2022/06/07
2022年6月5日(日)、6日(月)の2日間、ラリー・カールトンの来日公演がBillboard Live YOKOHAMAで行われ、熟練のギタープレイで集まった観客を酔わせた。
このライブは、ギター・レジェンドとして多くのファン、ミュージシャンからも根強い支持を集め続けているラリー・カールトンが、異なる2つのコンセプトでステージを構成し、そのキャリアを振り返ろうというもの。2018年に行われた公演に続く第2弾として企画された今回の公演は、1stステージがザ・クルセイダーズのナンバーにフォーカスする<The Crusaders Remembered Vol. 2>、2ndステージは自身のヒット曲の数々とスティーリー・ダンのナンバーを中心に披露する<Greatest Hits / Steely Dan Vol. 2>で構成されている。このレポートでは、6日(月)の1stステージ "The Crusaders Remembered Vol. 2"の模様をお届けする。
定刻の18時ちょうど、場内が暗転すると拍手に迎えられて、出演メンバーが姿を現した。グリーンのシャツを着たラリー・カールトンは、ステージに上がり客席を見渡して手を振ると、Sire H7を抱えて中央に立った。実の息子でメンバーのベーシスト、トラヴィス・カールトンがファンキーなリフを弾き出すとジーン・コイ(Dr)、ルスラン・シロタ (Key)、マーク・ドゥティット (Sax)、バリー・グリーン(Trb)とラリーが加わって、「My Mama Told Me So」でライブがスタート。ブルージーなチョーキングが1音目から温もりのある音色で、アットホームなライブの方向性を示唆していた。ギターとサックスとのユニゾンの後、サックスソロに入ると、ラリーは後ろに回して笑顔で佇みながら体を揺らしてその様子を見つめている。途中、ミュートしたオブリガードでバンドに再び加わると、低音弦を中心としたソロを聴かせた。
続いて、スタッカートぎみのギターリフをイントロにして「Put It Where You Want It」に入っていった。躍動感のあるリズムに乗せて曲が進み、ラリーはサビでワウを踏んでサイケデリックなムードを醸し出す。シンプルなフレーズの繰り返しに鋭いサックスが切り込んできてソロをキメると喝采が沸き起こった。続いてエレピのソロが最初はクールに、だんだん熱を帯びてきてバンドが一体となっていく展開に引き付けられた。
MCで日本に再び戻ってこれたことを感謝すると、ステージの照明が落とされ、ラリーにスポットがあたる中、マイナー調の「Deep Into It」が始まる。泣きのチョーキングが曲をよりドラマティックに演出している。ギターとトロンボーンが絡み合い、サックスが咆哮する。度々飛び出すキメもかっこいい。「Oui Oui Si」では、ブーストしたベースが演奏をリード。ギター、サックスのユニゾンのフレーズは、「これぞフュージョン!」といった感じのダイナミックで心躍る旋律だった。
ピアノの軽快なイントロから始まり、流麗なギターが叙情的に響いた「Minute By Minute」(The Doobie Brothersのカバー)、ドラムのクローズドリムショットに乗せて初夏らしい爽やかさを聴かせた「Smiles And Smiles To Go」とリラックスムードが続いた後は、「Chain Reaction」でグッと引き締まったシリアスな演奏を披露。エレピのソロ、トロンボーンのソロからのラリーのソロではハイポジションでの艶やかな音色で速弾きもあり、白熱した演奏の中で熟練のテクニックを見せてくれた。さらにバラードナンバー「(It Was) Only Yesterday」では、情感たっぷりなチョーキングとヴィブラートで、先ほどまでの激しい演奏とはまったく違った繊細な表現力を聴かせてくれた。
ラストは、ラリーがイントロのギターを奏でただけで客席から思わず歓声が漏れた「Room 335」。疾走感溢れる爽快なバンドの演奏に乗ったギターサウンドはまさに絶品。大満足の90分だった。尚、この公演は6/8(水)、6/9(木)、6/10(金)の3日間にBillboard Live TOKYOで、6/13(月)-6/14(火)の2日間にBillboard Live OSAKAでも行われる。
Text by 岡本貴之
Photos by Yuma Totsuka
※使用写真は6/5(日)2ndステージ
◎公演情報
【ラリー・カールトン
1st: "The Crusaders Remembered Vol. 2"
2nd: "Greatest Hits / Steely Dan Vol. 2"】
2022年6月5日(日)-6日(月)神奈川・Billboard Live YOKOHAMA ※終了
2022年6月8日(水)-10日(金)東京・Billboard Live TOKYO
2022年6月13日(月) -14日(火)大阪・Billboard Live OSAKA
※記事初出時、本文の内容に誤りがございました。お詫びして訂正いたします。
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