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2022/11/23 18:00

<インタビュー>富田美憂、大人の恋愛を描くコンセプトミニアルバム『Fizzy Night』を語る

 これまで、強くて芯の通った主人公像の楽曲を、突き抜ける気持ちのいい声で歌い、届けてくれていた富田美憂。彼女が2022年11月15日に23歳を迎え、あらたな一歩を踏み込んだ、コンセプトミニアルバム『Fizzy Night』を発売する。

 今作のテーマは“大人の恋愛”。よりセクシーに、心の内を赤裸々にさらけ出していくような楽曲を、彼女はどう受け止め、どう演じ、歌ったのか。「声優をしているからこそ歌えた」という楽曲たちについて、話を聞いた。


――コンセプトミニアルバムとなった『Fizzy Night』は、“大人の恋愛”がコンセプトとなっています。この企画はどのように立ち上がったのでしょうか。

富田美憂:以前からコンセプトアルバムを作ってみたいなと思って、公言していたんです。そんな中『OveR』をリリースした後、次はどんなことをしようかとなった時に、スタッフさんから、「次はコンセプトアルバムを作りましょう」という話を頂いたんですよね。その後、渋谷の焼肉屋さんで、みんなで作戦会議を開き、どんなコンセプトがいいかを話し合ったんです。

――楽しそうな作戦会議ですね!

富田:楽しかったです(笑)。お酒が入ったテンションで、カクテル言葉を連想できるアルバムにしてみようかとか、キラキラ感のある宝石をテーマにしようかとか、思いきりセクシーなものに挑戦してみようかなどの意見が出るなか、私がポロっと「ラブソングの詰め合わせはどうですか?」と話してみたら、みんなが「いいですね!」と盛り上がってくれたんです。ただ、それだけではなく、ひとつ背伸びをして、大人の恋愛だけを描いた、ちょっと攻めたアルバムにしてみたいという話になり、このテーマになりました。

――“大人の恋愛”をテーマにした選曲は、とても新鮮だったのではないでしょうか。

富田:とても新鮮でした! これまで歌ってきた曲は、フレッシュなラブソングが多かったですし、ありがたいことにタイアップを多く頂けていたので、ロックでスタイリッシュな方向性のものが多かったんです。ただ、今回はノンタイアップで作ることが決まっていたので、いい意味でこれまでのイメージを裏切り、新しい姿を表現したいなと思ったんです。

――選曲する際に、今作の鍵となったのはどの曲ですか?

富田:もともと「Coming Up」と「My Guiding Star」は、以前から手元にあった曲なんです。『My Guiding Star』に関しては、レコーディングも1年前に終えた状態でストックしていたんですよね。その曲たちからヒントを頂きつつ、他の3曲に関しては、コンペで選ばせていただきました。私はいつも、曲を選ぶときは、第一印象で決まるんです。この3曲も、直感で選ばせていただきました。

――すべてにおいてファーストインプレッションを大事にするタイプですか?

富田:そうですね。声優のお仕事もそうですが、年間何十本もオーディションを受けるなか、まれにキャラクターの画を見たときに、“ビビッ”とくる子がいるんです。それがあるとよく合格を頂くので、勘はいい方だと思うんですよね。

――最近ではどのキャラクターにビビッと来ましたか?

富田:キャラクターを見た時に自分の声が自然と再生されたのは、『アイドルマスター シンデレラガールズ』の砂塚あきらちゃんでした。さらに『メイドインアビス』のリコもそうですね。そう思うと、勘は当たる方だと思っています(笑)。

――コンペは、作家さんがアーティストを想像して作るものですが、“こういう風に見えているんだ!”と驚いた曲はありましたか?

富田:「群青Dreaming」と「Catcher」は意外でしたね。『Catcher』のレコーディングの時に、作家さんが立ち会ってくださったので、その時に、どういうイメージで作って頂いたのかを聞いたら、私の恋愛のイメージが“奥手で受け身というよりは、攻めの姿勢で強気に進んでいくギラギラしたタイプ”だとおっしゃっていたんです。その強いイメージを持たれることはすごくありがたいんですが、実は子どもの頃から好きな人とは目を合わせられないくらいダメなタイプなんですよ(笑)。

――こと恋愛に対してだけは、めっちゃ弱いタイプ!

富田:その通りです(笑)。なので、強いイメージとはかけ離れたところに居るんです。それもあって、この曲のレコーディングは、自分の引き出しから、どうやって表情感や、表現を出せるかなと、悩みながら歌っていました。

――となると、歌うのは難しかったのではないでしょうか。

富田:難しかったですね。でも、これに関しては、役者と二足のわらじを履いているからこそ、出来ることだなと思ったんです。10代の頃は、「なんでも頑張ります!」というような、フレッシュなキャラクターを演じることが多かったんですが、20歳を超えてから、みんなの先輩や、大人な立ち位置に置いていただくことも増えて、大人の女性を演じる引き出しも増えてきたんです。そういった日々のアフレコで培った経験をレコーディングに活かすことが出来ました。

――その逆もありそうですね。

富田:ありますね。今回のアルバムを制作してから、いろんな恋愛の形を学んだので、これまで自分からあまりうまく出せなかったラブコメでの表現の幅が増えたんです。それこそ、「群青Dreaming」は自分が経験しえない世界観なので、歌うことによって、経験した気になるような、おもしろい感覚になりました。

――このアルバムの曲は、どれもライブ映えしそうなものばかりですね。

富田:すごく楽しみです。実際にCDで聞いた印象と、ライブで披露したときは違うと思いますし、披露したときの反応がすごく気になります。それに、今までとは全く違う方向性のコンセプトでCDを作らせていただいたので、どういう受け取られ方をするかなという不安があるんですが、どの曲も最高の出来ですし、胸を張っていいCDが出来たぞと言えるくらい、心を込めて歌わせていただきました。トラックダウンに立ち会った時に、作家さんのこだわりも肌で感じたので、いい意味でビックリしていただけるような作品になったと思います。

――サウンド面では、どんな挑戦がありましたか?

富田:これまでは歌声も張って、ロックでカッコいい方向性でレコーディングをしていたんですが、自分なりに“大人の女性って何だろう”と考えたときに、余裕がある人だと言うところに至ったんです。なので、歌声に力を入れ過ぎず、あえて抜いて歌っているので、その変化も感じてもらいたいですね。「Catcher」も、あえて裏声で歌ったところがすごくセクシーで、曲に合っているんです。あらためて聞いたときに、自分の声じゃないようで驚きました。さらに、「群青Dreaming」では、サウンドを聴いたときに、分かりやすくセクシーが出せる曲なんじゃないかなと思ったので、わざとねちっこく歌ったんですよね。最後のアウトロの声の切り方もこだわっているので、聴くたびに歌の端々でドキッとしてもらえたら、狙い通りです(笑)。

――アーティスト写真も、今までとは違うものになりましたね。

富田:はい。これまで厚底のヒールしか履いていなかったんですが、今回は大人のピンヒールに挑戦させてもらったり、「Coming Up」がシティポップだったこともあり、ブラウン管のテレビやダイヤル式の電話を散りばめたりと、レトロな小物にもこだわりました。

――しっかりと富田さんの意見も反映されているんですね。

富田:そうですね。メイクも水色のアイラインを引いていただいたり、ブーツも透け感のある素材で、細部までこだわっているので、ビジュアル面も楽しんでもらえたら嬉しいです。

――さて、新たな一面が魅せられたところで、次に挑戦してみたいことはどんなことですか?

富田:シティポップは前々から挑戦したいと思っていたので、今回挑戦出来て、すごく嬉しかったんです。今後もさらに掘り下げていきたいですし、あとはもっとヒップホップに寄せた曲にも挑戦したいと思うようになりました。それに、今回はかなり大人っぽい曲をいっぱい歌ったので、1周回ってピュアでキラキラなキュートな曲を歌いたくなったんです。今後も好き嫌いすることなく、なんでも挑戦していきたいですね。

――冒頭で話していた、焼肉屋さんでの会議での他の案のコンセプトアルバムも、いつか実現出来たらいいですね。

富田:そうですね! カクテル言葉の案がとても気に入ったこともあり、今回ジャケットの裏にコスモポリタンというカクテルの写真を写り込ませているんです。このカクテル言葉は “華麗”という意味で、今作を表しているんです。ただ、まだそのカクテルは飲めていないので、いつか、このカクテルを飲みながらこのアルバムを聴いてみたいですね。

――ありがとうございます。さて、富田さんが思う、理想の大人の恋愛って、どんなものだと思いますか?

富田:う~ん…。私には成人した弟と、高校生の弟がいるんです。その2人の恋愛話を聞くとキラキラしていてすごく素敵なんですよね。でも、大人の恋愛って、ものすごく頭を使って恋愛をしている印象があるんです。あえて気持ちをバレさせたらいいのかなとか、隠したらいいのかなとか…。

――その駆け引き、できないタイプですよね?

富田:はい! まったくできません!(笑)

――むしろ、目も合わさないで嫌われてるって思うタイプでは…?

富田:その通りなんです! 普段、すごく好きなお仕事のスタッフさんたちにも、クールだと思われてしまうんです。でも、好き過ぎるが故に、興味ない態度を取ってしまうんですよね。私はまだまだ子供のようです(笑)。

――あはは。さて、年末年始で楽しみにしていることはありますか?

富田:私の祖母が料理上手で、毎年手作りのおせちを用意してくれるんです。小学生の頃は一緒に作っていたんですが、お仕事を始めてからはできなくなってしまっていて…。でも、今年こそは久しぶりに手伝いに行こうかなと思っています。年末年始って、クリスマスがあって、お正月があって、バレンタインがあって…、食べる楽しみがとまらないんですよね。ただ2月にワンマンライブが控えているので、衣装に難が出ないように、適度に楽しみたいと思っています!(笑)。

Interview & Text by 吉田可奈


◎リリース情報
ミニアルバム『Fizzy Night』
2022/11/23 RELEASE
<初回限定盤(CD+DVD)> 
COZC-1862-3 2,090円(tax in.)
<通常盤(CD)> 
COCC-17956 1,430(tax in.)

◎公演情報
【富田美憂 2nd LIVE ~Fizzy Night~ 】
2023年2月5日(日)
東京・LINE CUBE SHIBUYA
OPEN 16:00 / START 17:00
チケット:全席指定 7700円(税込)

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