2013/03/26 18:00
3月23日に井乃頭蓄音団が東京初ワンマン【親が泣くツアーファイナル&東京“初”ワンマンライブ~ツアーなんてしたっけな?2013】を開催。本ステージをもって、メンバーの寺中イエス(b)ととがしひろき(dr)がバンドを退団した。
2008年に松尾よういちろう(vo,g)と寺中によって結成された井乃頭蓄音団は、ブルースやカントリー、トラッド、昭和歌謡にフォークなどメンバーの個性が反映されたサウンドや、肺腑をえぐる劣情をも真摯に綴る歌詞が話題に。THE ALFEEの坂崎幸之助や曽我部恵一からも絶賛を受けるなど、インディーシーンに衝撃を与えている気鋭の本格派バンドだ。
しかし、今年の2月に上記2名が退団を発表。現体制でのラストステージとされていたのが今回のライブだ。会場の下北沢CLUB Queにはチケット完売の超満員が詰めかけた。そんな節目のステージは、はせがわかおりのオープニングアクトよりスタート。えんじ色のワンピース姿にアコギを抱えて1人で登場した彼女は、優しくも芯のある歌声で昨年秋にリリースしたアルバム『はせがわかおりZERO』収録曲などを歌い上げて主役のアクトに繋げた。
この日の井乃頭蓄音団のライブは、3部構成という形がとられていた。ヒロヒサカトー(g)の熱い呼び込みで松尾がステージに現れると、「会いたくて仕方ない」より持ち曲を次々に披露。現メンバー5人での演奏はこれが最後になることもあって、観衆はいつも以上に真剣な表情で楽曲を聴き、大きな歓声を上げている。
最近のライブではお馴染みのナンバーを続けた後、松尾は天井に吊るされた裸電球を付けて「よかったら、こんな狭~い狭い世界の1曲を」と笑顔を見せた。そして「コンドームだって付け忘れるくらいに」や「昭和」など正に四畳半フォークな楽曲を続けると、続いてアコースティックスタイルの第2部へ。
ジョニー佐藤(g)がアコギ、ヒロヒサがマンドリンに楽器をチェンジ。時にメンバーが敬愛する高田渡「生活の柄」や西岡恭蔵「プカプカ」のカバーも交える、ワンマンならではの展開でファンを楽しませた。
第3部は圧巻という言葉が相応しいアクトになった。再びロックスタイルに戻った彼らは、代名詞とも言うべき楽曲の数々をたたみかけるのだが、それらはリズムが特徴的な楽曲が多いこともあって、寺中ととがしの生み出す強烈なグルーヴで会場を圧倒するのだ。
中でも特筆したいのは、16分で踏み鳴らされるバスドラムが会場を揺らす「デスコ」から、便所の落書きのようにしたためた劣情を轟音が飲み込んでいく「公衆便所で」への流れ。目をひん剥いた松尾の「俺はここまできた! あと一歩! あと一歩で……」という叫びで、会場のボルテージは最高潮まで達した。
そして“今の場所が 目的地だったかわからないけど 振り返るとそこにあるのは一本道でした”と独自解釈の歌詞を加えた「カントリーロード」で本編を終了させた5人は、アンコールにて「八月七日」を披露する。
こちらは寺中が作詞した楽曲で、心の病を患った元妻から“音楽を諦めないで”と号泣されたことを吐露する名バラードだ。“あの時と同じくらい大切な仲間と音楽をやっているよ”と締めくくられた同曲に涙する観衆も見受けられる中、最後に「素直な自分」を演奏してこの5人でのラストステージは幕を下ろした。
なお、松尾、ヒロヒサ、ジョニーの3人になった井乃頭蓄音団は、4月1日22時より放送のUSTREAMで新たなスタートを切る自身らを特集。そして同月8日に東京、14日には大阪で【松尾よういちろう生誕30+2周年記念ワンマンショー】を開催し、その後も仙台や大阪、名古屋のライブにバンド編成で参加することが決定している。
◎【親が泣くツアーファイナル&東京“初”ワンマンライブ~ツアーなんてしたっけな?2013】
2013/03/23(土) at 下北沢CLUB Que
セットリスト:
[第1部]
01.会いたくて仕方ない
02.さよならと言ったわけ
03.好敵手~ライバル~
04.コンドームだって付け忘れるくらいに
05.夏子さん
06.ともだち
07.昭和
08.帰れなくなるじゃないか
[第2部]
09.タオルを買ってくれ[松尾よういちろう弾き語り]
10.誕生日
11.手紙の返事
12.生活の柄(高田渡 カバー)
13.もっと、もっと、もっと。(ヒカリノート カバー)
14.プカプカ(西岡恭蔵 カバー)
[第3部]
15.デスコ
16.公衆便所で
17.コンドームなんて持っていなかった~上半身の愛
18.別れてあげない
19.この人は誰だろう
20.親が泣く
21.いくつになっても
22.カントリーロード
[アンコール]
23.八月七日
24.素直な自分
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