Billboard JAPAN


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2023/03/16 12:00

<ライブレポート>稲垣潤一/尾崎裕哉/小柳ゆき/タケカワユキヒデ/NOKKO/八神純子らが出演、ビルボードクラシックス10周年ツアー開幕

 2012年から、ポップスやロックの名手たちとクラシック・シーンを牽引する指揮者や名門オーケストラを繋ぎ、最強コラボレーションを実現させ、これまでに様々なコンサートを全国のホールで300公演以上主催。そんな「ビルボードクラシックス」が2023年3月8日、現在のポップス×オーケストラのスタイルを本格的に開始してから10周年を記念するガラ形式のフェスティバル公演を、クラシックの殿堂・東京芸術劇場コンサートホールで華々しく開催した。

 開幕のアナウンスが流れると壇上には、日本のオーケストラとしては最古の歴史を持ち、シンフォニーと劇音楽の両方に定評のある東京フィルハーモニー交響楽団が登場。この日の指揮を務めるのは近年めざましい活躍をみせる若手注目株の齋藤友香理だ。彼女の一振りで、チェコ国民楽派を代表するドヴォルザークの出世作である《スラヴ舞曲集》第1集の第1曲がスタートした。まるでオペラの序曲のように、これから始まるヒットパレードへの期待感が盛り上がる。

 そして、トップバッターとして登場したのは八神純子。ブルーのライティングに包まれて、先ずは彼女の名前を一躍全国に知らしめた1979年のヒット曲「みずいろの雨」を披露した。ビルボードクラシックスとの出会いが“第2の音楽人生”のスタートだったと語るだけあって、伸びやかなヴォーカルを気持ち良く会場全体に届けて健在ぶりをアピール。続く「Mr.ブルー ~私の地球~」は1980年8月にNHK総合テレビにて放映された天文科学番組のテーマソングだ。 惑星・地球への愛と祈りを歌い上げたスケールの大きな楽曲でファンには特に人気のナンバーで、オーケストラの特性をいかした交響詩のようなアレンジが圧巻だった。

 続いて現れたのは稲垣潤一。大ブレイクのきっかけを掴んだ1982年リリースの3枚目シングル曲であり、作詞家・秋元康にとっても最初のヒットになった「ドラマティック・レイン」で衰え知らずの高音を響かせ、MCでは対照的な低い喋り声にて、当時の担当ディレクターとのレコーディング秘話で客席を湧かせた。次の歌も同じく筒美京平が作曲を手掛けた1983年の佳曲「夏のクラクション」。会場をあの頃と変わらない、気だるい夏の終わりのキラキラとした空気で包みこむ。オーケストラの創り出す音のひとつひとつを聴き漏らさず、それにしっかりと呼応するかのような歌唱も印象的だった。
 
 前半の最後を託されたのは“第二次バンドブーム”の先駆けとして80年代に大活躍したトップ・バンド、REBECCAのヴォーカリストとして一世を風靡したNOKKO。ゴージャスなカーリーヘアとフェミニンな衣装というキュートな出で立ちで、ソロ時代の代表曲でこちらも筒美京平の書いた名曲のひとつ「人魚」(1994年)をしっとり且つコケティッシュに歌い上げる。そして日本のロック史に燦然と輝く、REBECCA 4枚目のシングル曲「フレンズ」(1985年)をパワフルに熱唱。ゴージャスな吹奏楽風のサウンドで鮮烈に前半を締め括った。

 後半はバレエ曲「剣の舞」で知られるハチャトゥリアンが、戯曲《仮面舞踏会》のために書いた劇音楽をもとに編んだ組曲からのワルツでスタート。前半とは趣を変えた、少しミステリアスな雰囲気にも心を掴まれる。

 美しいイントロに導かれて小柳ゆきが登場し、5枚目のシングル曲「be alive」(2000年)を披露。MCでは「出演させていただくのは毎回、自分にとってご褒美の時間」と語る。今回、東京公演のみで兵庫公演(3/29:兵庫県立芸術文化センター)には参加しない彼女には3曲が与えられ、2曲目に選ばれたのはOfficial髭男dismの楽曲「Cry Baby」(2021年)。TVアニメ『東京リベンジャーズ』のオープニング主題歌であり、昨年リリースした最新カヴァー・アルバム『RARE TASTY』でも冒頭を飾っていた曲だ。彼女曰く「ゴージャスな喧嘩の歌」ということで、この日着ているどこか勇ましい衣装の理由もここで判明。激しい転調が特長のヴォーカリストにとって難曲で知られる(オーケストラによる演奏もまるで現代音楽を思わせる)このナンバーを、見事に自分のものにしていた。もちろん3曲目の鉄板バラード「あなたのキスを数えましょう~You were mine~」(1999年)も最高だった。

 続いては昨年、父親の没後30年に際してあらためて“自分が歌う意味”についての決意を固めたという尾崎裕哉。永遠の名曲「卒業」(1985年)を迷いのない歌唱で歌い上げ、客席で見守る、かつて尾崎豊のヴォーカルに魂を揺さぶられた世代の心を掴んだ。MCでも4月に「I LOVE YOU」と「OH MY LITTLE GIRL」のカヴァーを初めて音源化したEPをリリースすると報告して“継承と革新”をアピール。その後で軽快なオリジナル曲「Glory Days」(2020年)を披露する彼に、会場全体が手拍子でエールを贈った。

 トリを務めたのは、1970年代から1980年代にかけてヒット曲を連発し、日本の音楽シーンに多大なる影響を与えた伝説のロックバンド「ゴダイゴ」のヴォーカルで、ソングライターとしても活躍しているレジェンド“タケカワユキヒデ”。先ずはTVドラマ『西遊記』のエンディング・テーマで、人々に東洋の神秘的な世界への憧れを掻き立てた「ガンダーラ」(1978年)で、ホールを大きな感動で満たすと、続く「銀河鉄道999(The Galaxy Express 999)」(1979年)でも「天国の松本零士先生に届け」とばかりの圧巻パフォーマンスを披露。いずれもオーケストラの壮大な響きに身を委ねるようなアレンジで、まさに「ビルボードクラシックス」の醍醐味を堪能できる象徴的なフィナーレとなった。

 最後のカーテンコールに勢揃いした出演者一同に、客席からは惜しみない拍手と歓声が。ジャンルの垣根を超えて、音楽の多様な可能性を示すこの企画に、これからも大いに期待したいと思える一夜だった。

 続く兵庫公演では、小柳ゆきに替わってCHEMISTRYが新たにメンバーに加わって開催される。関西を代表する芸術の殿堂、兵庫県立芸術文化センターで繰り広げられる6組のアーティストとオーケストラのパフォーマンスを、春の盛りの華やかな雰囲気のなかで楽しみたい。

 

text:東端哲也                                                        
photo:岩田えり、金井恵蓮


◎公演情報
【Daiwa House presents billboard classics 10th Anniversary festival】

【東京】2023 年 3 月 8 日(水)OPEN 17:30 / START 18:30 東京芸術劇場 コンサートホール ※終演
【兵庫】2023 年 3 月 29 日(水)OPEN 17:30 / START 18:30 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール

出演(50音順):
【東京】稲垣潤一、尾崎裕哉、小柳ゆき、タケカワユキヒデ、NOKKO、八神純子
【兵庫】稲垣潤一、尾崎裕哉、CHEMISTRY、タケカワユキヒデ、NOKKO、八神純子

指揮:齋藤友香理
管弦楽:【東京】東京フィルハーモニー交響楽団
    【兵庫】大阪交響楽団

主催:ビルボードジャパン(阪神コンテンツリンク)
企画制作:ビルボードジャパン(阪神コンテンツリンク)
特別協賛:大和ハウス工業株式会社
後援:米国ビルボード

公演公式サイト: https://billboard-cc.com/classics/10thbbcf/

◎チケット:8,800円、ペア席15,000円(全席指定・税込)
※特製プログラム付 
※未就学児入場不可

◎チケット発売中

◎コンサートに関するお問い合わせ
【東京】キョードー東京 0570-550-799(11:00~18:00/土日祝 10:00~18:00)
【兵庫】キョードーインフォメーション 0570-200-888(11:00~18:00/日祝休)

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