2022/03/01 16:35
FM COCOLOとフェニーチェ堺が共催する音楽イベント【SongLetters -Forever,For Always,For Love-】が、2月23日大阪・フェニーチェ堺にて開催された。
出演は大澤誉志幸、佐藤竹善(SING LIKE TALKING)、鈴木雅之、Ms.OOJA、八神純子と多彩なヴォーカリストたちが登場。
本公演はオリジナル曲もカバー曲もすべて名曲のみで構成。さらに「The SongLetters Band」として、この日のために編成されたスペシャルバンドに河野佳(Pf)、山口寛雄(Ba)、黒田晃年(Gt)、大井一彌(Dr)、副田整歩(Sax)、高尾直樹(Cho)が参加。他にはない輝かしい魅力を持つヴォーカリストたちが自身のオリジナル曲はもちろん、時代を超えて歌い継がれ、聴き継がれる珠玉のカバー曲で紡ぐ、一夜限りのステージを繰り広げた。
トップバッターは佐藤竹善。1曲目「Wind Of Change」から、「The SongLetters Band」(以下、バンド)が響かせるダイナミックなバンドサウンドにのせ、美しい歌声を響かせる。「今日は映像が視えるようなアレンジで。間奏では嵐がやってくるので、その音も楽しんで」と、次曲のカバーで選んだのは自身のカバーアルバムでも披露している「はじまりはいつも雨」(ASKA)。その言葉通り、柔らかな歌声と抒情的な詞世界に浸っていると、突如として春の嵐のような躍動感あふれるサウンドへと打ち替わり、楽曲の印象ががらりと変わる。アレンジの違いを楽しむ、これもまたカバーならではの楽しさだろう。その後は自身のバンド・SING LIKE TALKINGから「離れずに暖めて」や、「自分の曲にしてしまいたい」と絶賛する「タイム·トラベル」(原田真二)などをライブ感高まるバンドアレンジで聴かせる。
続いてはMs.OOJA。まずはオリジナル曲「Be...」で心震わすシルキーボイスを響かせ確かな実力を見せつけていく。カバー曲は「色褪せない、どの時代の人が聴いてもカッコイイと思える曲」と、「真夜中のドア~Stay With me」(松原みき)、「Flyday Chinatown」(泰葉)といった、ジャパニーズポップの名曲をセレクト。楽曲へのリスペクトを感じるのはもちろん、表現力豊かな歌声に合わせてバンドアレンジもより鮮やかに弾け、エネルギッシュなアレンジで鳴らしていく。これまでに6枚ものカバーアルバムを発表していることもあり、歌謡曲ならではの音の作りや世界観に惚れ込んだという彼女。最終曲「Who Are You」は昨年12月に発表されたオリジナル曲だが、この曲も誰かのカバー? と勘違いしてしまいそうな、なんともミステリアスな歌謡テイストの楽曲で、色香をぐっと増した歌声が観客を圧倒していく。
この日のイベントでは、それぞれの出演者によるオリジナル曲やカバー曲の披露だけでなく、一夜限りのコラボステージも展開。まずは、先ほどソロステージを終えたばかりのMs.OOJAが「憧れのシンガー」と八神純子を呼び込み、八神のオリジナル曲「想い出のスクリーン」をコラボ。時代を越えて交差する歌姫たちの歌声は美しくも迫力満点。しかも主旋律をMs.OOJAが歌い、八神がハモるという、なんとも贅沢なシーンに観客は大興奮。
ステージはそのまま八神純子のソロステージへ。実はこれまでの歌手活動でカバー曲はほとんど披露してこなかったという。そんな彼女が選んだカバー曲は、大親友である杏里の「悲しみが止まらない」。サビで広がる高音域の美しさはそのままに、太さを増した歌声で一瞬にして観客を魅力していく。その後も「LA LA LA LOVE SONG 」(久保田利伸カバー)、オリジナル曲「出発点(スタートライン)」など多彩な楽曲を披露。「生涯現役で、いくつになってもラブソングが歌える女性でありたい」と、改めて音楽への想いを語り、最後に披露したのは名曲「みずいろの雨」。鮮やかな高音域の歌声にさらに拍車をかけるよう、バンドサウンドがより迫力を増していく。40年以上前に発表された楽曲でも一切の錆を感じさせない。イベントの趣旨でもある、名曲が聴き、歌い継がれる理由がよくわかる。
イベント後半はシンガーであり、メロディ・メーカー、そしてプロデューサーとしても活躍する大澤誉志幸のステージへ。ソロデビュー前には、メロディ・メーカーとして卓越したセンスで数多くのアーティストに楽曲提供をしてきた彼。まずは「ラ・ヴィアンローズ」(吉川晃司への提供曲セルフカバー)、「1/2の神話」(中森明菜)と、より渋みを効かせたアレンジで攻めていく。もちろん、自身の代名詞ともいえる名曲「そして僕は途方に暮れる」も披露。大澤と同年代であろう観客の男性がサビを聴いて思わず拳を握りしめる姿も見えて、長年愛されてきた名曲には聴く人の数だけかけがえのない思い出があることを改めて体感。そして最終曲「Over The Century -君のために生きる-」はアコギ1本で弾き語りに。ギターをかき鳴らし、胸を打つ強く愛しい言葉を紡ぐ。シンガー・大澤誉志幸の確固たる姿を見せつけステージを後にした。
イベントの大トリを務める鈴木雅之は1曲目「恋人」から、これぞ“ラブソングの王様”と唸る圧倒的な歌唱力を見せつけていく。今年でソロデビュー35周年を迎える彼。公演当日がカバーベストアルバム『DISCOVER JAPAN DX』の発売日ということもあり、MCでは随所にセールストークを織り込んでいるものの、それさえも“マーチン”ショーのひとつに盛り込んでしまっているからさすが! 「原点にカバーがある」と語るほど、カバーは彼のライフワークのひとつにもなっているが、「メロディー (玉置浩二カバー)」ではヴォーカリストとしての本領を発揮する歌唱で楽曲の世界観を美しく見せつつも、しっかりと“鈴木雅之”色に染め上げていく。もちろん「ランナウェイ」(シャネルズ)、「め組のひと 」(RATS&STAR)」といったグループ時代の名曲も披露。高尾直樹のコーラスも秀逸で、バンドのグルーヴが高まるなか、観客も一緒になって息ぴったりの振り付けでステージを盛り上げていく。ステージ後半は長年の付き合いがある佐藤竹善と共に「Spirit Of Love」(SING LIKE TALKING)、「夢で逢えたら」をコラボ。タイプの異なるヴォーカリスト同士の美しいハモリはまるでゴスペルのような余韻もあって、歌詞に込められた想いもより深く心に染み込んでくる。
アンコールでは再び鈴木雅之が登場し、それぞれ個性の異なる出演者と、そして満席の観客らと素晴らしい時間を共有できたことに改めて感謝の気持ちを伝える。そしてソロデビューを迎える35年前、この曲があったからこそ今があると、「ガラス越しに消えた夏」を披露。35年経ってなおも進化を続ける歌声を聴かせると、曲間には作曲を担当した大澤誉志幸が登場。長年の盟友同士のステージ、ぶつかり合うような全力の歌唱で雄々しさを見せつける。そしてアンコールの最後には八神純子、佐藤竹善、Ms.OOJAと鈴木の4人で「見上げてごらん夜の星を」(坂本九)を優しく歌い上げ、名曲だけで紡がれた一夜限りのステージが幕を閉じた。
なお本公演のライブ音源は、3月21日FM COCOLOの番組『M’s Groove』にてライブ音源はもちろん、出演アーティストのインタビューやコメントなどがオンエアされる。
TEXT:黒田奈保子
PHOTO:井上嘉和
◎公演情報
【FM COCOLO ONE NIGHT STAND SongLetters -Forever, For Always, For Love-】
開催日:2022年2月23日(水・祝)
会 場:フェニーチェ堺
出 演:大澤誉志幸 / 佐藤竹善 / 鈴木雅之 / Ms.OOJA / 八神純子
<The SongLetters Band>河野 圭(Pf)/山口寛雄(B)/黒田晃年(G)/副田整歩(Sax)/大井一彌(Ds)/高尾直樹(Cho)
◎オンエア情報
FM COCOLO『M’s Groove』
放送日時:3月21日(月・祝)11時より
DJ:meme
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