Billboard JAPAN


NEWS

2022/11/15

<ライブレポート>「あのときの私みたいな子が目の前にいたら」SennaRinが初ワンマンで語った想い

 2022年4月にメジャー・デビューしたSennaRin。ドラマ、アニメ、映画など幅広いジャンルで音楽を手掛けてきた作曲家、澤野弘之がプロデュースする彼女は、ソニーミュージック内の<SACRA MUSIC>が送り出す21世紀生まれのシンガー。もともとはインターネット上で活動していて、2017年にYouTubeチャンネル『こもれびちゃんねる』を開設し、主にJ-POPのカバー動画を投稿していた、というバックグラウンドを持つ。

 2021年12月にはデビューの決定と同時に、4曲のタイアップ・ソングについての情報も公開。TVアニメからドキュメンタリー番組やスポーツ情報番組まで、そのタイアップのバラエティからも彼女の歌の訴求域の広さ、シンガーとしてのポテンシャルにスタッフ陣が大きな期待を寄せていたことがわかる。

 そんな彼女の初となるワンマン・ライブ【SennaRin 1st LIVE "Dignified~最果て"】が、東京・渋谷WWW Xにて開催された。タイトルにも示されている通り、4月にリリースされた1stアルバム『Dignified』と紐づいたライブでもある。ショーの露払いはアルバムのオープナーで、SennaRin自身の“声”をふんだんにサンプリングしたインスト・ナンバー「Dignified-IN」。そのままアルバムの流れ通りに1曲目「BEEP」がスタートする。軽やかにしなるダンス・ビートの上でSennaRinの象徴的なハスキー・ヴォイスが躍動するこの曲は、『J SPORTSラグビー』のテーマ・ソングにも起用されている。<Hip! Hooray!>と力強い鼓舞のエネルギーを放ちながら、ショーのキックオフを高らかに宣言したオープニングだ。

 セットリストはアルバム『Dignified』の収録曲を要所に配置しつつ、澤野弘之/SawanoHiroyuki[nZk]名義の作品も含むカバーも多数選曲。アニメ『進撃の巨人』挿入歌の「Barricades」では迫真のシャウトを披露し、アニメ『ギルティクラウン』劇伴曲の「βios」は、祈りのようなコーラスから繊細なウィスパーまで、多彩なヴォーカル・ワークで次々と新しい表情を見せていく一幕に。アルバムの収録曲だけに留まらず、こうしたカバー曲でも澤野弘之×SennaRinのタッグのあいだに起こるシナジーが感じられるのも、今回のようなライブならではだ。

 幕間のトーク・パートでは「あぁ、MC緊張する…!!」と不安を吐露しつつ、改めてアルバム制作の日々を「初めてのことがたくさんあったんですけど、一つひとつの過程を本当に楽しみながら制作させていただきました」と振り返った。そんな初々しいステージ上の佇まいも、パフォーマンスに移れば一転、堂々たる気迫に満ちていく。続いては『銀河英雄伝説 Die Neue These 激突』主題歌にも起用されたミディアム・バラード「dust」。流麗なピアノと幽玄なチェロの音色で紡いだ「Till I」から、一気に重厚感が増した「aLIEz」への流れも見事に乗りこなし、さらには「Limit-tension」のスクエアな四つ打ちダンス・ビートまで、まだまだ無垢がゆえに今後どんなカラーにも染まることができる彼女が、目の前に並ぶ可能性の選択肢を一つひとつ試していくように歌を紡いでいくさまも、見ていて楽しい。

 中盤のカバーメドレーのコーナーでは、彼女がこれまでYouTubeでカバーしてきた楽曲を中心に選び、アコースティック編成でカバーを組み立てていく。中でも、込められた感情が爆発寸前のところでギリギリ保っているようなSennaRinの歌声も相まって、楽曲本来のエネルギーをまったく損ねないままミドル・バラード仕様にアレンジされた、My Hair is Bad「真赤」のパフォーマンスは白眉で、終始息を呑むばかりだった。

 「YouTubeに投稿する以前の私は、いい学校生活を送れていたわけではなく、一人で絵を描いたり、音楽を聴いたり歌ったり、一人遊びが上手な子でした。あのときの私みたいな子が目の前にいたら、そっと救ってあげられるような音楽を作ったり、歌ったりしたい」と想いを語り、「Call your name」「sh0ut」を続けて披露。

 昨年12月の『澤野弘之 PIANO solo album「scene」発売記念番組』でも披露された「Missing Piece -WwisH-」は、彼女自身が「大好きなメロディに日本語詞を乗せた」というナンバー。その後も「NEXUS」「FAVE」「StarRingChild」と様々な澤野弘之ワークスを歌い上げていく。今後SennaRin名義の作品も次々とリリースされ、レパートリーにオリジナルの楽曲が増えていくだろうことを考えれば、この日のセットリストは本当に貴重な内容だったのだろうし、それはYouTube上でのカバー動画投稿の活動を通し、自身のエッセンスを楽曲に吹き込むことに長けた彼女だからこそ成せたものでもあったのだと思う。

 雲間から差し込む月明りのようなライトに照らされて歌った「melt」を経て、現在放送中のTVアニメ『BLEACH 千年血戦篇』EDテーマの最新曲「最果て」のお披露目へ。11月23日にCDシングルの発売も控えているこの曲をきっかけに、彼女のリスナー層はもっともっと広がっていくだろう。だからこそ、今後彼女が飛躍を重ねるたび、その“前夜的な一夜”を目撃したことの証明書として、いつまでもこの日の記憶を脳内に刻みつけておきたい、そんなことを思わせたのが、ラスト・ナンバー「証」のパフォーマンスだった。


◎公演情報
【SennaRin 1st LIVE "Dignified~最果て"】
2022年10月7日
東京・渋谷WWW X
<セットリスト>
01. BEEP
02. Barricades
03. βios
04. dust
05. Till I
06. aLIEz
07. Limit-tension
08. Cover-medley(Mr.Children「himawari」~back number「瞬き」~RADWIMPS「me me she」~King Gnu「Prayer X」~My Hair is Bad「真赤」)
09. Call your name
10. sh0ut
11. Missing Piece-WwisH-
12. NEXUS
13. FAVE
14. StarRingChild
15. melt
16. 最果て
17. 証

SennaRin その他の画像・最新情報へ

関連商品

ADRENA
SennaRin「ADRENA」

2024/05/15

[CD]

¥3,520(税込)

ADRENA
SennaRin「ADRENA」

2024/05/15

[CD]

¥4,620(税込)

S9aiR
SennaRin「S9aiR」

2023/11/29

[CD]

¥2,200(税込)

S9aiR
SennaRin「S9aiR」

2023/11/29

[CD]

¥1,430(税込)

最果て
SennaRin「最果て」

2022/11/23

[CD]

¥1,650(税込)

最果て
SennaRin「最果て」

2022/11/23

[CD]

¥2,200(税込)

最果て
SennaRin「最果て」

2022/11/23

[CD]

¥1,430(税込)

Dignified
SennaRin「Dignified」

2022/04/13

[CD]

¥2,200(税込)

Dignified
SennaRin「Dignified」

2022/04/13

[CD]

¥3,300(税込)

ADRENA
SennaRin「ADRENA」

2024/05/15

[CD]

¥3,520(税込)

ADRENA
SennaRin「ADRENA」

2024/05/15

[CD]

¥4,620(税込)

S9aiR
SennaRin「S9aiR」

2023/11/29

[CD]

¥2,200(税込)

S9aiR
SennaRin「S9aiR」

2023/11/29

[CD]

¥1,430(税込)

最果て
SennaRin「最果て」

2022/11/23

[CD]

¥1,650(税込)

最果て
SennaRin「最果て」

2022/11/23

[CD]

¥2,200(税込)

最果て
SennaRin「最果て」

2022/11/23

[CD]

¥1,430(税込)

Dignified
SennaRin「Dignified」

2022/04/13

[CD]

¥2,200(税込)

Dignified
SennaRin「Dignified」

2022/04/13

[CD]

¥3,300(税込)

ACCESS RANKING

アクセスランキング

  1. 1

    櫻坂46、成長し続けるメンバーがファンを魅了した【9th Single BACKS LIVE!!】3days完遂 公式レポ到着

  2. 2

    藤井 風、アジアツアー発表 その名も“ベストオブ藤井風”

  3. 3

    <ライブレポート>稲葉浩志が紡ぐ言葉、ライブツアー【~enIV~】Kアリーナ横浜公演「幸せの連鎖が起きていました」

  4. 4

    <インタビュー>みのミュージック×GEN(04 Limited Sazabys)×ピエール中野(凛として時雨)夏フェスについて語るコラボ対談 presented by ジャックダニエル

  5. 5

    <インタビュー>米津玄師 壊れていても、“がらくた”でもいい――4年ぶりアルバム『LOST CORNER』で歌う「奪われないものを持つ」ということ

HOT IMAGES

注目の画像