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2022/12/12

<ライブ・レポート>コブクロ、約3年ぶりのアリーナ・ツアーは「太陽のようなライブに」

 1998年に大阪にて結成、その後ストリート・ライブなどで実力と人気を磨き、これまでに数多くの時代を超えて歌い継ぎたい名曲を発表している、黒田俊介と小渕健太郎からなる音楽デュオ、コブクロ。およそ3年ぶりとなる全国アリーナ・ツアー【KOBUKURO LIVE TOUR 2022 “GLORY DAYS”】の首都圏公演がさいたまスーパーアリーナにて開催された。

 まだまだ規制が解除されていない状況ゆえ、歓声が轟かない状況であったが、会場が暗転した瞬間にツアーグッズであるリストバンドが青い光を発すると、ひと足早いクリスマスのイルミネーションのような幻想的な雰囲気に。そして拍手に包まれながら、バンド・メンバーを従えてふたりが登場。「行くぞ!さいたま」という黒田の掛け声と同時に、ステージにスポット・ライトが当たり「ちょっとずつ時代が開いていく状況、またその閉塞された時間のなかで気づいたこと」(小渕)を表現したという、今回のツアーで初公開となる新曲「Mr.GLORY」を演奏し、華々しくスタート。改めて多くのオーディエンスの前でパフォーマンスする喜びを、身体いっぱいに味わっている様子で、黒田は「今日はこれまで一度も出したことのない本気を見せたいと思います」と決意を報告。小渕も「太陽のようなライブをやりたい。みなさんも日々、たくさんの想いを抱きしめていると思いますが、今だけはすべてを忘れて、心を裸にして楽しんでください」と伝え、バラード曲「流星」(10年)をパフォーマンス。この3年間に巻き起こったすべての出来事を、優しく包み込んでくれるようなハーモニーで、会場をあっという間に感動へ導いたのだった。さらに星空ソングは続き「ベテルギウス」(08年)は、ロックに再アレンジして披露。彼らのピュアな衝動が垣間見られて、観客も熱狂の様子。リストバンドの光が、瞬く星のようにキラキラ輝いていたのだった。さらにヒップホップのグルーヴを交えた展開のあるサウンドで表現している「Always (laughing with you.)」(21年)では、結成当初にタイムスリップしたかのような印象を与えるものに。

 その後、2009年以来ライブで披露していなかったという「恋心」(09年)、また「恋愛観測」(22年)と、ラヴソングをパフォーマンスすると、ピアノの美しい音色と小渕のブルースハープによるセッションが展開。そして「あの太陽が、この世界を照らし続けるように。」(11年)を黒田が熱唱する。“本気度”が伝わってくる魂のこもった歌声に、観客は息をするのを忘れるほどに見入っていた様子。パフォーマンスを終えると、スタンディング・オベーションが響きやまなく、その様子に感極まったのか、小渕は「この瞬間を待ち望んでいました。観客のみなさんと、一緒に音楽を奏でられた気がします」と目を潤ませながらコメントしていたのが印象的だった。

 会場に感動と一体感を生んだ圧巻のパフォーマンスに続き、「僕らは言葉を大切にして音楽を制作しています」(小渕)と語り、「時の足音」(08年)の新アレンジバージョンと、ツアータイトルである“GLORY DAYS”というフレーズが心に残る「Days」(22年)を、言葉ひとつひとつを噛み締めるように歌い上げていたのだった。

 改めて、音楽を生で感じる喜びと感動を感じられたステージが続いた後、コブクロのライブのもうひとつのお楽しみである、ふたりの巧妙なトーク・バトルが繰り広げられ、アットホームな雰囲気に包まれると、小渕が23年の3月に東京、大阪でスペシャル・ライヴの開催と、2月16日に大阪城ホールにて2マン・ライブ【flumpool Road to 15th anniversary Dream Live with コブクロ「FOR ROOTS~天王寺ストリートメイド~」】をおこなうことをアナウンス。続けて、小渕は「今日偶然にもflumpoolのメンバーが会場に遊びにきてくれています」と伝えると、メンバー4人が花束を抱えてステージに登場。「僕らは、コブクロさんが大阪・天王寺でストリート・ライブをしているのを観て、バンドを結成しました。今回、ライブで共演させていただくことができて、夢が叶った気分です」とフロントマンである山村隆太がコメント。ステージに登場した瞬間は、緊張の表情を見せていた4人だったが、ふたりの軽快なトークによって和やかな表情に変わっていったのが印象的だった。きっと2月のステージでは、特別なセッションを体感できそうだ。

 外はあいにくの肌寒い雨模様であったものの、それを忘れてしまうような暖かさが会場を包むなか、「盛り上がっていきましょう!」と声を発すると、こちらも本ツアーで初公開となる新曲「雨粒と花火」を披露。昭和歌謡を思わせるノスタルジックがありながらもキャッチーなメロディと、疾走感のあるバンド・サウンドに、多くの観客が身体をあずけていた。ラストには、盛り上がりに呼応して、屋内の会場でありながらも花火が打ち上げられる(?)演出も加わり、会場は瞬く間に真夏に。そして、彼らのライブでは鉄板の盛り上がりチューン「ストリートのテーマ」(99年)を披露。本来であるならば、コール&レスポンスがお約束であるという楽曲なのだが、状況を踏まえて手拍子で代用。小渕がハリセンを用いて拍子の取り方をレクチャーすると、(時折ご愛嬌を感じる部分があったものの)その指示通りのビートを叩く観客の連帯感に、思わず圧倒されてしまった。さらに、エッジの効いたロックンロール・ナンバー「神風」(00年)に続き、本編ラストでは最新シングルであり大阪・関西万博オフィシャルテーマソングでもある「この地球(ほし)の続きを」をパフォーマンス。<こんにちは>というフレーズでは観客と一体になってダンス、さらに終盤では小渕が和太鼓を演奏するなど、お祭りムードに包まれるなかでステージが終了したのだった。

 アンコールに登場した彼らは、久々のアリーナ公演が実現できたことに充実した表情を浮かべ「今回はチャレンジの多いセットリストになりましたが、みなさんの気持ちに支えられて、全力を出し切った素晴らしいものになった」(小渕)とコメント。さらに、2023年で結成25周年を迎えるにあたり「ここまでみなさんの拍手や声援に支えられて、やってこられた」と改めて感謝の気持ちを告げ、彼らのなかでも強い思いのこもったナンバーであるというメジャー・デビュー曲「YELL~エール~」(01年)を、これまでの軌跡を振り返っているかのように丁寧に歌い上げていたのだった。

 3時間近くにわたるステージのラストを締めくくったのは、こちらも書き下ろしの新曲「足跡」。小渕の愛犬が病に冒されてしまったことがきっかけになって制作されたというもの。いつか終えてしまう生命の儚さに思いを巡らせながらも、限られた時間のなかで、精いっぱい輝きのある生き方をすることの大切さを伝えるバラードだ。そこからは、25年、30年とこれから先に向かって、コブクロはさらに新しい「足跡」を刻んでいくという決意も聴き取ることができた。


Text:松永尚久

◎公演情報
【KOBUKURO LIVE TOUR 2022 “GLORY DAYS”】
2022年10月22日(土) 三重・三重県営サンアリーナ
2022年11月1日(火)、2日(水) 大阪・大阪城ホール
2022年11月10日(木)、11日(金) 愛知・名古屋・日本ガイシホール
2022年11月19日(土)、20日(日) 埼玉・さいたまスーパーアリーナ
2022年12月3日(土)、4日(日) 広島・広島グリーンアリーナ
2022年12月10日(土)、11日(日) 福岡・マリンメッセ福岡

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