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2022/08/15

<ライブレポート>ドレスコーズが柴田聡子inFIREと共にツーマンイベント開催、新曲「聖者」も披露

 ドレスコーズによるツーマン企画ライブ【ドレスコーズ+柴田聡子inFIRE】が8月8日、東京・渋谷CLUB QUATTROにて開催された。  

 最初に登場したのは柴田聡子inFIRE。イトケン(Dr.)、SUPER JUNKY MONKEYのかわいしのぶ(Ba.)、岡田拓郎(Gt.)、ラミ子(Per./Cho.)、そしてPAエンジニアにDub Master Xを迎え、白いテレキャスターを抱えて登場した柴田をフロアの温かい拍手が包み込む。まずは今年5月リリースされた通算6枚目のアルバム『ぼちぼち銀河』より「雑感」を演奏。少ない音数で情感を紡いでいくようなバンドアンサンブルと、素朴で透明感溢れる柴田の歌声が心に染みわたる。その後も弾むようなメロディが印象的な「旅行」や、ヘビーなリズムの「南国調絨毯」、掛け合いコーラスも楽しい人気曲「後悔」などを繰り出し、「ドレスコーズ、楽しみですね。灰になるまで楽しんで帰ってくださいね」と笑顔で挨拶。切なくもグルービーな「24秒」を最後に演奏してステージを後にした。

 続くドレスコーズは、サポートメンバーに田代祐也(Gt.)、有島コレスケ(Ba.)、skillkillsのビートさとし(Dr.)、そして中込陽大(Key.)を迎えた5人編成で登場。まずは2012年のファーストアルバム『the dresscodes』からサーフガレージロックの「妄想でバンドをやる(Band in my own head)」よりこの日のライブはスタートした。ライダースジャケットを着込み、赤いアコギをかき鳴らしながら歌う志磨遼平(Vo./Gt.)の並々ならぬオーラに目は釘付け。プレートリバーブをたっぷりかけたエレキギターの「テケテケフレーズ」と、中音域にギュッと集まったドラムサウンドが「音の塊」となって耳に飛び込んでくる。

 「こんばんは、ドレスコーズです」と志摩が短く挨拶し「スーパー、スーパーサッド」の軽快なギターイントロが響き渡った途端、思わず歓声が沸き起こる。懐かしくも切ないメロディに胸を締めつけられるのも束の間、甘いハイトーンボイスで“イエ、イエイエ、イエイエ、イエ!”とシャウトする彼にハンドクラップで応戦するオーディエンス。「柴田聡子さん素晴らしかったですね、やられました。ツーマンライブはそうじゃなきゃ。僕らも負けじとやりますよ」そう言った後に演奏されたのは、性急なモータウンビートとひなびたメロトロンサウンドのコントラストが鮮やかな「フォークソングライン(ピーターパンと敗残兵)」。さらに志摩が「20歳ぐらいのときに、5畳半のアパートで作った古い曲」と紹介した、毛皮のマリーズ時代のレア曲「悲しい男」を披露する。

 「次に歌うのは、34歳の頃に作った曲。歌詞が全く同じで成長がないというか……」と冗談まじりに紹介した「Lily」は、志摩曰く「本当のことが言いたいけれど、嫌われるのが怖くて何も言えない曲」。ザ・パレードやザ・サークルといった1960年代のソフトロックにも通じるような、洗練されたコード進行と甘いメロディをスタンドマイクでけだるく歌ってみせる。さらにシンセサイザーによる反復フレーズ、ドコドコと打ち鳴らされる呪術的なドラムが印象的な「エロイーズ」とノスタルジックな楽曲をたたみかけ、高揚感に包まれたフロアに投げキッスを贈ってみせた。

 早くもライブは後半戦へと突入し、再び毛皮のマリーズ時代の楽曲「ビューティフル」(2008年)を披露する。パントマイムのような振りを交えて歌う序盤のシアトリカルな雰囲気から一転、疾走感あふれるサビをステージ狭しと動き回りながら、魂を絞り出すように歌い上げた。続く「ベイビー・モートン」も毛皮のマリーズ時代のロックンロールナンバーで(『マイ・ネーム・イズ・ロマンス収録)、エルヴィス・プレスリーばりにショートディレイのかかったボーカルがゾクゾクするほどセクシーだ。

 「みんなでコール&レスポンスをするにはまだもうちょっとかかるよね。すごい大変だけど、お体に気をつけて。止まない雨はないし、明けない夜もない。それまで皆さん、どうかお元気で。愛に気をつけてね!」と客席に呼びかけ、本編ラストに演奏したのはもちろん「愛に気をつけてね」。抑揚を抑えたイントロから徐々にボルテージを上げていき、サビでバーストするダイナミックなナンバーだ。コール&レスポンスができない代わりにハンドクラップで一体となった会場は、メンバーが去った後もアンコールの拍手が鳴り止まない。

 再びステージに現れ、「柴田聡子inFIREに大きな拍手、そして我々にもちょこっとだけ拍手を!」と茶目っ気たっぷりに挨拶した後、これが初披露となる新曲「聖者」を披露。さらにライブでは定番のミドルチューン「ピーター・アイヴァース」を朗々と歌い上げて、ツーマン企画ライブを締めくくった。

Text by 黒田隆憲
Photo by 上飯坂一


◎公演情報
【ドレスコーズ+柴田聡子inFIRE】
2022年8月8日(月)
東京・渋谷CLUB QUATTRO
出演:ドレスコーズ
共演:柴田聡子inFIRE(柴田聡子/イトケン/かわいしのぶ/岡田拓郎/ラミ子/Dub Master X)

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