2022/05/23
ケンドリック・ラマーによる約5年ぶりの新作 『ミスター・モラル&ザ・ビッグ・ステッパーズ』が今年最大のアルバム・ユニットを記録して1位に初登場した、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。
5月13日にリリースした『ミスター・モラル&ザ・ビッグ・ステッパーズ』は、2017年の年間アルバム・チャートを制した『ダム.』(4週1位)から約5年ぶり、5枚目のスタジオ・アルバムで、首位獲得はコンピレーション・アルバムとしてリリースした『アンタイトルド・アンマスタード』(2016年)を含む4作目、TOP10には通算5作目のランクインを果たした。
2位『グッド・キッド、マッド・シティー』(2012年)
1位『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』(2015年)
1位『アンタイトルド・アンマスタード』(2016年)
1位『ダム.』(2017年)
1位『ミスター・モラル&ザ・ビッグ・ステッパーズ』(2022年)
なお、2018年に同1位を獲得した『ブラックパンサー ザ・アルバム』はサウンドトラックとして扱われるため、ケンドリック・ラマー個人の記録には含まれていない。
本作は、Disc 1(Big Steppers)に9曲、Disc 2(Mr. Morale)に9曲をそれぞれテーマ別に収録した全18曲、2枚組の構成で、アルバムの発売までにリリースした正式なシングルはなく、発売直後に「N95」のミュージック・ビデオが公開された。なお、発売直前の5月8日にリリースしたシングル「The Heart Part 5」も話題となり、アルバムの注目を集めるきっかけとなったが、本作への収録は見送られている。
『ミスター・モラル&ザ・ビッグ・ステッパーズ』の初動ユニットは295,500で、その内訳258,500がアルバム・ストリーミング(SEA)、1,500がトラックごとのユニット(TEA)、35,500がアルバム・セールスだった。初週のアルバム・ストリーミングは、全18曲で3億4,302万回を記録している。
アルバム・ユニットの週間記録としては、2021年12月4日付でアデルの『30』が首位に初登場した際の839,000ユニット以来、約6か月間の最高値で、現時点の今年最大の記録となる。今月は、前々週にフューチャーの『アイ・ネヴァー・ライクド・ユー』が222,000で、先週はバッド・バニーの『Un Verano Sin Ti』が274,000でそれぞれ今年の最高記録を更新し、今週ケンドリック・ラマーがその記録を3週連続で塗り替えた。
同時に、R&B/ヒップホップ・アルバムの2022年最大の週間ストリーミング記録も更新したが、先週バッド・バニーの『Un Verano Sin Ti』が打ち出した3億5,655万回にはわずかに及ばなかった。しかし、『Un Verano Sin Ti』は全23曲で3億5,666万回、『ミスター・モラル&ザ・ビッグ・ステッパーズ』は5曲少ない18曲で3億4,302万回を記録しているため、比率としては本作の方が高いという見方もできる。
5月13日のリリース時にはフィジカル(CD、LP、カセットテープ)は販売されておらず、ストリーミングとデジタル・ダウンロードのみ可能だった。よって、今週のセールス35,500はすべてダウンロードによる売上ということになる。デジタル・アルバム(ダウンロード数)のみの週間売上枚数としては、前述の『30』が初登場(2021年12月4日付)した際に記録した205,000以来の高セールスで、2022年に入ってからのデジタル・アルバム最大の週間記録を更新した。なお、CDは5月27日にリリースされる予定で、再び売上が急増することが予想される。
前述の『Un Verano Sin Ti』は今週2位に、『アイ・ネヴァー・ライクド・ユー』 は3位にそれぞれ順位を落としたが、前者は2週目で182,000ユニット(34%減少)、後者は3週目で89,500ユニット(23%減少)と高水準を維持している。
TOP3はヒップホップ勢が独占し、今週4位には韓国のボーイズ・グループ=TOMORROW X TOGETHERの『minisode 2: Thursday's Child』が初登場。これまでの最高位は昨年の6月19日付で『The Chaos Chapter: FREEZE』が記録した5位だったが、本作で最高位更新と2作目のTOP10入りを果たした。
『minisode 2: Thursday's Child』の初動ユニットは68,500で、その内訳アルバム・セールスが65,500、アルバム・ストリーミングが3,000(全5曲で437万回)と、全体の9割以上をセールスが占めた。週間セールスとしては今年3番目の高記録で、今週のトップ・セールスに輝いている。なお、65,500のうちデジタル・ダウンロードはわずか500枚で、そのほとんどがCDによる売上だった。現時点でアナログ盤(LP)やカセットテープは販売されていないため、リリースされれば今後も上昇が見込める。
上位に新作が登場したため、モーガン・ウォレンの『デンジャラス:ザ・ダブル・アルバム』は今週5位に順位を下げたが、リリースから1年4か月が経過したにもかかわらず、週間ユニットは前週から5%増加の55,500に上昇している。一方、先週3位に初登場したジャック・ハーロウの新作『カム・ホーム・ザ・キッズ・ミス・ユー』は、2週目で51%減少の55,000ユニットに落ち込み、今週6位までランクダウンした。
今週7位には、フローレンス・アンド・ザ・マシーンによる約4年ぶりの新作『ダンス・フィーヴァー』が初登場し、通算4作目のTOP10入りを果たした。なお、本国イギリスでは3作目の首位を獲得している。
6位『セレモニアルズ』(2011年)
1位『ハウ・ビッグ、ハウ・ブルー、ハウ・ビューティフル』(2015年)
2位『ハイ・アズ・ホープ』(2018年)
7位『ダンス・フィーヴァー』(2022年)
『ダンス・フィーヴァー』の初動ユニットは54,000で、その内訳アルバム・セールスが42,500、アルバム・ストリーミングが11,000(全14曲で1,450万回)、トラックごとのユニットは500をそれぞれ記録した。本作からは、リード・シングルの「マイ・ラブ」がアダルト・オルタナティブ・エアプレイ・チャートで6曲目の首位を獲得し、アルバムのプロモーションに繋げた。同曲は、最新のオルタナティブ・エアプレイ・チャートで約7年ぶり、通算4曲目のTOP10入りを果たしている。
続いて8位にデビューしたのは、米オハイオ州出身の2人組ロック・バンド=ザ・ブラック・キーズの新作『ドロップアウト・ブギー』。前作『デルタ・クリーム』(2021年)から1年ぶり、11枚目のスタジオ・アルバムで、以下に続く通算6作目のTOP10入りを果たした。
3位『ブラザーズ』(2010年)
2位『エル・カミーノ』(2011年)
1位『ターン・ブルー』(2014年)
4位『レッツ・ロック』(2019年)
6位『デルタ・クリーム』(2021年)
8位『ドロップアウト・ブギー』(2022年)
初動ユニットは33,000で、その内訳27,500がアルバム・セールス、5,000がアルバム・ストリーミング(全10曲で650万回)、トラックによるユニットは500で、本作もセールスが強かった。アルバムの先行シングル「Wild Child」は、アダルト・オルタナティブ・エアプレイとオルタナティブ・エアプレイの両チャートで1位を獲得し、メインストリーム・ロック・エアプレイ・チャートでは現時点でTOP15にランクインしている。
新作に押され、オリヴィア・ロドリゴの『サワー』(32,000ユニット / 1%減少)は5位から9位に、リル・ダークの『7220』(29,000ユニット / 7%減少)は7位から10位にそれぞれダウンしたが、ユニット数の大幅な変動はなく安定している。
Text: 本家 一成
※関連リンク先の米ビルボード・チャートは5月27日以降掲載予定となります。
◎【Billboard 200】トップ10
1位『ミスター・モラル&ザ・ビッグ・ステッパーズ』ケンドリック・ラマー
2位『Un Verano Sin Ti』バッド・バニー
3位『アイ・ネヴァー・ライクド・ユー』フューチャー
4位『minisode 2: Thursday's Child』TOMORROW X TOGETHER
5位『デンジャラス:ザ・ダブル・アルバム』モーガン・ウォレン
6位『カム・ホーム・ザ・キッズ・ミス・ユー』ジャック・ハーロウ
7位『ダンス・フィーヴァー』フローレンス・アンド・ザ・マシーン
8位『ドロップアウト・ブギー』ザ・ブラック・キーズ
9位『サワー』オリヴィア・ロドリゴ
10位『7220』リル・ダーク
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