても明かしている。

 インタビュー全文と本人がセレクトしたプレイリストは特集ページにて公開中だ。また、【ビルボード・ジャパン・ウィメン・イン・ミュージック】の特設サイトでは、これまでのインタビューやプレイリストなどをまとめて見ることが可能だ。

 2007年からアメリカで開催されている【ビルボード・ウィメン・イン・ミュージック】は、音楽業界に貢献した女性を表彰するアワードで、2023年版は3月に実施された。日本では、インタビューやライブ、トークイベントといった複数のコンテンツから成るプロジェクトとして2022年秋にローンチした。

Photo: Miu Kurashima / Location: CANDLE CAFE & Laboratory