2022/08/09
FLYING KIDSが、7月29日に【Billboard Live 2022「第1回 チキチキ還暦だヨ!全員集合!」】をBillboard Live TOKYOにて開催した。
メンバーの丸山史朗(Gt.)&中園浩之(Dr.)が今年還暦を迎えることを記念して開催されたこの公演。長年のキャリアに裏打ちされたパワフルな演奏とユーモアあふれる演出で、会場を熱狂させた。2ステージで行われたうち、本稿では1stステージの模様をレポートする。
ステージが暗転すると、『8時だョ!全員集合』でコント終わりのBGMとしておなじみの「盆回り」が流れ出し、2階からメンバーが続々と登場。丸山は赤いちゃんちゃんこ、中園は赤いTシャツと、今回の主役ふたりが赤の衣装をまとっているのがいかにも“還暦祝い”のステージらしい演出だ。
セッティングが完了し、浜崎貴司(Vo.)が「第1回、チキチキ還暦だヨ!全員集合!」とタイトルコールをすると、さっそく1曲目「アソボ」がスタート。サビでの手を振る振り付けで、次第に会場の一体感が高まっていく。続く「オードレイ!」では、イントロでの宇賀まり(Sax. / Cho.)の華やかなアルトサックスソロが高揚感をあおると、重めのビートに乗る浜崎とElli(Vo. / Cho.)のボーカルが力強く響き、徐々に体を大きく揺らす観客の姿も増えていった。
MCパートでは、さっそく本日の主役である丸山、中園の話題に。このふたりはFLYING KIDS結成以前、大学時代からじつに約40年の付き合いであることを明かすと、中園も「まさかこんなに長くやるとはほんとに思わなかったんですよね……」と素直な思いをこぼした。そして次の曲では、“60 years~60歳メドレー~”と題し、なんとメインボーカルを丸山にバトンタッチ。丸山、中園の息の合ったフリーセッションから、<還暦だって どってことないさぁ~>と、還暦仕様にアレンジを加えた丸山のシャウトが光る「Don’t Give It Up!」、ルーファス&チャカ・カーンによるファンクの名曲のカバー「Once You Get Started」を抜け、<60 years! 60歳!>と繰り返されるフレーズが楽しい「セクシーフレンド・シックスティーナイン」まで、ボリュームたっぷりのメドレーを走り抜けた。
大きな拍手が鳴り止むと、「“もう一度生まれる”という意味のある還暦にちょうどいいと思って」と浜崎が語り、7月1日にリリースしたばかりの新曲「ウブゴエ・デスフィーレ」がスタートする。サックスのフレーズがうねるイントロから、生命と愛の燃えさかるような熱さを歌う歌詞がとことん情熱的だ。そのまま「ドマナツ」へ流れ込むと、宇賀がサックスをホイッスルとシェイカーに持ち替え、軽快なリズムを刻みはじめる。サビでひときわ強く聴こえる竹本一匹(Perc.)のボンゴの音色が高揚感を加速させ、まるで会場の中に真夏の陽が差し込んでいるかのような明るい雰囲気で会場を包み込んだ。
キラキラした照明がぐっと落ちると、浜崎とバトンタッチする形でElliがセンターに。「心に届くように気持ちを込めて歌うので、聴いてください」と告げると、バラード曲「抱きしめたい」を歌い出した。パワフルでメリハリのある浜崎のそれとはまた違う、力強くもやさしくスッと伸びるような歌声に、観客もじっと耳を傾ける。バンドも、鈴やウインドチャイムの繊細な音色で、しっとりと彼女を支えていたのが印象的だった。続いて、浜崎の伸びやかなフェイクから始まったのは「ファンキースター」。SWING-O(Key. / Cho.)のピアノ伴奏のみのムーディな雰囲気の導入から、どんどんテンションが加速していく構成が楽しい。後半の浜崎とElliのラップの掛け合い、サックス・ピアノソロでは観客も大きく体を揺らし、思い思いに楽しむ様子を見せた。
すっかり会場の熱気が高まると、軽快なギターから始まる「新・我想うゆえに我あり」のイントロが流れ出した。サビ前では観客もコール&レスポンスの代わりに手を挙げて応え、ステージと客席が一体となって盛り上がる。その熱気を受けるように、加藤英彦(Gt. / Cho.)も大きく手を挙げて観客を煽ったり、竹本もステージを所狭しと駆け回って、対角線上に立つ丸山と背を合わせて演奏したりなど、メンバー全員も全力で音を楽しんでいる様子を見せた。そして、中園のパワフルなドラムから始まったのは「風の吹き抜ける場所へ」。清涼感あふれるサックスの音色と、<夏をかけぬけてゆく>という季節感たっぷりのフレーズが響くさまが心地いい。大きくゆったりと手を振る振り付けもあいまって、会場に涼しい風が吹き抜けていくようだった。
「(メンバーが)60歳になるまでバンドが続くなんて、若い頃は思ってなかったです」「こうやって無事に、しかもコロナ禍なのに、メンバーも全員揃って、みなさんも揃って、こうやってお会いできるっていうのは、本当に幸せだなと思います」と浜崎が改めて感謝を語ると、本編ラストナンバー「君にシャラララ」へ。サビの、浜崎の力強いボーカルに加藤、宇賀、Elliの澄んだコーラスが重なる、分厚くも爽やかなハーモニーが見事だ。楽器隊も笑顔でアイコンタクトを送りあい、心からこのステージを楽しんでいる様子がひしひしと伝わる。その演奏を受け取る観客も、マスクをしていてもわかるほどの笑顔を浮かべている人ばかりで、音楽で会場がひとつになる、なんとも幸せな空間が生み出されていた。
アンコールでは、伏島和雄(Ba. / Cho.)によく似た謎の人物(?)フセ・クルーズが突然登場し、会場からは思わず笑いが起こる。彼による「デンジャー・ゾーン」のメロディにのせた物販紹介のコーナーを終えると、浜崎の「還暦でもノンストップでいくぜー!」との掛け声で、「ノンストップでいくぜ」を披露した。最後はメジャーデビュー曲「幸せであるように」をゆったりと歌唱。ラストの浜崎の澄んだ高音のロングトーンが会場いっぱいに響きわたり、ステージは幕を下ろした。
来年2023年には、今度は伏島の還暦記念として【第2回】を開催することをさっそく予告したFLYING KIDS。次回もきっと、楽しい演出とファンキーな音楽で、わたしたち観客をめいっぱい踊らせてくれることだろう。
Text by Maiko Murata
Photos by 岩田 慶(fort)
◎公演情報
【Billboard Live 2022「第1回 チキチキ還暦だヨ!全員集合!」】
2022年7月29日(金) 東京・Billboard Live TOKYO
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