2022/08/22 18:00
8月6日、水樹奈々のライブツアー【NANA MIZUKI LIVE HOME 2022】の埼玉公演初日がさいたまスーパーアリーナで開催された。
水樹は2020年、新型コロナ禍の影響で全国ツアーを中止。彼女は今回、実に約3年ぶりに、兵庫、茨城、埼玉、宮城、愛知の5都市を回るツアーを実施した。そして、そのタイトルは「HOME」。「ツアーが帰ってきた! 自分たちの居場所が帰ってきた!」とのキャッチフレーズが添えられているとおり、彼女の音楽活動のホームグラウンドのひとつであるライブの現場に戻ってきたことを祝福するかのようなステージとなった。
定刻、米国中東部から中西部を横断していた国道・Route 66を思わせる、Route 77(ナナ)を行く水樹の姿を追ったオープニング映像が終わると、ロードサイドのモーテルの看板を模したステージと、そこから伸びる花道がお目見え。水樹は「みんな盛り上がっていこうね」「思いきりかかってきてよ」のシャウトを合図に、バックバンド・Cherry Boysとダンスユニット・team YO-DAとともに「New Sensation」でさいたまスーパーアリーナ公演の幕を開けた。この軽快なブラスが印象的なナンバーで軽やかなステップを踏みながら、圧倒的かつ陽性なボーカルを聴かせると、今度は「SUPER GENERATION」と、今年7月にリリースした14thアルバム『DELIGHTED REVIVER』のリード曲「Go Live!」を連投。ブライトな楽曲群でライブ序盤のセットリストを構成した。
続くMCでも「うれしー!」「ここが私の帰る場所です」と久しぶりのツアーを開けた喜びをストレートな言葉で語っていた水樹だが、その後の展開は一転。ストリングスがドラマチックな「Justice to Believe」と、ストレンジかつハードなアレンジが耳に残る「スパイラル」をパフォーマンスする。さらに、Cherry Boysによるカントリーウェスタン風のセッションを挟んだのちには、シックな「HOLY TALE」とラブリーな「ダーリンプラスティック」というラブソングを2連投。自身のボーカリストとしてのキャリアの長さとレパートリーの幅広さを見せつけた。
今回のツアーでは各会場・各公演ごとに「水樹奈々 初めての○○」というコーナーが用意されている。これは、水樹が初めて人前で歌った楽曲や、初めて歌ったアニメ主題歌、初めて歌ったダンスナンバーなどを披露するというもの。そしてさいたまスーパーアリーナ公演初日のテーマは「初めてのカバー曲」。彼女はあるゲーム作品の声優オーディションの際に森川美穂の「ブルーウォーター」を披露したことをきっかけに、2002年リリースのシングル『POWER GATE』のカップリングに収録したという、「おんなになあれ」のカバーバージョンを歌い上げた。
「初めての○○」コーナー後「水樹、女になりました」「艶が出てきたかしら?」といたずらっぽく笑うと、水樹は「挑戦した曲」だと語る『DELIGHTED REVIVER』収録の「ダブルシャッフル」と、「MARIA&JOKER」というジャイブやR&Bを下敷きにした2曲をドロップ。幕間のteam YO-DAによるダンスタイムに続いては、そのteam YO-DAの面々とともにアメリカ車キャデラックを模したセット“Nanallac”に乗って、オールドスクールなロックナンバー「Reboot!」を披露する。またNanallacを降りてからはゴシッキーな「Dancing in the velvet moon」、ラテン調の「DNA -Dance 'n' Amuse-」という2曲のダンスチューンで、team YO-DAとともに一糸乱れぬパフォーマンスでオーディエンスを魅了した。
「かなり飛ばしたセットリストだけど、みんな大丈夫?」と水樹自身が笑いかけたとおり、ここまでアッパーな楽曲群のつるべ打ちだったライブだったが、ここで彼女は「今日のライブで唯一ゆったり聴ける」「清涼感を味わえる」1曲として、『DELIGHTED REVIVER』収録の友情賛歌「Stand by you」をセレクト。まさに会場に集まったオーディエンス1人ひとりに寄り添うかのような優しい歌声を響かせた。
外国人の演じるシットコムに水樹と声優・杉田智和が、脚本どおりなのか、アドリブなのか、今ひとつ判断しかねるセリフを吹き替える幕間映像で会場の空気を和ませたところで、ライブは後半戦に。途中、その杉田とのアフレコ秘話を明かすMCを挟みはしたものの、曰く「鬼みたいなセットリスト」を展開。「FIRE SCREAM」や「UNLIMITED BEAT」、「“声”に全力を傾けた、『DELIGHTED REVIVER』を象徴する曲」だと語る「MY ENTERTAINMENT」、さらにライブアンセム「禁断のレジスタンス」「ETERNAL BLAZE」とハードロックナンバーを一気に浴びせかける。そして「全力DREAMER」で<だから今は 限界突破 試してみてもいいんじゃない?><一喜一憂 楽しみながら 動き出せたら 今日は晴々>とポジティブなメッセージを届けた彼女は「ありがとうございました」の声とともにステージをあとにした。
オーディエンスによるアンコール代わりのハンドクラップに応えた水樹は、トロッコに乗ってアリーナを一周。言葉遊びが楽しい「レイジーシンドローム」と、リズミカルにリリックを畳みかける「STAND UP!」を歌いながら、オーディエンスに投げキッスや指ハートを送っていた。
ステージに帰還した水樹が、ツアータイトルにもなった『DELIGHTED REVIVER』収録のミディアムチューン「HOME」をリラックスムードで歌い上げたところで、ライブはついに最終盤。「次の言葉は言いたくないです」「……最後の曲です」と告げながらも「とびきりの笑顔でぶっ飛ばしていける」という「No Limit」でこの日一番の盛り上がりを演出して【LIVE HOME 2022】さいたまスーパーアリーナ公演初日を締めくくった。
この日のステージは、水樹奈々というボーカリストのスケールの大きさをあらためて認識させられるものとなった。ライブを「自分達のHOME」「居場所」と呼び、その言葉に違わず、ともすれば余裕すら感じさせる歌声ですべてのオーディエンスを魅了。ライブを水樹自身の、そしてそのパフォーマンスに熱狂したファンにとっての帰ってくるべき場所、いつもあるべき場所へと変身させていた。
Text by 成松哲
Photo by kamiiisaka
◎公演情報
【NANA MIZUKI LIVE HOME 2022】
2022年8月6日(土)
埼玉・さいたまスーパーアリーナ
<セットリスト>
1.「New Sensation」
2.「SUPER GENERATION」
3.「Go Live!」
4.「Justice to Believe」
5.「スパイラル」
6.「HOLY TALE」
7.「ダーリンプラスティック」
8.「おんなになあれ」
9.「ダブルシャッフル」
10.「MARIA&JOKER」
11.「Reboot!」
12.「Dancing in the velvet moon」
13.「DNA -Dance 'n' Amuse-」
14.「Stand by you」
15.「FIRE SCREAM」
16.「UNLIMITED BEAT」
17.「MY ENTERTAINMENT」
18.「禁断のレジスタンス」
19.「ETERNAL BLAZE」
20.「全力DREAMER」
アンコール
21.「レイジーシンドローム」
22.「STAND UP!」
23.「HOME」
24.「No Limit」
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