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2023/03/20

<ライブレポート>MANNISH BOYS/地球三兄弟らが祝福のパフォーマンス【MARK’E Rolling 70-RADIO DAYS-】1日目

 39日、10日の2日間にわたって、大阪・大阪フェスティバルホールにて、FM COCOLODJを務めるマーキーの生誕70年と、ラジオ開局70年もお祝いするアニバーサリーイベント【MARK’E Rolling 70-RADIO DAYS-】が開催された。

 日本に初めて民放ラジオが誕生した翌年、1952年に生まれたマーキー。関西のラジオ局FM802を開局間もない黎明期から牽引し、FM COCOLOに移籍後もラジオの申し子として、音楽はもちろん、様々なエンタメシーンを盛り上げてきた彼。今回2日間に渡って繰り広げられた祝宴には、マーキーと長年付き合いのあるミュージシャンらが出演。盛大なバースデーイベント、まずは初日の模様についてお伝えしたい。

 開演前の会場ではブライアン・セッツァーやラモーンズ、ローリングストーンズから、シーナ&ザ・ロケッチなど洋邦の名曲がBGMで流れている。もちろん、その選曲もラジオへの愛がたっぷりと詰まったナンバーばかり。フロアでは「NO MARK’E,NO RADIO!」と、某レコードショップ風のポスターがずらりと並び、出演者たちからの愛あるメッセージが掲げられていた。ほかにも、桑田佳祐など大物アーティストからの祝いの花が数多く飾られるなど、彼がいかに多くのミュージシャンに愛されてきたかを窺い知ることができる。

  イベント初日はマーキーが担当する番組『MARK’E MUSIC MODE』が楽屋裏から生放送でオンエア。ライブ直前の出演者たちが次々に番組に生出演するなど、この日限りのスペシャルな番組を展開。番組は会場でも流され、ライブ直前の高まりを観客と一緒になって体感する、特別感を味わうことができた。

  開演直前、ラジオから流れたのはボブ・ディラン「Like a Rolling Stone」。ここから何が起きるのか、マーキーの言葉に導かれるように会場はゆっくりと暗転していく。トップバッターに登場したのはMANNISH BOYS、斉藤和義と中村達也によるロックユニットだ。この日はユニットの原点でもある、2人だけでのベーシックな編成でのプレイ。「マーキーさん、おめでとうございます!」、声高らかに祝いの言葉を掛けると、1曲目「MANNISH BOYSのテーマ」からギターとドラムの生音だけで、あっという間に観客を圧倒。

  中村達也はシンプルなドラムセットから情緒豊かなビートを鳴らし、斉藤和義はそこに繊細で熱量高いギターを絡めていくと、「天使とサボテン」ではノスタルジーなギターをねっちょりと鳴らす。中村のシャウトは声だけで楽曲に迫を増し、斉藤の歌声を一層エネルギッシュに引き立てていく。天井から音が降り注ぐといわれ、音楽の殿堂と称されるフェスティバルホールで2人の極上のグルーヴを体感できるのはとにかく贅沢! ラスト「Mach Venus」まで、その魅力をたっぷりと見せつけてくれた。

  続いては地球三兄弟。奥田民生、YO-KING、桜井秀俊によるロックバンドの登場だ(メンバー名はOしゃん、スパ de SKYTHE EARTHだが、ここでは本名で)。1曲目「Three Brothers Blues」から、ラップタッピングで不思議な音色を鳴らす桜井、ブルースハープで深みのある音色を鳴らすYO-KING、そして民生がブルージーなギターで楽曲の臨場感を増していく。3人の歌声はいつにも増して渋みがあり、観客はじっとステージを見入っている。続く「すっごい汗」では遊び心というか、抜け感たっぷりのリリックを昭和な雰囲気たっぷりの曲調で鳴らすと、そこから楽曲毎にベースやカホン、バイオリンと楽器編成を変え、多才さを存分に発揮していく3人。

 「呼びにきたよ」では良質なメロに乗せ、3人の歌声がよりくっきりと抽出されていく。個性をぶつけ合うのではなく、融合していくような歌声に聴き惚れる観客たち。MCでは「古希ってあんなに元気なのかな? こっちが先にヤラれるかもしれない」と、自分たちの年齢に置き換え、マーキーのパワフルっぷりを改めてリスペクト。最終曲「絵」まで、じっくりと声を、メロディを届け、上質な音楽で祝宴に華を添えた。

 木村充揮とスリーシトーンズのステージで、イベントは後半へ。1曲目「嫌んなった」から早々に、木村の天使のダミ声で会場の空気が一変。後に続くスリーシトーンズも、木村に負けじと、渾身の歌声を響かせる。トータスシトーンが手掛けたカーリングシトーンズの楽曲「わかってさえいれば」では、トータスシトーンがギターを爪弾いた瞬間から、一気にブルージーなアレンジに。寺岡、浜崎、トータスのスリーシトーンズも、いつも以上に前のめりな歌声、ギターやベースプレイを堪能することができ、この日限りのステージを観客はもちろん、演者も一緒になって楽しんでいる雰囲気が伝わってくる。

 ステージでは「マーキー?何巻き?カッパ巻き?」、木村のボケまくりのトークにタジタジになる3人。浜崎がなんとか仕切り直そうとするも、「慌てない~慌てない」と、ステージドリンクのお酒をおかわりする余裕綽々の木村。そのやり取りがとにかく面白いんだけど、「君といつまでも」を歌い出した瞬間、生粋のブルースマンぶりを発揮し、場の空気が一転。スリーシトーンズの3人も途端に表情が変わり、その様子だけで心が震えて仕方がない。でもやっぱり、最後は木村らしさたっぷりに「変わらない~いつまみむめも~♪」で締めちゃうあたりはさすが! ラストは観客と「上を向いて歩こう」を歌い、愛嬌たっぷりのステージで会場を沸かしてくれた。

 初日のトリの前には、生放送を終えたばかりのマーキーが登場。「夢のような時間を」と、カーリングシトーンズのメンバーを呼び込むと、カーリングブラシを手に、水兵ルックの6人が登場。まずは「スベり知らずシラズ」からカーリン カーリン グッと、絶妙に耳に残るサビで会場をひとつにしていく。メンバー6人全員がフロントマンでボーカリスト。作詞作曲はもちろん、ギターやベース、ドラムも演奏できる多彩な面々が集まったこのロックユニット。作曲を担当した楽曲ごとに各々の個性を感じるけれど、歌声やギター、ドラムプレイでがらりと印象が変わるのがとにかく面白い。しかも、互いにぶつかり合うのではなく、楽しんでなんぼ!な精神でプレイするものだから、良い感じに肩の力が抜けたグルーヴを堪能できるのもいい。

 ステージ中盤はおなじみ、即興で曲作りを行う『Road to 老後 CM王への道』も披露。この日はマーキーの祝宴ということで”DJをテーマに、ニューオリンズ風のイントロから作曲スタート。ABメロ、サビと、メンバー1人ずつが担当し、繋がるの!?と不安はありつつも、そこはやはりベテラン揃い。無事に名曲(!?)が誕生し、観客からの拍手喝采を受けると、グルーヴィなリズムでフロアを沸かす「ドゥー・ザ・イエローモンキー」からライブ後半へと繋げていく。「Oh! Shirry」ではご機嫌なビートにメンバーもお尻をフリフリ♪本編最後には「大阪を元気にしてもらいたい!」とマーキーに激励の言葉を送り、ラテンナンバーの応援歌「ソラーレ」へ。祝宴を締めるにふさわしいナンバーで本編を締めくくった。

  アンコールではまだまだ遊び、いや、祝い足りなかったのか、「ガッツだぜ!!」でマーキーも巻き込んで盛大に会場を盛り立てる6人。ラスト「涙はふかない」まで、贅沢なエンタメステージを届け、初日のイベントはこれにて終幕。「ありがとうしかない!」と感極まったマーキーの言葉に、観客はみなお返しといわんばかりに盛大な拍手を届けていた。

  なお、この日のライブ音源やコメントなどは、321日にマーキーが担当するFM COCOLOMARK’E MUSIC MODE』にて放送を予定している。

Text : 
黒田 奈保子
Photo : 井上 嘉和


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