2022/12/17 18:00
2018年に東京・シアターコクーンで上演された舞台を、三浦大輔が脚本・監督、藤ヶ谷太輔が主演で映画化した『そして僕は途方に暮れる』の公開を前に、三浦監督が人間の“本質的な部分”をリアルに描いた4作品を紹介する。
★『そして僕は途方に暮れる』(2023年1月13日より全国公開)
自堕落な日々を過ごすフリーターの菅原裕一(藤ヶ谷太輔)は、長年同棲している恋人・里美(前田敦子)と些細なことで言い合いになり、話し合うことから逃げ、家を飛び出す。親友・伸二(中尾明慶)やバイト先の先輩・田村(毎熊克哉)、大学の後輩・加藤(野村周平)、姉・香(香里奈)のもとを渡り歩くが、ばつが悪くなるとその場から逃げ出し、ついには、母・智子(原田美枝子)が1人で暮らす北海道・苫小牧の実家へ辿り着く。だが、母ともなぜか気まずくなり、雪降る街へ。
行き場を無くし、途方に暮れる裕一は最果ての地で思いがけず、かつて家族から逃げていった父・浩二(豊川悦司)と10年ぶりに再会する。「俺の家に来るか?」と父から誘いを受けた裕一は、スマホの電源を切り、すべての人間関係を断つのだが……。まさかのクライマックスが待ち受ける現実逃避型エンタテインメント。
★『愛の渦』(2014年)
閑静な住宅街にあるマンションの一室。バスタオル1枚で気まずそうに思い思いの場所に座っている男女8人――終始俯いている暗いニートの男、茶髪のフリーター、真面目そうなサラリーマン、工場勤務の太った男、メガネの女子大生、気の強そうな保育士、今どきのOL、大量のピアスを付けた痩せぎすの女――は、社会では友達関係にはなり得ない、バラバラな風貌だ。ここは「セックスがしたくてたまらない人たちが集まる」店。行為に及ぶまで、ぎこちないやり取りがあるが、一度してしまえば、欲望は気持ちいいほど剥き出しになっていく。しかし同時に、「やりたい相手」と「やりたくない相手」、それにともなう駆け引きや嫉妬など、それぞれの本音も露わになっていく。そんな中、ニートは女子大生に特別な感情を持ち始める。ぶつかり合う心と体、真夜中に途中参加してくるおかしなカップル、欲望渦巻く一晩は一体どこへ向かうのか。
★『何者』(2016年)
大学の演劇サークルに全力投球していた拓人(佐藤健)、拓人がずっと前から片想いをしている瑞月(有村架純)、瑞月の元カレで、拓人とルームシェアをしている光太郎(菅田将暉)、拓人たちの部屋の上に住んでいる、瑞月の友達の理香(二階堂ふみ)、就活はしないと宣言する、理香と同棲中の隆良(岡田将生)の5人は、理香の部屋を「就活対策本部」として定期的に集まる。しかし、それぞれが抱く思いが複雑に交錯し、徐々に人間関係が変化。「私、内定もらった……」と、やがて“裏切り者”が現れたとき、これまで抑えられていた妬み、本音が露になっていく。人として一番価値があるのは誰か、そして自分はいったい“何者”なのか。彼らの青春が終わり、人生が始まる。
★『娼年』(2018年)
東京の名門大学生・森中領(松坂桃李)は、日々の生活や女性との関係に退屈し、バーでのバイトに明け暮れる無気力な生活を送っていた。ある日、美しい女性・御堂静香(真飛聖)がバーに現れ、「女なんてつまんないよ」という領に静香は“情熱の試験”を受けさせる。それは、静香が手がける会員制ボーイズクラブ「Le Club Passion」に入るための試験であった。入店を決意した領は、翌日から娼夫・リョウとして仕事を始める。最初こそ戸惑ったが、娼夫として仕事をしていくなかで、女性ひとりひとりの中に隠されている欲望の不思議さや奥深さに気づき、心惹かれ、やりがいを見つけていく。
◎公開情報
『そして僕は途方に暮れる』
2023年1月13日(金)より、全国公開
脚本・監督:三浦大輔
出演:藤ヶ谷太輔、前田敦子、中尾明慶、毎熊克哉、野村周平、香里奈、原田美枝子、豊川悦司ほか
(C) 2022映画『そして僕は途方に暮れる』製作委員会
※記事初出し時に誤りがございました。お詫びして訂正いたします。
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