2022/12/10 18:00
YOASOBIが出演したインドネシアとフィリピンでのフェス【Head In The Clouds】のオフィシャル・ライブレポートが到着した。
Upcoming Artist is “YOASOBI”!!
12月4日夕方、まもなくの登場がアナウンスされただけで、会場から歓声が上がる。
HEAD IN THE CLOUDS FESTIVAL JAKARTA。アメリカを拠点に、アジアのカルチャーシーンを世界に向けて発信する音楽レーベル・88risingが主催するフェスが、ジャカルタで初開催。YOASOBIが自身初の海外ライブの舞台をここに選んだのは、「夜に駆ける」「あの夢をなぞって」「たぶん」といった初期楽曲、そして「怪物」「祝福」といったアニメタイアップ楽曲を中心に彼らの楽曲がインドネシアで非常に人気が高いことも大きな理由だそう。データが示していたその事実が、間違いなく血の通ったものであることが、このライブで証明されることになる。
1曲目は「夜に駆ける」。YOASOBIは今年日本で3本の夏フェスに出演したが、いずれもトップバッターはこの楽曲だ。ライブ用にアレンジされた、じわじわとボルテージが上がっていくイントロに合わせて、観客の熱量もどんどん高まっていく。「沈むように 溶けていくように」。ボーカル・ikuraの声が響いた瞬間、コロナ禍に生まれたYOASOBI自身これまで一度も聞いたことがなかった、そして待ち焦がれた「ライブでの歓声」がジャカルタの空の下で弾けた。
続いて披露されたのはテレビアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』オープニングテーマとして海外でもオンエアされている「祝福」。リリースされたのは今年10月と比較的最近だが、大勢の観客が日本語で一緒に歌っている。アニメとともに、楽曲に込められたメッセージが海を越えて届いていることが実感できた。
立て続けに披露されたのは「ミスター」。ラララの合唱で観客と一つになったかと思えば、グルーヴィーに身体を揺らしつつ切ないフレーズを歌い上げるikura。切れ味鋭いスラップで楽曲のソリッドな側面を際立たせるベース・やまもとひかる、タイトに刻みながらも随所のフィルで楽曲の展開を作るドラム・仄雲、誰よりも音楽に身を任せ、両手のみならず体全身で楽曲を表現するキーボード・ミソハギザクロ、アグレッシブに魅せるプレイと丁寧に刻むカッティングが目にも耳にも心地よいギター・田口悟、そしてそれらをセンターで指揮し、時折観客にも目を配りながら感慨深そうな表情を浮かべるコンポーザー・Ayase。初の海外ライブ、初の歓声、そんな大舞台も楽しんで乗りこなしてしまうYOASOBIとバンドの面々を起点に、ポジティブな空気が会場後方まで目に見えて広がっていくようだった。
インドネシア語での挨拶や英語でのMCで積極的に観客とコミュニケーションを図るikura。対して日本語で「ダイスキ」「カワイイ」「サイコウ」とエールを送るジャカルタの観衆。言葉の壁を越える音楽で繋がったアーティストとリスナーが、互いにリスペクトを持って同じ時間を共有する。そんな中披露された4曲目は「たぶん」。ちょうどこの数日前から、インドネシアのTikTokを中心にバズが広まりつつあった楽曲。メロウな歌い出しにも関わらず上がった歓声が、その熱の高まりを象徴していた。センターステージに歩みを進め、観客に語りかけるように歌うikura。ライブ中の撮影は海外ではもはやおなじみだが、誰もがこの瞬間をなんとか収めて帰りたいと、スマートフォンを掲げた手を伸ばす観客の様子もまた印象的だった。
心音のようなビートが観客を自然と踊らせた「もしも命が描けたら」、一転して無数の拳が力強く振り上がった「怪物」を経て、ラスト2曲。リリースした当初から、いつかライブでお客さんと合唱したいと語られてきた「群青」だ。YOASOBIは昨年11月に『E-SIDE』、今年11月に『E-SIDE 2』という英語版EPをリリースしている。英語圏のリスナーにもYOASOBIを身近に感じてもらいながら、楽曲への入り口を広く作る取り組みとしてファンはもちろん海外のプロモーター、ディストリビューターからも評判だ。「知らず知らず隠してた 本当の声を響かせてよ、ほら」。様々な入り口からYOASOBIに出会ったであろう観客たちが一体となり会場中に響き渡った歌声は、間違いなくこの日1番のボリュームだった。それでもなお、この歌声は今後もっと大きく、そして世界中で聴かれることになるだろうと確信してやまない。
最後を飾った「あの夢をなぞって」も海外人気が一際高い楽曲だ。ノリの良いバンドサウンド、キャッチーで一緒に歌いたくなるサビのメロディ、否が応でもテンションの上がるギターソロ。ラストの「好きだよ」で、YOASOBIと観客が愛を伝え合い、YOASOBI初の海外ライブは大盛況のうちに幕を閉じた。なおこの曲を涙ながらに熱唱するインドネシアのファンの動画がTwitterで話題を呼び、数千のリツイートの結果YOASOBIの元にも届くというおまけエピソードも誕生。ファンにとってもYOASOBIにとってもかけがえのない40分間になったに違いない。
6日後の12月9日には、フィリピン・マニラで開催された同フェスHEAD IN THE CLOUDS MANILAにも出演。ジャカルタ同様に8曲を披露し、こちらでも大きな歓声に包まれた。とりわけ印象的だったのが「もしも命が描けたら」。Ayaseの先導により、観客がスマートフォンのライトを点灯させて高く掲げる。マニラの夜空の下広がった光の海はさながら、海外進出という大海原に漕ぎ出したYOASOBIの未来を明るく照らすサーチライトのようだった。
We are YOASOBI from JAPAN!! シンプルかつ力強い挨拶でパフォーマンスを締め括ったAyaseとikura。自らが作り出した新しいJ-POPの可能性を信じ、より広く、多くの人の心へその音楽を届けるべく歩み出したYOASOBIの今後に大いに期待したい。
Photo by Poto-Pot
※スチールはジャカルタ公演のものとなります。
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