2022/10/07 18:00
9月25日、東京・有明アリーナでRAISE A SUILENのワンマンライブ【SOUL ROAR】が開催された。
RAISE A SUILENはブシロードが手がけるメディアミックスプロジェクト「BanG Dream!」から生まれた5人組バンド。「BanG Dream!」ではアニメ、ゲーム、マンガ、小説などを通じて、さまざまなバンドの物語を紡ぐとともに、登場キャラクターの担当声優自身がプレイする“リアルバンド”を結成。またプロジェクトは9月22~25日のあいだ、4つのガールズバンドが登場するライブイベント【BanG Dream! 10th☆LIVE】を有明アリーナで実施。RAISE A SUILENはその千秋楽の舞台を飾った。
RAISE A SUILENはプロジェクトの中でも異色の存在。LAYER役のRaychell(Ba.&Vo.) とMASKING役の夏芽(Dr.)にはロックバンド・SHAZNAの一員としての横顔も。ギターのLOCK役・小原莉子は音楽の専門学校出身。そこにDJのCHU²役・紡木吏佐とキーボードのPAREO役・倉知玲鳳(Key.)を加え、エレクトリックでダンサブルなヘヴィロックサウンドを武器に、今年2月にはFear, and Loathing in Las Vegasをゲストアクトに迎えたライブイベントを行い、12月28日には千葉・幕張メッセでの【COUNTDOWN JAPAN 22/23】への出演も決めている。
そんな腕っこき集団がこの日の1曲目にセレクトしたのは「DRIVE US CRAZY」。Raychellが伸びやかな歌声で<Make some noise!><Raise voice! Shout!!!>と「BanG Dream!」ファン、通称バンドリーマーを煽り、紡木がキュートなラップを、小原が巧みなライトハンド奏法を見せると、続く「UNSTOPPABLE」では倉知がパワフルなリードシンセで楽曲を引っ張る。そしてバンドはこの勢いのままにメンバー紹介に突入する。
紡木のスピンするトランシーなBGMに乗せて、彼女が再びリズミカルなスクラッチを披露すれば、小原が大胆にエフェクターを駆使したギターストロークを、倉知は自らが弾く1小節のアルペジオをそのままルーパーに噛ませ、それをバックにシンセソロをプレイ。Raychellはベースをタッピング、夏芽はツインペダルを駆使した複雑なドラムを披露するなど、それぞれが自己紹介代わりとばかりにテクニカルなソロプレイを見せつけた。
そして以降は“音の洪水”とでも呼ぶべき展開に。夏芽のキレのいい8ビートが光る、正調J-ROCKといった風情の「Invincible Fighter」や、リズムの重心をうしろに置いたヘヴィロックチューン「Takin’ my Heart」、ゴシック調のメロディとアレンジと大胆にテンポチェンジするリズムで魅せる「EXIST」を立て続けにパフォーマンスする。
その後、再びメンバーがソロを回しあいつつ、Raychellのタフなボーカルと、紡木のハイトーンのラップが絡み合った「Sacred world」ののち、バンドはいったんステージ袖へと姿を消すも、音の洪水は止まらない。RAISE A SUILENの楽曲を細かくカットイン・カットアウトされたメガミックスバージョンが流れる中、色鮮やかなCGが浮かんでは消える幕間映像が終わると、ステージに復帰したRaychellの「まだまだアガっていけるかな?」「全員で遊んでいくよ!」の言葉とともに、またもバンドはジャムセッション。ギターを寝せた小原が鍵盤楽器を弾くように両の手の指でネックをタッピングするトリッキーな奏法を見せたかと思えば、夏芽はタムで三三七拍子を打ち鳴らし、バンドリーマーたちのクラップを煽ってみせる。
ライブ中盤、バンドはさらにアッパーな楽曲群をつるべ打つ。彼女たちは、紡木の「暴れろ!」のシャウトを合図に<浴びろ 浴びろ 僕らの音楽を>と客席を挑発する「!NVADE SHOW!」や、倉知のシンセを大きくフィーチャーした人力トランスとでも呼ぶべきパーティチューン「灼熱 Bonfire!」、夏芽の高速2ビートと小原の高速ギターリフに紡木のラップが加わる、“RAISE A SUILEN流ミクスチャロック”「OUTSIDER RODEO」を畳みかけていた。
ところがその後はセットリストの表情が一変する。次回ライブの予告などのMCを済ませ、Raychellが「Beautiful Birthday」とタイトルを告げるとバンドリーマーたちからは大きな拍手が。ステージ最奥のスクリーンに映し出されるアニメ映像とシンクロさせるかのようにハイスピードながらもロマンチックなこの曲をドロップし、続いて「Light a fire」を投下。メンバーそれぞれが目に涙を浮かべながら、このパワーバラードをプレイすると、またも客席から万雷の拍手が巻き起こった。
しかしデビューシングル曲「R・I・O・T」と、再びRAISE A SUILEN楽曲のメガミックスバージョンを聴かせる幕間映像から始まった後半戦で彼女たちは、またもスタイルをチェンジ。11月30日リリース予定のシングル曲にしてダンスロックチューン「THE WAY OF LIFE」でバンドリーマーたちを踊らせまくり、紡木のエモーショナルでスムーズなラップが光る「HELL! or HELL?」を連発。Raychellがバンドスタッフやバンドリーマーへの感謝を伝え、「全力で暴れていくバンドだけど、ついてきてくれますか?」と問いかけつつ「CORUSCATE -DNA- 」をキックし、「EXPOSE ‘Burn out!!!’」を続けたところでこの日の公演と、4日間に及んだ【BanG Dream! 10th☆LIVE】は終幕。「CORUSCATE -DNA- 」では倉知の打ち込みと手弾きをミックスしたシンセソロと、小原のメロディアスなギターソロとが掛け合い、「EXPOSE ‘Burn out!!!’」では小原、倉知、紡木がリズムに合わせて2ステップを踏むなど、プレイヤーとして、そしてエンターテイナーとしての練度の高さを発揮した。
DJを擁し、そのスクラッチサウンドや、アナログシンセサイザーを思わせる“太い”キーボードサウンドを大きくフィーチャーする、RAISE A SUILENは「BanG Dream!」関連バンドの中でも、特に今日的な存在だ。そんな複雑な構成のバンドだけにプレイヤーに対する要求水準はおのずと高くなる。しかし、今の彼女たちにそんな声はどこ吹く風。当日も確かな技術とパフォーマンスで会場全体を2時間にわたって踊らせ続けていた。RAISE A SUILENのミクスチャロックバンド、ダンスロックバンドとしての今後に大いなる期待を持たせてくれた一夜だったと言えるだろう。
Text by 成松哲
◎公演情報
【BanG Dream! 10th☆LIVE】
DAY4 : RAISE A SUILEN【SOUL ROAR】
2022年9月25日(日)
東京・有明アリーナ
<セットリスト>
01.「DRIVE US CRAZY」
02.「UNSTOPPABLE」
03.「Invincible Fighter」
04.「Takin’ my Heart」
05.「EXIST」
06.「Sacred world」
07.「!NVADE SHOW!」
08.「灼熱 Bonfire!」
09.「OUTSIDER RODEO」
10.「Beautiful Birthday」
11.「Light a fire」
12.「R・I・O・T」
13.「THE WAY OF LIFE」
14.「HELL! or HELL?」
15.「CORUSCATE -DNA- 」
16.「EXPOSE ‘Burn out!!!’」
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