2022/01/25
ルクセンブルグ出身のクラシック&コンテンポラリー・ピアニストで作曲家でもあるフランチェスコ・トリスターノの新作スタジオ・アルバム『オン・アーリー・ミュージック』が2022年1月26日に日本先行発売される。
このアルバムは、トリスターノが自身の「初恋」と呼ぶ古楽(アーリー・ミュージック)への回帰をテーマにしている。「私はたくさんの古楽を聴いて育ちました。これらの曲はいつも私の中にベースとしてあるのです」とトリスターノは話している。
アルバムにはオーランド・ギボンズ、ジョン・ブル、ピーター・フィリップスといった英国の偉大なバロック/ルネサンス期の作曲家や、トリスターノが最も影響を受けたと語るイタリアの作曲家ジローラモ・フレスコバルディの作品が散りばめられている。しかし、『オン・アーリー・ミュージック』は単にこれらのレパートリーへのオマージュではなく、トリスターノのプロダクション・スキル、スタジオでの熟練、そして細部への鋭い観察眼によって、新鮮で現代的なものになっている。
「私はイギリスの作曲家の作品を求めていました。その中には私が長い間演奏してきた大好きな作曲家もいますが、同時にイタリアの作曲家であるフレスコバルディのレパートリーの探求も続けたいと思っていました。彼は作曲家が鍵盤楽器のために作曲する方法を大きく変えた人なのですから」と彼は話している。
これらの偉大な作曲家とその不朽の作品に触発されて、彼がこの『オン・アーリー・ミュージック』のために作曲した音楽は、活力と閃きに満ちている。「ジョン・ブルのニ調のガリヤルドによって」は、バロック風のリズミカルな曲で、明るく楽しい曲担っており、トリスターノ作曲の「トッカータ」も同様に、込み入ったアルペジオと飽きのこないリズムで、気分を高揚させる目まぐるしいダンスの嵐が吹き荒れている。「古楽は生来の強烈なリズムを持っていて、私はそのグルーヴ感が大好きなのです」と彼は述べ、「それを反映させたいと思ったんです」と続けている。
取り上げられている作品は、忠実に再現されたものもあれば、音色や旋律が補完され、再制作や再解釈されたものもある。「私はアーリー・ミュージックに<新しさ>をもたらしたかったのです。これらの作品が作曲された当時はまだピアノがなかった時代でしたから、それらは当然現代のピアノのために書かれているわけではありません。だから、ここで創造性を発揮しなければならないのです」と彼は語っている。
スタジオでトリスターノは、何層にもレイヤーを重ね、わずかなリヴァーブやコンプレッサーなどのエレクトロニクスをごく控えめに加えていった。それはこのアルバムを彼ならではのサウンドにしたいと考えたからで、「私はピアニストですが、作曲やプロデュースもします。“オン・アーリー・ミュージック”は私の仕事のすべてを統合したものであり、このレパートリーに対する私の大きな愛を示しているのです」と彼は説明している。
美しさ、若返り、愛、エネルギーなどの考えは、ここ数年でより強く共感を呼び起こすようになった。トリスターノは、こうした要素を伝える古楽に焦点を当てることで、喜びや楽しみをもたらす「シンプルなもの、基本的な価値」に戻りたいと考えたと話している。これらのレパートリーを演奏することで、彼は早朝に太陽の光を浴びながら走るときのような慰めと深い調和の感覚を得ることができたと言い、それこそが彼が共有したいと思う感覚だったそうだ。
「古楽には、朝日のような修復力があり、これらの作品は私に高揚感を与えてくれます。とても原始的なものを感じると同時に、何か若返るような感じもするのです」と話すトリスターノにとって、これらのレパートリーは500年以上前に作曲された時と同じように喜びと感動を与えてくれるものであり、『オン・アーリー・ミュージック』は現代のリスナーにも十分に受け入れられるものであることを信じるに足る作品となっている。
◎リリース情報
アルバム『オン・アーリー・ミュージック』
2022/1/26 日本盤RELEASE
SICC-30594 / 2,600円(plus tax)
※高品質Blu-specCD2仕様
Photo: Breno Rotatori
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