2022/03/15
スコーピオンズが今年2月にリリースした19枚目のニューアルバム『ロック・ビリーヴァー』が、全米トップ・アルバム・セールス・チャート4位、同トップ・ハード・ロック・アルバム・チャート2位となり、どちらも自己最高位を記録。また、ベルギーとポーランドでは1位を獲得した他、8か国でTop5入りを果たした。
そんな最新アルバム『ロック・ビリーヴァー』について、ヴォーカルのクラウス・マイネによる全曲解説が届いたので下記にお届けする。
なお、スコーピオンズは3月26日からラスベガスのプラネットハリウッドでのレジデンシー公演を、5月からはヨーロッパ・ツアーを予定している。
◎リリース情報
アルバム『ロック・ビリーヴァー』
2022/2/25 RELEASE
UICY-16053 2,860円(tax in.)
◎クラウス・マイネ(Vocal)による全曲解説
01 Gas In The Tank / ガス・イン・ザ・タンク
新作に取り掛かるにあたって問われたのは「タンクにガソリンはまだ残っているか」ということ。そして答は「あぁ、あるとも!」だ。かくして我々は、困難を極めたロックダウン期間を邁進し、成功を収めたのだ。
02 Roots In My Boots / ルーツ・イン・マイ・ブーツ
新曲ではルーツに立ち返ろうと努めた。単純に、優れたリフ、強力なメロディ、という元来のスコーピオンズのDNAを再活性化させたかったんだ。5人が同室で演奏することでライヴの感覚をスタジオに持ち込もうとした。今、ミッキー・ディー(Ds)がバンドにいることで、新鮮なエネルギーを注入されたようで本当に楽しかった。
03 Knock ’Em Dead / ノック・エム・デッド
この曲には思い出が蘇る…ニューヨークシティ、ビッグアップル。アメリカで初めてショウをやるにあたってマネージャーに「あいつらを驚かせてやれ」と言われた。その通りにしてやったよ。その数年後、我々はヘッドライナーとしてマディソン・スクエア・ガーデンを揺るがし、そして今に至るというわけだ!
04 Rock Believer / ロック・ビリーヴァー
長年、大勢の人間がロックは死んだと言うのをくり返し耳にしてきたが、世界には今もロックを信じる者が何百万人もいるという事実が、そんな連中の誤りを証明している。俺たちのファンは世界最高だ。いつかどこかでまた会おう、なんといっても俺たちは、きみらと同じ“ロック・ビリーヴァー”なんだから。
05 Shining Of Your Soul / シャイニング・オブ・ユア・ソウル
このアルバムでは数少ないラヴソングのひとつ。誰かが部屋に入ってきた途端にオーラが見える、感じるということが時にあるだろう。そして驚くほど空気が変わっていく。その感覚はまるで輝き…魂の輝きのようだ。
06 Seventh Sun / セヴンス・サン
冒頭のフラジオレット(ハーモニクス)の音色が、このパワフルな曲に謎めいた雰囲気を添える。「アニマル・マグネティズム」、「チャイナ・ホワイト」といった過去の名曲の良き伝統に倣い、聴き手を圧倒するルドルフ・シェンカー(G)のヘヴィなリフが、この曲をとても特別なものにしている。歌詞は言葉遊びであり、様々な感情を盛り込んでいて、あとは自由に解釈してもらっていい…現代絵画のようなものだ。
07 Hot And Cold / ホット・アンド・コールド
この曲は町のいかがわしい界隈にあるストリップクラブへときみをいざなう。彼女が舞台でポールの周りをグルグルと舞い、ノッてきたらどんなクレイジーなことをやりだすか、考え出したら止まらなくて熱くなったり冷や汗をかいたり。マティアス・ヤプス(G)が書いたクールなアップテンポのロック・ソングだ。
08 When I Lay My Bones To Rest / ホエン・アイ・レイ・マイ・ボーンズ・トゥ・レスト
俺たちの間で、ルドルフは俺の異母兄弟だ、とふざけて言うことがある。この曲は長年の俺の曲作りのパートナーのことであり、スコーピオンズ流のダンスに備える俺のことであり、メルセデスベンツよりも速く突っ走る。ただ楽しいだけの曲だが、めちゃくちゃ速い。俺たちがまだ半端なくロックしているという証だよ!
09 Peacemaker / ピースメーカー
最初はただの言葉遊びだった。Peacemaker bury the undertake ~平和の使者よ、葬儀屋を葬れ。さて、これはどういう意味だ? これほど多くの人々がコロナのせいで、あるいは残忍な戦争他、無意味な犯罪のせいで亡くなり続けている今、葬儀屋は残業して働いていると思われる。パンデミック後の平穏な世界は、そいつらには休んでもらって平和をもたらす者が手綱を握る時代になるだろう。夢のような話だって? 想像するのは勝手だろう…
10 Call Of The Wild / コール・オブ・ザ・ワイルド
ホットでブルージーな曲。暑い夏の夜の熱を肌に感じるだろう。このグルーヴ、このヴァイブ、ヘヴィなギターリフ、そして、そう、実はこれもラヴソングだ。彼女のファンキーなリズム、俺のノリはロックだぜ…と、それ以上は言うまい、何のことかわかるだろう…
11 When You Know (Where You Come From) / ホエン・ユー・ノウ(ホエア・ユー・カム・フロム)
アルバム唯一のバラードだ。星に手を伸ばし上昇していく間も、自分の出生を忘れてはいけない。下り坂になったらその道すがら、また同じ顔触れに出会うことになるのだから。過ちから学ぶということ、そしてすぐ先にまた必ずチャンスが待っているということ。敬意と愛を持って進め。自分に忠実であれば、向かう先は必ず見えてくる。この曲にはスコーピオンズの純正なDNAが宿っている。
12 Shoot For Your Heart / シュート・フォー・ユア・ハート
これもファンに関連した曲。移り変わる景色をツアーバスの車窓に眺めながら、スケジュール上の次の楽し気な中継地を心待ちにする。結局のところ我々はツアーのムシだ。目指すところはひとつだけ、きみらの心に思い出を刻めればそれでいい。
13 When Tomorrow Comes / ホエン・トゥモロー・カムズ
これは環境問題に大いに触発された曲。汚れた海、気候変動。ただし、パンデミックにも触れている。一部はあの、果てしないロックダウンの最中に書いた。若い世代に、この惑星をだいじにしてくれと語りかけている。未来が呼んでいる、世界はきみらのものだ。クールでアップテンポな曲で、ヴァースには声を合わせて歌うところがある。
14 Unleash The Beast / アンリーシュ・ザ・ビースト
近年、人は皆、極めて困難な時代を生きている。世界的なパンデミック、火山の噴火、人間や動物の生息域を破壊する大火、地震、そして津波がこの星を揺るがす。なのに我々は、強力な感染で全滅するまで目をつぶって踊り続けるのか。80年代の趣味の悪い映画のような話だが、俺はこの2022年を憂いているし、それが我々の世界の現状だ。
15 Crossing Borders / クロッシング・ボーダーズ
音楽の世界、感情の世界においては、境界線などまったく存在しない。現実の世界では、世界中のステージでロックするために我々は一日おきに国境を超える。しかし我々は、良し悪しはともあれ、個人的なレベルでの境界線も超えているのだ。安全圏にとどまらず、警戒線を超えて進む、という意味で。この曲はしかし、むしろセックスとロックンロールの話だ。鋼鉄の馬の後部座席に乗せて、おまえを連れて行ってやろう。来いよ、ベイビー、おれが一線を越えさせてやる…
◎アーティスト写真クレジット
(c) marc theis
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