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2022/08/12

THE ALFEE「今や3人合わせて203歳。これからの未来も共に生きていきましょう!」3年ぶりの夏のイベント実現でファンと約束

 昨年末に約2年ぶりの有観客ライブ【THE ALFEE 2021 Winter Baby, Come Back!】(ライブレポート:https://bit.ly/3bJQUq4)を実現し、今年2月に渾身のニューアルバム『天地創造』をリリースしたTHE ALFEE。そんな彼らが同作を携えた夏イベント【THE ALFEE 2022 Summer Genesis of New World 夏の天地創造】を7月30日と31日に横浜・ぴあアリーナMMにて開催した。

<ブレーキがかからなくなるのは、そこにお客さんがいるから>

 1973年の結成以降、日本で最も数多くのライブを開催してきたバンド(グループ最多公演記録保持)ながら、その長い歴史の中で初めて有観客ライブが開催できない期間を経験した彼らは、再びファンと共にライブを創造できることについて以下のように語っていた。(THE ALFEE『天地創造』2年ぶりの有観客ライブ後初インタビュー https://bit.ly/3zN9Oo4 より引用)

 「「みんながそこにいる」という気配を感じ取ることができて……声を出せなくてもそこに居てくれるということは、ミュージシャンにとって、それだけで大きなエネルギーになるんだなって痛感しました。それを感じる為に音楽をやっていると言っても過言じゃないですね。お客さんは本来の半分しか入れられなかったけど、みんなが立ち上がって拍手してくれている光景を見たら、そんなに少なく感じなかった。皆さんも待ち続けてくれていたわけじゃないですか。そういう想いは、声を出せなくても感じるものですね。ちょっとした超能力者になったような気分だった(笑)。それを僕らは長年浴びてきたわけだけど、2年ぶりに日本武道館と大阪城ホールで再び感じ取れたことは……本当に嬉しかったです。(高見沢俊彦)」

 「また有観客ライブがやれたときは「久しぶりだから緊張する」というよりは、お客さんがそこにいてくれるからリラックスすることができた。安心して出来る部分が大きかったね。無観客だと余計な緊張をして疲れちゃうけど、お客さんがいると助けてもらえる。元々分かっていたことではあるけど、日本武道館と大阪城ホールで改めて「やっぱりこれだよな」と思いましたね。(坂崎幸之助)」

 「(「星空のディスタンス」を)アカペラで歌い出したときに、調子に乗りすぎて喉を潰しそうになっちゃって「ヤバい」と思いましたけどね(笑)。なんかもうね、あの瞬間は「届けぇ!」って気持ちが高ぶっちゃったんですよ。本来はもうちょっと抑えなきゃいけなかったんだけど。も、そうやってブレーキがかからなくなるのは、そこにお客さんがいるからだよな。無観客だったらあそこまで出さないからね。それがライブなんですよ。お客さんがそこにいれば、木だって登りますから(笑)。(桜井賢)」

<48年目の夏! 3年ぶりにやっと皆さんの前で夏イベが出来ます!>

 そんなメンバー各々に有観客ライブの復活を喜んでいたTHE ALFEEだが、新作『天地創造』を携えた春ツアー【THE ALFEE 2022 Spring Tour Genesis of New World 天地創造】では、いよいよ集客100%の公演を全国各地のホールで実現。そして、この度の夏のイベント【THE ALFEE 2022 Summer Genesis of New World 夏の天地創造】では、両日あっという間にSOLD OUTとなった集客100%のコンサートを開催と、コロナ禍以前の光景を着実に取り戻している。

 私は7月30日の公演を拝見させて頂いたのだが、昨年末の日本武道館や大阪城ホールに勝るとも劣らない、巨大空間を埋め尽くしたTHE ALFEEファンが“ミカエルの剣(マラカスライト)”を輝かせながら振り上げる光景。そこに現れた桜井賢、坂崎幸之助、高見沢俊彦の3人が奏でる荘厳なる美しきハーモニー、ここから新世界へと突き進んでいくという覚悟を乗せた「天地創造」の音色と歌声ひとつひとつに涙を隠せなかった。コロナ禍でどんなにツアーやコンサートが中止になっても、ライブを不要不急扱いされるような状況になっても、決して音楽の力を諦めなかった、信じ続けた者たちだけが生み出せる世界。それを彼らは冒頭からこの上ない表現力と説得力をもって創造していた。

 その後も「STARSHIP-光を求めて-」「Orionからの招待状」と圧倒的にポジティブなエネルギー、何があろうと変わらぬ愛を贈り続ける意思に溢れた音楽でもって、絶え間なく会場をドラマティックに扇情し続ける。「さあ、始まりましたよー! 48年目の夏! 3年ぶりにやっと皆さんの前で夏イベが出来ます! もう3人ともやる気びんびんで、桜井さんのヒゲもびんびんです(笑)! アリーナの皆さん、スタンドの皆さん、今回初めて観る方、ベテランの方、まだ大声は出せませんが、みんなの拍手、手拍子が頼りです! 最後までよろしくねー!」と坂崎が楽しげに挨拶すると、変わらずオーディエンスの心を鼓舞し続ける「進化論B」「SWINGING GENERATION」「夢よ急げ」といった多種多様なキラーチューンが畳み掛けられていく。そこで生まれる熱量は、感染症対策で歓声を飛ばせない状況下であっても、ライブの尊さを改めて知ったファンひとりひとりの歓喜によって、かつての夏のイベントを上回らんとしていた。

 また、今から48年前、大先輩・ガロの前で「青い目のジュディ」をカバーして大失敗したという思い出話で笑いを誘うと、「そんな憧れの先輩・ガロへのリスペクトを込めて、この曲を聴いて頂きたいと思います」と、美しい三声ハーモニーとアコギの音色が切なくも心地好い「碧空の記憶」を披露する一幕も。

<僕らの音楽とともに、みんなとともに……生きていきましょう!>

 販売促進課統括部長・桜井賢による(コントさながらの)ツアーグッズ紹介コーナーで笑いの限りを尽くすと、いよいよライブは後半へ。夏のラブソング「Loving You」で幻想的かつノスタルジックな世界、高見沢の色彩も情感も豊かなギターソロにどっぷり浸らせたかと思えば、叙情的なピアノイントロから3人がサビを神々しく歌い放ち、そこからあまりに有名なギターフレーズと共にバンドが走り出すライブアレンジの「星空のディスタンス」で畳み掛け、会場はこの日最大級のスパークを生んでいく。そんな大名曲について「何回やってみても全然飽きないんだよ、不思議なことに。よく出来た曲だ(笑)」と自画自賛する高見沢に対し、共感の喝采で応えるファンたち。

 「やっとこうやってみんなの前で有観客での夏イベが出来て、本当に嬉しいですね。横浜ではたくさんのイベントをやってきたんですよ。デビューしたての48年前はね、48年後にここに立っているなんて、こんな夏があるなんて。こんな未来が待っているなんて思いもしませんでした。みんなもそうでしょ? こんなにさ、ひとつのバンドにさ、長く関わるとは思わなかったでしょ(笑)。ありがとうございます。僕らはどんなときも活動をやめませんからね。3人合わせて59歳だったTHE ALFEEが……今や3人合わせて203歳という(笑)。あと2年で僕らも古希を迎えてしまいますけど、これからの未来も出来る限り、僕らの音楽とともに、みんなとともに……生きていきましょう!」

 そんなハートフルな約束を交わしたファンのみんなへ贈る「いつかの未来」からライブ本編はクライマックスへ。2022年の最新アルバムから「Time Machine~恋のS・O・S」「組曲:時の方舟」とあらゆる音楽性に富んだ、THE ALFEEにしか表現し得ない芸術作品で聴く者すべてを圧倒し、そこから初期の壮大なバラード「TIME AND TIDE」をエモーショナルに歌い上げ、会場中を感動の渦に巻き込んでみせる構成はお見事。高見沢も言っていた通り、何があろうと活動をやめずに48年間走り続けてきた3人だからこそ表現できる音楽世界、まさしく「夏の天地創造」という名に相応しいライブであった。

<最後まで熱い拍手をありがとう。心にグッと来ました!>

 ただ、THE ALFEEのライブはこれで終わらない。アンコールという名の自由奔放すぎる第2部(?)がこの日も用意されており、ファンキーなディスコサウンドに乗せて「Funky Cat」をクールにパフォーマンスしていたかと思えば、フロアライクなクラブミュージックに変貌した「秩父音頭」を桜井が法被姿で披露。「はっぴー! はっぴー! 今夜は特別はっぴーだから歌っちゃたよぉー。だってさ、3年ぶりの有観客の夏イベだし、テンション爆アゲだよぉー! ひっぱりだこ過ぎて、足にひっぱりダコが出来ちゃったよ!」と軽快なテンションで坂崎と高見沢とともにコントへシフトしていき、まさかのドリフよろしく「ダメだ、こりゃ。次、行ってみよう!」まで飛び出す。ちなみに、このくだりでは、3人はTHE ALFEEでなく“はっぴぃお祭り三兄弟”であり、桜井は長男“はぴまさ”、坂崎は次男“はぴのすけ”、高見沢は三男“はぴひこ”としてステージに立っており、水前寺清子「三百六十五歩のマーチ」の替え歌カバー「毛髪体操」を歌い出したり、それを考案した“はぴひこ”自らツボに入って笑い出しちゃったりと、もう何でもアリ(笑)。

 そんな日本中のどんな夏祭りよりフリーダムな夏祭りを繰り広げると、高見沢がドナルドダック仕様のギターを弾き倒す「D.D.D!~Happy 65th Anniversary for Donald Duck~」に続き、坂崎の「THE ALFEEの秘密兵器、その名も桜井賢! 彼はこのバンドの創始者。創始者と言えば、神も同然。でも、永遠の平メンバー(笑)。高校時代の彼の美声は、近所の女子高校生の憧れの的……そうでもなかったが、その美声は天性のもの。サイモン&ガーファンクルに憧れたフォーク少年が辿り着いた曲は……「鋼鉄の巨人」!」という曲振りからメロディックスピードメタルを全身全霊で披露。さらには「今年、第30回目の「SWEAT&TEARS」!」とTHE ALFEEのライブにおけるスーパーポップな定番曲でもって、会場中を圧倒的な多幸感で包み込んでいく。高見沢も「夏イベの「SWEAT&TEARS」はいいね! 最後まで熱い拍手をありがとう。心にグッと来ました!」と大満足の様子だった。

<最後は「夜明けのLANDING BAHN」──秋冬にも天地創造>

 「今までの夏のイベントを思い出すと、いろいろあったよね。大雨だったり、スベってころんで肋骨にヒビが入ったり、本番直前に衣装が届いてそれがピンクだったから桜井がイヤがったり(笑)。でも、やっぱり、すごい鮮烈に憶えているのは、86年の10万人のベイエリアね。あれも凄かったね。10万人の拳の群れがね、坂崎に向かって押し寄せていくんですよ(笑)。そして、次の年には、単独でのオールナイトコンサート。今でもあの場所には3人の手形があるらしいです。横浜スタジアムの3daysも凄かったし、いろんな場所でいろんな曲を歌ってきましたけど、僕らの原点はアコースティックギター。いつでも原点に立ち返ることが出来るのも、THE ALFEEの強みかもしれません。」そう高見沢が告げるとオリエンタルなギターイントロから「無言劇」へ。思わず客席からどよめきが起きたこの曲は、1980年にシングルリリースされた歌謡曲テイスト溢れるアコースティックナンバー。そんな想定外の楽曲披露に酔いしれていると、ライブはいよいよ最後の1曲へ。夏のイベントがようやく3年ぶりに実現した、今この瞬間のシチュエーションにぴったりな「夜明けのLANDING BAHN」。かつて横浜で開催された夏のイベントでもオーラスを飾ったシンボリックな1曲に対し、この日に至るまでの想いのすべてを乗せるように歌い奏でる3人の姿が印象的で、我々の目頭を熱くさせた。

 なお、2022年のTHE ALFEEの勢いはまだまだ止まらず。10月5日にニューシングルをリリースし、その翌日からは秋の全国ツアー【THE ALFEE 2022 Autumn Tour Genesis of New World 秋の天地創造】を敢行。さらに、12月23日と24日に日本武道館、29日に大阪城ホールにて【THE ALFEE 2022 Winter Genesis of New World Final 冬の天地創造】を開催することも決定しているので、今年は春夏秋冬すべてのTHE ALFEEに注目してほしい。

取材&テキスト:平賀哲雄
カメラマン:上飯坂一

◎ライブ【THE ALFEE 2022 Summer Genesis of New World 夏の天地創造】
2022年07月30日(土)横浜・ぴあアリーナMM セットリスト:
01.天地創造
02.STARSHIP-光を求めて-
03.Orionからの招待状
04.進化論B
05.SWINGING GENERATION
06.夢よ急げ
07.碧空の記憶
08.Loving You
09.星空のディスタンス
10.いつかの未来
11.Time Machine~恋のS・O・S
12.組曲:時の方舟
13.TIME AND TIDE
EN1.Funky Cat
EN2.D.D.D!~Happy 65th Anniversary for Donald Duck~
EN3.鋼鉄の巨人
EN4.SWEAT&TEARS
WEN1.無言劇
WEN2.夜明けのLANDING BAHN

◎リリース情報
ニューシングル『タイトル未定』
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